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速さと比 アーカイブ

2011年04月12日

H23年度 麻布中抜粋 【対象学年:5年生以上】



H23年度 麻布中抜粋 【対象学年:5年生以上】



佐藤君と山田君がA地点からB地点に行くことになり、まず佐藤君がAを出発し、次に午前10時に山田君が出発しました。それぞれ一定の速さで歩いていき、2人とも正午にBにつく予定でした。しかし山田君は途中のC地点から自転車に乗り、進む速さを3倍にしたため、自転車に乗ってから4分後に佐藤君をE地点で追い越しました。そして佐藤君が正午にB地点に着いたときには、山田君はB地点からさらにAB間と同じ距離にあるD地点まで進んでいました。

ACの距離とCBの距離の比、CEの距離とEBの距離の比をそれぞれ求めなさい。ただし、できるだけ簡単な整数の比で答えなさい。


















速さと比の問題では、時間・距離どちらかがそろっている部分を見つける意識が大切です。



























AC:CB=1:1 CE:EB=1:4








一見複雑な問題ですが、まずは分かる範囲で状況を線分図で表しましょう。


20110412-1.gif
そして、ここから、距離やかかった時間が同じ部分を見つけます。速さと比の問題では、いかに距離や時間をそろえられるかがポイントです。距離の比を求める際には時間をそろえられないか、時間の比を求める際には距離をそろえられないか、と考えていきます。

この問題では、距離の比が問われているので、時間がそろっている部分がないかをさがします。

すると、山田君は本来12時にB地点に着く予定だったので、山田くんがC地点からB地点まで歩いたとしたときの時間と、C地点からD地点まで自転車で行ったときの時間が等しいことがわかります。山田君の歩く速さと自転車の速さは
1:3ですから、CB:BD=1:3 になります。(BDに注目すると□と○の関係がわかります・下図)

20110412-2.gif

比をそろえると下図のようになります。よってAC:CB=1:1です。

20110412-3.gif

さて、次にCE:EBを求めます。これも距離の比を求める問題なので、時間の関係が分かる部分はないかと探っていきます。

今、AC:CB=1:1とわかったことで、佐藤君がAからBまで歩いて2時間でいくことから、CからBまでは1時間で行くことがわかります。また、佐藤君の 歩きの速さ:自転車の速さ=1:3 ですから

CE:CB=③(自転車の速さ)×4分:①(歩きの速さ)×60分=1:5 となります。
よってCE:EB=1:4 とわかります(下図)。  

20110412-4.gif

実際の入試でこういった問題が出題されると、できそうなのに、気づかないで焦ってしまうことが多いからこそ、「速さと比」の問題が合否を分けることもままあります。日頃から、「距離が問われているから、時間が同じところをさがそう」といった「~を求めたいのだから、どこがわかればいい」という逆算的な考えで論理的に考えるようにしたいですね。


2011年02月22日

ダイヤグラムの間違いを見つける【対象学5年生以上】




ダイヤグラムの間違いを見つける【対象学5年生以上】






太田くんは自分の家から分速60mの速さで駅まで歩くことにしました。
しかし、30分歩いたところで忘れ物に気づき分速100mで忘れ物を取りに帰り、帰ったときの速さで駅まで向かいました。すると、予定より32分遅くなってしまいました。
太田くんの家から駅までは何m離れていますか。

この問題を以下のダイヤグラムにしました。
しかし、以下のダイヤグラムには誤りがあります。
このダイヤグラムの誤りを指摘し、正しいダイヤグラムを完成させ太田くんの家から駅までの道のりを求めなさい。

20110222-1.gif

























20110222-2.gif

2880m離れている状態から追い越しの旅人算となる。1920m離れている状態になるまでは、2880-1920=960m近づく必要がある。よって、近づくためには960÷(100-60)=24分かかります。48分の地点から32分以上後に駅に着く予定ですが、24分後に1920mはなれた状態(分速100mで駅に着いたとき)になると考えると矛盾が起きます。
このことより、ダイヤグラムが誤っていることがわかりますね。




























(誤りの指摘)ヒントを参照
(正しいダイヤグラム)
忘れ物を取りに帰っている途中に駅に分速60mが駅に着いている状態。
20110222-3.gif
(道のり)2400m









家から駅まで分速60mで歩き続けた場合と、忘れ物を取ってから駅まで行った距離は同じです。そのときの速さの比は(60:100)=3:5となるのでかかった時間の比は5:3となります。この時間の比を⑤と③とします。
すると、下の図のようにまとめることができます。

20110222-4.gif

上の図より、
⑤+32(分)=48(分)+③となることがわかります。
②=16分
①=8分
③=24分
となるので、分速100mで24分走るとつく距離だということがわかります。
よって、家から駅までは100×24=2400mとなります。







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2010年08月17日

ダイヤグラムの利用【対象学年:5年生以上(6年生以上推奨)】 2010-08-17




 ダイヤグラムの利用【対象学年:5年生以上(6年生以上推奨)】





 下のグラフは、Aさんが7時30分に家を出て、Bさんの家に行き、そこで4分間休んでからBさんといっしょに学校へ行くときの時刻と道のりの関係を表しています。また、このグラフの中には、Aさんのお姉さんが自転車で2人を追いかけ、7時58分に追い越して8時ちょうどに学校についたようすも描かれています。これから、AさんとBさんは何時何分に学校に着いたことがわかりますか。



1.gif
























 速さと道のりに関して何も与えられていないので、比を利用するしかありません。






















 8時6分





 AさんとBさんが4分休まなかったすれば、ずっと一定の速さでAさんの家から学校まで行ったことになります。よって、Bさんの家で4分休むのではなく、Aさんのスタートが4分遅れた(つまりBさんとBさんの家の前で会い、休むことなく学校まで行く)図を書きこんでみると、下のようになります。これより、Aさんの家からAさんのお姉さんと出会った位置までに、AさんとBさんは24分かかり、Aさんのお姉さんは6分かかったことがわかります。

 同じ道のりを進むのに、AさんとBさんは4倍の時間がかかるわけですから、Aさんのお姉さんが学校に着くまでに8分かかっているので、AさんとBさんは32分かかっています。

 よって、7時34分+32分=8時6分とわかります。



2.gif

 また、ダイヤグラムで重宝される「三角形の相似(ピラミッド・クロス)」を利用しても回答可能です。

 下の図から、青いピラミッドに注目して赤いクロスの相似比が3:1とわかるので、8時から6分進めればよいことがわかります。

3.gif









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2008年12月15日

シャドーの威力を感じてください。2008-12-15



シャドーの威力を感じてください。 

 学校から800mはなれたところに図書館があります。太郎君は分速100m、次郎君は分速80mで学校から図書館へ、花子さんは分速70mで図書館から学校へ同時に出発します。花子さんが太郎君と次郎君のちょうど真ん中にくるのは、出発してから何分後ですか。

 























ありません。



5分後


まず、3人とも同じ時間動いていることから、

条件を満たすまでに動いた道のりの比は、太郎:次郎:花子=となります。


ここで、下の図のように動きを表してみると、

学校と図書館との間の道のりは( )÷と表せます。



これが800mであることから、太郎君の進んだ道のりは800×()=500mとわかります。

よって、求める時間は500÷100=5分となります。



 さて、ここでちょっと違った見方でこの問題を解いてみます。

花子さんは、太郎君と次郎君の真ん中まで行くことになるので、「常に太郎君と次郎君の真ん中を進む、架空のミスターX」がいると考えれば、ただのXと花子さんの出会いの問題になります。

このとき、Xの速さは太郎君と次郎君のちょうど平均になるので、分速90mとなります。よって、800÷(90+70)=5分後と求められます。

 このように、条件を満たすための特別な動きをする架空のもの(者、物)は、受験界で「シャドー」と呼ばれ、特に速さの問題で威力を発揮します。

時計算、動点問題、仕事算など、速さに関わる問題で応用がきくので、ぜひいろいろと試してみてください。


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2006年07月17日

大阪星光学院中より1問です。普段の問題演習に対する姿勢が問われます。 2006-07-17



大阪星光学院中より1問です。普段の問題演習に対する姿勢が問われます。


下の図のような、AからGまでの道があり、その距離は30km です。道ABとFGは平地で、他は坂道です。平地を時速4km、坂道は、上りを時速2km、下りを時速6kmで歩くと、AからGへ行くのに7時間30分か かり、逆にGからAへ行くのに11時間30分かかります。
AからGへ行くとき、すべての下りの距離の和は上りの距離の和より何km長いですか。

(大阪星光中)


ノーヒントです。


問題で与えられた図は、下のように上りと下りをそれぞれ1つにまとめて考えることができます。
AからGへ行くのに7時間30分、GからAへ行くのに11時間30分かかったということは、
つまりAからGへ進むときのほうが、GからAへ進むときよりも合計の距離は同じでも、
下りの部分が多いということです。それは、下の図の丸で囲まれた部分のことです。

つまり、この部分の長さを求めればよい。
問題は、時速6キロで歩く時と、時速2キロで歩くときに
11時間30分-7時間30分=4時間
の差がつく距離を求めるということになる。

時速6キロと時速2キロは、速度の比は3:1。
つまり同じ距離を進むのにかかる時間の比は1:3となる。
この比の差の2が4時間なので、比の1つ分は2時間となる。
時速6キロでかかる時間は2×1=2時間、時速2キロでかかる時間は2×3=6時間である。
よって、求める距離は
時速6キロ×2時間=12キロ(時速2キロで考えても時速2キロ×6=12キロ)
答え:12 キロ


ポ イントは、そもそも問題において「上りと下りの合計」が問われているということ。
また与えられた時間が、AからGとGからAという単位で考えられていることです。

この状況を鑑みて、単純化つまり
「問われている数値を求めるために必要十分な形に変形」することが突破口になります。

そもそもこの単純化(モデル化)によってよけいな情報をそぎ落とす技術は、
限られた知識しか持っていけない試験会場において初見の問題を解く上でもっとも重要なものです。

本問のようにそもそもの情景自体を変形させるのは、なかなかレベルの高いものですが、
普段の問題演習のなかで、「取り組んだ問題は単純化すると、どの基本問題に行き着くのか」
について考えることは単純化(モデル化)の技術力を高めます。
本文では、有名な「峠を含んだ速さと比」の基本問題に行き着くのです。


~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
実験、体験から学ぶ基本姿勢が大切

単純化、モデル化に完全な正解はありません。
自分が同じだと思った類題が本質的には違っていたり、
違うと思っていたものが本質的には同じだったりすることが多々あります。

大切なことは、次に出会った問題、事象に自分で考えたモデルを当てはめ、修正していく仮説 検証能力です。

この能力を身につけるための大前提は、
手探りの中で仮説を立ててみるという姿勢です。
教科書の目次に並ぶタイトルが、最適な整理基準とは限りません。
(むしろ近年ではこれらのタイトルを横断した出題が意識的に増やされているとさえ言えます。)

正解のない中で、自ら試行錯誤の中で体系化を試みる姿勢は、同校の求める人物像です。
そして本問は、その姿勢を数年間の受験勉強の中で身につけてきたかを問う良問となっています。


2006年06月26日

今週は浦和明の星女子中より1問です。 2006-06-26



今週は浦和明の星女子中より1問です。


明子さんとお父さんは、それぞれA地点を出発して、8km離れたB地点まで行き、すぐに折り返してA地点まで戻ってくることにしました。お父さんは、明子 さんが出発してから何分か遅れて出発し、B地点の手前3kmの地点で明子さんを追い越しました。そして、B地点を折り返した後、B地点から1kmの地点で 明子さんとすれ違いました。明子さんは、お父さんがA地点に戻ってきてから110分後に、A地点に戻ってきました。ただし、明子さんとお父さんは、それぞ れ一定の速さで歩いたものとします。

(1)明子さんとお父さんの速さの比を、最も簡単な整数の比で表しなさい。
(2)明子さんの速さは分速何mですか。
                                        (浦和明の星女子)


速さを求めるために必要な要素は決まっていま す。



(1)上の図のC地点で、父が明子さんを追い越す。
ここを起点とすると、Dで二人が再会するまでに、
同じ時間で父は〔C~B〕+〔B~D〕=4km歩き、
明子さんは〔C~D〕=2km歩いたことになる。

よって、速さの比「明子さん:父」=2:4=1:2 答え 1:2  

(2)(1)と同様に、C地点を起点に考えると、C地点を同時に出発したあと、
Bを折り返し地点としてAまでの11kmで110分の差がついたことになる。
二人の速さの比は、1:2なので、同じ距離を歩くのにかかる時間の比は2:1である。

この比の差である1が110分であったのだから、
明子さんがCからBを経由してAまでの11kmを歩くのにかかった時間は、110×2=220分である。
よって、明子さんの分速は 11000(m)÷220(分)=50m/分
答え  50m/分


速 さ=距離÷時間
速さの比は、「同じ距離」を移動するのにかかった時間の比
といった、当然の定義を見失わないことが大切です。

速さと比の問題は、様々な場所や、
出来事(折り返し、忘れ物による引き返し、途中で速度が変わるなど)によって、
問題文が長く、見た目が仰々しいものが多くなっています。

しかし、突破口は1つです。
速さ、距離、時間のうち、2つが揃う場面を探し出すことです。

本問でもC地点で父が明子さんに追いついてはじめて、
「2人が同時にスタートした」という条件がそろいます。
「どこから解いたらよいのか分からない」は、
「なにがわかれば答えがでるのか」という意識の欠如が大きな原因です。
速さの場合は基本は3つの要素です。
「必要な要素を洗い出して確認する」ことが基本です。


~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・定義の深い理解が大切
速さを求めるのに一体何が必要なのか。
これは、難しいことではありません。

ただし、表面的な複雑さに目を奪われ、自分が今何を求めなくてはいけないのか、
についてしっかりとした方針が立てられないと、求値のための作業に集中できなくなります。

このレベルの問題は、「何を求めるのか」が決まったあとの計算も複雑なものになりがちです。
この複雑さによって、一行問題にかわり計算力を試しているともいえます。

つまり、正確に「これを求めれば答えにたどりつく」という方針をたてていないと、
長く複雑な計算の末に無意味な数値にたどり着いてしまうのです。

「何を求めるのか」は、数少ない選択肢を正確に確認しさえすれば
明らかになることが多いものです。

絶対に必要な要素の有無の確認は、定義についてしっかりと理解していることを
必要とするまさに質の高い基本問題といえる良問です。


2006年02月20日

今週は雙葉中入試より1問です。 2006-02-20



今週は雙葉中入試より1問です。


太郎さんはA町から一本杉を通って山頂Bまで登るのに1時間20分、山頂Bから一本杉を通ってA町まで下るのに55分かかります。ある時A町から山頂のB まで登るのに、一本杉と山頂のちょうど真ん中の地点で忘れ物に気が付きすぐ町までもどりました。そして忘れ物をとり、すぐ山頂へと向かい、はじめに町を出 発してから3時間5分後に山頂に着きました。もしも一本杉で忘れ物に気づいていたら、かかった時間はいくらだったでしょうか。太郎さんは登るときと下ると きはそれぞれ決まった速さで歩きます。

(雙葉中)


求めたい部分の距離の比を明らかにしてくれる ものは、時間の比しかなさそうです。

わすれものに気付いた地点をCとして考えます。
かかった時間より距離の比が求まる。

AB往復:80+55=135分
AC往復:185-80=105分

よって、AB:AC=105:135=7:9となる。

図のように距離の割合を考えると、
CBの割合は
9-7=2
となり、Aから一本杉までの割合は

9-2×2=5
となる。

よってA~一本杉間を往復するのにかかる時間は
105×5/7=75分

求めるべきは「A~一本杉間往復+A~Bの上り」なので
75+80=155分

答え 2時 間35分


速さと比の難問の典型例です。
雙葉中は処理能力だけでなく、かなり深く、丁寧な読み解きを要する問題を出してきましたが、女子校ではかなり重い部類の問題に入るでしょう。

ポイントは、

「求めたい片道の距離の比は、往復の距離の比と同じであり、往復にかかる時間の比から求められる」

という考え方です。

距離、速さの問題は、使う要素が「時間・速さ・距離」の3つしかありません。
この3つが、様々な形で見えにくくされていることが、この分野の難問の典型かつ唯一の方式です。

本問のように、片道の距離の比を求めたいけれども、片道の時間の比は求まらないなど、
求めたい値と同じ意味をもつ値を的確にさがさなくてはいけません。

ただ、よく考えてみると当たり前。
目の前の比の値に引きずられ、数学的に解こうとすると行き詰りますが、頭の中できちんと人が動いているイメージを作るとすぐに気付けます。

「同じ距離を歩いた時間の比」と聞くと、同じ方向に向かって、同じ時刻に並走していることを想像しがちですが、時期が違っても、逆向きに歩いていても良い のです。
「必要な情報」について、要点のみをしっかりと把握することで、視野が広がってきます。 


~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・数式と現実のイメージの結びつけを怠らないこと
算数の基本は、「数え上げ」と「測定」です。
つまり明確な対象がある場合がほとんどです。

「何を求めているのか。」「何を探しているのか。」に関して、
明確なイメージがなければ数えることも、測定することも不可能です。

にもかかわらず、勉強を進めていくと、とくにハイレベル勉強に進むにつれ、
数式のみを操作している時間が増えてきてしまいます。
常に、図式化することで数式だけでは表せない、
同値変形のヒントや言い換えのヒントを探るという、
算数を学ぶことの意味をきちんと教えてくれる良問です。


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