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生物 アーカイブ

2010年12月28日

干潟の鳥の特徴 【対象学年:3年生以上】




干潟の鳥の特徴 【対象学年:3年生以上】





 海辺では,1日のうちで海水面が最も上がる満潮と,最も下がる干潮が繰り返し起こります。特に河口のそばでは遠浅の地形になっていることが多く,満潮のときには海水におおわれ,干潮のときには泥や砂でできた,なだらかな陸地があらわれます。この陸地を干潟と呼びます。干潟には,カニや貝など多くの小さな生き物たちがすみ,そこへ様々な鳥たちがえさを求めて集まります。

 下の(ア)~(オ)の鳥の中で、この干潟に多く見られるはどれでしょうか。1つ選び記号で答えなさい。




20101227-1.jpg




20101227-2.jpg

























 ありません。



























 (エ)








干潟は泥や砂でできているとあります。とすると羽に泥などがかからない、足の長い鳥が適しているといえます。
また鳥たちがカニや貝などを泥や砂の中からくちばしでとることから、くちばしが長い鳥が適しているといえます。
以上から正解は(エ)となります。





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2010年09月28日

顕微鏡の注意点【対象学年:4年生以上】 2010-09-28




 顕微鏡の注意点【対象学年:4年生以上】





 大きさが1mm程度のミジンコを観察するために、学校のクリーンルーム(ちりやほこりがない部屋)で顕微鏡を使うことになりました。このときの顕微鏡の使い方について、誤っているものを1つ選びなさい。

 ア.まず対物レンズをとりつけた後に、接眼レンズをとりつける。

 イ.まず高倍率で見た後、全体を見るために低倍率にする。

 ウ.ピントを合わせるときは、接眼レンズをのぞきながらステージを下げていく。

 エ.プレパラートをステージに乗せる前に、反射鏡で視野の明るさを調節しておく。

























ありません。
































 顕微鏡の使い方は、中学・高校入試ともに頻出です。きちんと整理しておきましょう。

 まず、4つの選択肢の中には、2つ誤りがあります。

 ア→対物レンズを先にとりつけてしまうと、接眼レンズをとりつける間にほこりが入ってしまいます。小さな小さなほこりではありますが、顕微鏡で拡大されてしまうことで視野の大部分を妨げらてしまいます。正確には、接眼レンズを取り付けたあとで対物レンズを取り付けます。

 イ→先に高倍率で見ることは極めて難しいです。倍率が高い分視野が狭くなりますから、覗いた視野の中に対象物がないことが多いからです。そこでプレパラートを動かして調節しようとしても、微々たる動きが拡大された視野の中では大きな動きとなりますので、なかなか対象物が見られません。むしろ、低倍率で広い視野のもと対象物を中央に持ってきて、その上で適する高倍率にするのが正しい操作となります。



 さて、本問ですが、よく問題文を見ると「クリーンルームで」とあります。これにより、アの選択肢の誤りを考慮する必要がありませんから、答えはイとなります。

 とりわけ中学入試では、顕微鏡で観察する際に、1つ1つの操作を順に並び替えさせる問題をよく見ます。

 「280倍で観察したい」という問題に対し、選択肢に「70倍で観察する」とあっても無視されがちですが、まずその操作によって対象物を視野の中央にもってくるという大切な操作なのです。すべての操作に意味・理由があることに注意しましょう。それが理科という科目ですね。












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2010年08月10日

実験問題は結果を予想しながら読み解く【対象学年:4年生以上】 2010-08-11



 実験問題は結果を予想しながら読み解く【対象学年:4年生以上】

 昼間、明るく暖かいところで大きく開いていたチューリップの花が、夕方、うす暗く寒くなると、同じ花と思えないほど閉じていました。そこで、チューリップの花の開閉は光によるものか、温度によるものかを調べてみました。

 チューリップの花の聞き方を図に示した角度で表し、この開いての角度を角度と呼ぶことにします。

image01.jpg

『実験1』 角度65度のチューリップの花を、温度20℃のままで十分に暗いところに3時間置きましたが、花の角度は変わりませんでした。その後、同じ温度のままで、明るくして3時間置きましたが、やはり、花の角度は変わりませんでした。

『実験2』 十分に明るい、温度20℃のところに置いた、角度100度のチューリップの花は、明るさを変えないで温度を7℃にすると閉じ始め、やがて角度65度になり、そのままの状態が続きました。
 また、十分に明るい、温度7℃のところに置いた、角度65度のチューリップの花は、明るさを変えないで、温度を20℃にすると開き始め、やがて角度100度になり、そのままの状態が続きました。

『実験3』 花の開閉のしくみをくわしく調べるために1枚の花びらを取り、その根もとから内側と外側の2枚にはがしました。この2枚にはがした花びらを水にうかべ、これを『実験2』のように温度を20℃~7℃へ、また、 7℃から20℃へ変化させ、2枚にはがした花びらの長さを測りました。その結果、長さの変化はグラフのようになりました。

image02.jpg

以上3つの実験からチューリップの花の開閉について、次のような結論をだしました。
文の(1) -(10)に入る適当な語を下のア~スから選んで、記号で答えなさい。

チューリップの花が聞いたり閉じたりするのは、 ( 1 )に反応して開くのではないことが実験( 2 )から分かりました。( 1 )ではなく( 3 )の変化に反応して開くことが実験( 4 )で明らかになりました。花が開くのは( 5 )から( 6 )に移されたときであり、このような( 3 )の変化があったときに、花びらの成長が( 7 )のほうが( 8 )より大きいためです。このことは、実験( 9 )が示しています。したがって、 ( 3 )の変化によって開いたり閉じたりして、花びらは少しずつ(10 )なります。

ア.大きく  イ.小き   ウ.1   エ.2   オ.3   カ.温度   キ.光   ク.明るいところ   ケ.暗いところ   コ.高温のところ   サ.低温のところ   シ.外側   ス.内側     

(桜蔭中)























・違いが二つ以上ある場合、ひとつの結果への原因が特定できません
・国語の問題だと思って文章を集中して読み込むこと


















1.キ 2.ウ 3.カ 4.エ 5.サ 6.コ

7.ス 8.シ 9.オ 10.ア



一つの結果からその要因を特定する場合、唯一の違いに着目します。実験1では、明るさ以外は条件が固定されています。ここから明るさの違いが結果の違いを生んでいると判断します。

実験2は明るさが固定され、温度を変えることでチューリップが開花していることがわかります。

実験3では、温度を下げると(左側のグラフ)、外側が大きく成長し、また、温度を上げると(右側のグラフ)内側が成長することを読み取ります。従って、温度を20℃から7℃にした際は、花の外側が成長し、花は閉じます。

温度が上がろうが、下がろうが、花全体でみると成長しています。従って花は大きくなります。

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実験結果から物事を考察する力を試す良い問題です。漫然と起きていることから穴埋めをするのでなく、それぞれの実験結果が何を表すのか考え続けた生徒とそうでない生徒に大きな差がついたのではないでしょうか。

こういった問題を解くコツは「結果を予想しながら問題文を読み解くこと」

考えてもみて下さい。普段の教室の実験でも「どうなるのだろうか」と考えながら参加するのと、なんとなくグループの中で言われたとおりに作業に参加するのでは、考察にたどりつくべく理解度が大きく変わります。試験でも擬似的に積極的に実験に参加する自分を意識してみて下さい。

「なにが起きているのか」集中力を切らさずに問題文・条件を読み込む姿勢が求められます。
読解力が要されるのは国語ではなくむしろこういった複雑な実験問題でしょう。























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2010年06月29日

既存知識に頼らずに実験から考察する(灘中より)【対象学年:4年生以上】2010-06-29




 既存知識に頼らずに実験から考察する(灘中より)【対象学年:4年生以上】





植物は種をまいてから一定の時間が経過すると花がさくと思われがちですが,実際には冬をこして昼の時間が長くなると花をつけるものや,夏至以降,秋にかけて昼の時間が短くなるとつけるものもあります。

これらの植物では,昼夜の長さを葉で感じているようです。そこでよく知られているアサガオがどのような光の条件で花をつけているのか調べるために次のA~Fの実験で調べました。

ただし調べるアサガオはある1つの品種に限定し,光以外の条件はすべて同じにして,それぞれの実験において10個の植木鉢で結果をみました。
nada1.jpg


この結果にもとづいて以下の問いに答えなさい。

(1)
実験から導かれる結論について述べた次の文章で,{ }はどちらかを選び,( )には適当な値を整数で答えなさい。

『このアサガオの品種で少しでも花がさくためには{ア 昼間  イ 夜間}の{ウ 合計時間  エ連続時間}が,( )時間よりも{オ 長い  カ 短い}必要がある。』
   


(2)
下の図はハワイでの日照時間のうつりかわりを表したものです。「種が発芽して,葉が出たばかりのアサガオの鉢植え」を日本から,いきなりハワイに運んだ場合,どのように なりますか。(1)から導かれた開花の特徴から考えて,次のア~エから選びなさい。

nada2.jpg

ア いつまで待っても花はさかない。 
イ 6~7月に移動したのであれば花芽ができ,さき始める。
ウ 6~7月以外に移動したのであれば花芽ができ,さき始める。
エ 何月であっても花芽ができ,さき始める。 

        
(3)
キクはアサガオと同じように光の条件がととのうことで9月の上旬に花芽ができ,10月の下旬に開花します。このキクを正月に出荷するためには,花芽の形成自体を遅らせる必要があります。どのような処理をすればよいか20字以内で答えなさい。ただし温度条件は考えなくてよろしい。






















 ありません。



















(1)イ、エ、9、オ

(2)エ

(3)夜間に電灯でキクに光をあてる




(1)
与えられた実験結果から、開花に影響を与えるのは夜の長さだとわかります。B、E、F を比較すると昼の長さが関係ないことがわかるはずです。

AからCより、その夜の時間が少なくとも9時間必要であることがわかり、また、DとEを比べることで、開花に必要なのは夜の時間の合計ではなく、連続時間だということがわかります。 

物事を比較するときのコツを身につけましょう ⇒ 参考

(2)
グラフよりハワイでの夜の時間は絶えず10時間以上とわかる。 (1日は24時間であり、日照時間が最長でも14時間 )

(3)
(1)~(3)を通して「示された実験結果から仮説を導き、その仮説をもとに問題を解く」 というタイプの思考力問題です。

既存の知識は意味を持たず、その場で仮説を組み立てる必要があるという意味で、受験生の思考力を測る良問だと思います。

こういった問題に対し、「こういうの習ってないからわからない」という反応をした生徒は勉強方法を大きく変えないと、そもそもどれだけ勉強時間をとっても成果はあらわれません。

実験結果から仮説を導きそれを応用して未知の問題を解くというプロセスになれていれば、2年生、3年生でも解答できますね。 (問題文を噛み砕いて説明する必要はあるでしょうが)










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2010年05月11日

微生物の動きには意外な秘密があります 2010-05-11




 微生物の動きには意外な秘密があります。





 下の図は、両性プランクトンであるミドリムシです。このミドリムシは、葉緑体をもち光合成をすることができ、べん毛とよばれるつくりで自ら動くこともできます。このミドリムシは、どちら向きに動きますか。図のア~エから選びなさい。

 























 ありません。



















 ア





 べん毛を尾のように使ってウの方向へ進むと思われがちですが、実はちがいます。図で赤く示した部分がミドリムシの「目」にあたるので、進む方向はアなのです。











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2010年03月09日

こん虫の足は、なぜ6本なのでしょうか? 2010-03-09



 こん虫の足は、なぜ6本なのでしょうか?

 次の図は、こん虫のからだを簡単に表したものです。6本の足をそれぞれ1~6とするとき、1と一緒に動かす足として正しいものはどれですか。次のア~エから選び、記号で答えなさい。
ア.2と3
イ.2と4
ウ.3と4
エ.3と5

 























 動くためには、からだを支えて足を出す必要があります。










 エ



 まず、こん虫の足が2本だったと考えてみましょう。こん虫は体を支えるための骨格がない(外骨格)ため、片方の足をあげた際に体を支えることができずたおれてしまいます。つまり、体を支えつつ足を出すようにしなければ、うまく動くことができないのです。

 仮に左右2本ずつ計4本の足だった場合、2本の足で体を支え、残りの2本の足を出していくことになりますが、1つの面(地面)を2本の足で支えるのも不十分です。3点で平面が1つ決まるのと同様に、地面で支えられるためには最低3本の足が必要になりますから、左右対称に3本ずつ計6本足が必要なのです。

 また、左右の足を交互に出していくわけですが、1と2と3を同時に出すわけにはいきません。この場合、地面についている足は4と5と6の3本ありますが、一直線に並んでいるためにうまく支えることができないのです(一直線上に並ぶ3点では平面は決まりません)。つまり、同一直線上にない3点になるような足の出し方は、選択肢のうちイ(1・2・4)、ウ(1・3・4)、エ(1・3・5)ですが、左右の足の出し方の対称性を考えると、エが適当になるのです。


 

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2009年09月15日

自分(ヒト)の体を理解していますか?2009-09-15



 自分(ヒト)の体を理解していますか?

 下の図は、ヒトの体の骨を表しています。ヒトの体は、およそ200個の骨でできていますが、この中で最も長い骨はどれですか。次のア~オから選び、記号で答えなさい。

 ア.鎖骨(さこつ)
 イ.背骨(せぼね)
 ウ.骨盤(こつばん)
 エ.指節骨(しせつこつ)
 オ.大腿骨(だいたいこつ)

























 ありません。



 オ.大腿骨(だいたいこつ)



 図から、最も長い骨を探すと多くの人がイ.背骨を選びます。
たしかに、首から腰までをつなぐ骨ですから「長い」イメージがあると思いますが、実はそうではありません。

  背骨は、腰を曲げるために柔らかな動きができなければなりません(長い1本の骨だとしたら、曲げられません)。
よって背骨は小さな臼状の骨が軟骨によってつなげられる「軟骨接合」とよばれるつながり方をしています。
すなわち、背骨自体はとても小さいのです(下の図参照)。これより、ヒトの体の中で最も長い骨は、足のオ.大腿骨となります。

 さて、先週から小5の生徒たちがヒトの体について学習しています。この骨に関しては「3つのつながり方と動き」について主に学習するわけですが、それをただ暗記するだけではもったいありません。

1.ほう合・・・板状の骨がかみ合い、まったく動くことはないつながり方
2.なん骨接合・・・小さな骨が軟骨でつながっているため、しなやかに動くつながり方
3.関節・・・骨どうしが間をあけて筋肉やじん帯などで結ばれ、大きく動かせるつながり方

 これから、軟骨接合の背骨が小さな骨の集まりであることも、問題に活かしたいところです。

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2009年03月30日

一問一答だけの学習は危険です。2009-03-30



一問一答だけの学習は危険です。

 植物は、光を受けて「光合成」というはたらきを行う一方で、「呼吸」というはたらきを絶えず行っています。この「呼吸」について、次の(  )にあてはまる言葉を答えなさい。

呼吸は、(  )を得るためのはたらきです






















「呼吸は光合成と逆のはたらき」とよく言われますが…。



生活エネルギー


 光合成は、葉緑体を持つ生物のみが行うことのできる特別なはたらきであり、このはたらきによって、生物が生きるのに必要な「光のエネルギー」を養分(でんぷん)の中に閉じ込めることのできます。そして、その養分をつくるための材料となるのが二酸化炭素と水であり、多くの参考書やテキストでは下の図のように表されています。

 一方、この光合成と逆のはたらきとして紹介されているのが呼吸ですが、落ちついて考えてみてください。光合成と逆のはたらきをするために呼吸があるのであれば、そもそも光合成、呼吸ともに行う意味がありません(せっかく光合成でつくった酸素と養分を、二酸化炭素と水にもどすのですから)。

つまり、二酸化炭素や水にもどすことは、呼吸の「目的」ではないのです。

 本来、呼吸は養分の中に閉じ込めた光のエネルギーを取り出すために行うのです。簡単に言えば、光のエネルギーというお金を養分(でんぷん)という名の貯金箱に蓄えるために行うのが光合成であり、その貯金箱をこわして中のエネルギーを取り出すために行うのが呼吸なのです。
 よって、呼吸を行う目的は「生活するためのエネルギー」を得るためというべきです。



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2009年03月02日

「知っている」と「読み取る」は異なります。 2009-03-02



「知っている」と「読み取る」は異なります。

 植物の蒸散について調べてみたところ、環境の変化に大きく左右されることがわかりました。下のグラフは、ある1日の蒸散量、太陽からの放射熱、気温を、それぞれ1日のうちの最高値を100として相対的に表したものです。このグラフからわかることとして正しいものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。
 ア.蒸散によって、根から水や肥料を吸収するはたらきがさかんになる。
 イ.気温が高いほど、蒸散はさかんに行われる。
 ウ.太陽の放射熱が強いほど、蒸散はさかんに行われる。
 エ.昼の1時間で行われる蒸散量は、夜の間に行われる蒸散量と等しい。
 オ.蒸散は、正午前の3時間よりも、正午後の3時間の方がさかんである。

 
   






















きちんと吟味してください。



それぞれの選択肢を見てみます。


×ア…蒸散の説明としては正しいですが、このグラフからわかることではありません。


×イ…一般的に、「気温が高くなると蒸散はさかんになる」とテキスト等には書かれています。

しかし、実際に蒸散量は気温のみに左右されるわけではありません。グラフを見てみると、14~15時くらいで気温が上昇しているにもかかわらず、蒸散量は減少してしまっています。これより、気温が高ければ必ずしも蒸散がさかんであるとは言えないことになります。


×ウ…イと同様に、12~13時くらいで放射熱が減少しているにもかかわらず、蒸散量は増加しています。よって、正しいとは言えません。


×エ…このグラフには夜の蒸散量が描かれていないので、等しいかどうかを判断することはできません。しかし、一般的に昼間の1時間で行われる蒸散量は夜間に行われる蒸散量全体と等しくなるか、それ以上に達するといわれています。


○オ…正午の左側と右側に分けて見てみれば、一目瞭然です。


 よって、このグラフから読み取れることはオとなるのです。


 さて、この問題で圧倒的に多く見られる誤答は「イ」です。


上の解説にもあるとおり、さまざまなテキストでは、ただ1つの知識として「気温が高いほど蒸散はさかんである」とまとめられています。もちろん、気温のみの影響だけを考えれば正しいのですが、その他さまざまな影響が複雑にからみあえば必ずしもそうとは言えなくなります。問題は「このグラフからわかることとして」ですから、イは正解にはなりません。



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2009年02月01日

テキスト学習の弊害は、所見問題に手が出ないことです。2009-02-01



テキスト学習の弊害は、所見問題に手が出ないことです。

  ある地方のコオロギを使って、次のような実験をしました。ただし、このコオロギは9月の中ごろに卵を産むことがわかっています。

<実験>
 うまれてすぐの卵を野外から数多く採集し、10℃以上に保って育てた結果、卵がかえるまでに、次の3つの段階があることがわかった。

◇第1段階◇ 卵の内部でからだが作られていく変化が見られる。
◇第2段階◇ 卵の内部のようすに変化が見られない。
◇第3段階◇ 卵の内部でからだの成長が見られる。

  <結果1>
 A)第1段階と第2段階の長さの和は、卵によってまちまちで、最も短いので3か月、最も長いもので5か月だった。
 B)第3段階の長さはどの卵も同じで、1か月だった。

  次に、飼育中に温度を下げ、10℃より低い温度において実験を行った。

<結果2>
 C)第1段階と第3段階の卵は、内部の変化や成長は見られなくなり、1か月以内に死んでしまった。
 D)第2段階の卵は、10℃よりも低い温度に保った後、再び10℃以上にすると、やがて第3段階に入り、卵はかえった。

(1) 10℃以上に保って育てた卵は、何月にかえりましたか。正しいものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。
   ア.10月~12月
   イ.11月~1月
   ウ.12月~2月
   エ.1月~3月
   オ.2月~4月

(2) 実際、野外においては1年を通して気温が10℃をこえたままであることはありません。この地方の各月の平均気温を調べたところ、以下の表のようになりました。これから、野外では、卵はいつかえると予想できますか。最も適当なものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。
   ア.2月
   イ.4月
   ウ.6月
   エ.8月
   オ.10月






















ありません。


(1) エ
(2) ウ


(1) 気温が10℃以上とあるので、実験結果の A) と B) を利用すればよいのです。第1段階と第2段階の和が3ヶ月~5ヶ月、かつ第3段階は1ヶ月なので、卵がかえるまでに必要となる時間は4ヶ月~6ヶ月です。

(2) 実際の野外では、表を見てわかるとおり気温が10℃を下回ってしまう月が存在します。つまり実験結果の C) や D) も考慮に入れなくてはなりません。

 ここで、C) や D) からわかることとしては次の2点です。

・・・第1段階、第3段階の卵の状態では10℃以下の気温の中では死んでしまうこと。
・・・第2段階の状態で10℃以下の気温の中に入った場合、再び気温が10℃をこえるまで卵は保たれ、その後第3段階に入ること。

 これより、9月以降に気温が10℃を下回る11月を境に、次の3つのパターンを考えます。


パターン1 )
11月に入った段階で第1段階だった卵…死んでしまいます。

パターン2 )
11月に入る前に第2段階に入った卵…その状態のまま保たれ、翌年の5月に第3段階に入ります。

パターン3 )
11画月に入る前に第3段階に入った卵…ありえません(少なくとも3ヶ月必要です)。


以上のことから、野外でかえる卵は、第2段階のまま冬を越えたBパターンのものしかありえず、その結果翌年の5月に第3段階に入り、6月にかえることがわかります。

さて、この問題を解くために「市販のテキストに載っているような詰め込み型の知識」が必要でしょうか。

おそらく、与えられた条件を精査することになれない受験生こそ、頭が真っ白になる可能性の高い問題です。近年の中学入試で問われている本当の学力を知ってください。

※ちなみに、テキスト学習ではコオロギの冬越しが「卵」であることは基本知識です。


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