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2011年03月01日

地形図の読み取りとリード文の利用【対象学5年生以上】




地形図の読み取りとリード文の利用【対象学5年生以上】





下の地形図は国土地理院発行2万5千分の1「八ヶ岳」の一部を拡大したものです。図中のPの滝での集水域として最も適しているものを、下の「集水域の見方とヒント」を参考にして、次のア~エから選び、記号で答えなさい。

20110301-1.gif

[集水域の見方とヒント] 集水域とは、水が集まってくる範囲をいいます。 左図のQのダムでは、Aの範囲が集水域です。 集水域を判断するには、右図のように地形図に描かれていない川(谷)に線を引いてみてもよく分かります。 これらの川を囲む尾根(山と山との頂を結んで続く最も高いところのつらなり)の部分に線を引いた範囲が集水域であることが分かります。

20110301-2.gif

20110301-3.gif

























問題文のヒントがそのままヒントになります。
尾根と谷は等高線が、山頂にたいしてせり出しているか、へこんでいるかで見分けます。





































まず、尾根と谷とは何かを考えてみましょう。尾根とは山頂から続く山の高いところの連なりです。下の写真を見るとわかりますね。そして尾根と尾根に挟まれた部分はまわりより低くなった場所でそれを谷といいます。下の写真では手前の尾根Aと奥の尾根Bに挟まれた場所が谷になるわけです。

20110301-4.gif

これを等高線で見ると、尾根の部分はまわりより高くなっていますから、山頂から、張り出す形になっています。また谷は、まわりより低いので、山頂に向かってへこむような形になることになります。

下図を見てみましょう。南東のはじにある赤い●がこの地域で最も高い場所です。そこから北に向かって、標高の高い数字が並んでいるので(下図の青い●)、それを結んだ線がこの地域で最も高い尾根ということになります(下図赤い太線)。

そしてその線を基準に等高線がはりだしている部分が尾根、へこんでいる部分が谷だということです。図の細い実線部分(尾根)や点線部分(谷)がそれに当たります。太い赤線より東側の部分にふった雨は東側へ、西側へ降った雨は西側へ流れるわけです。

20110301-5.gif

さて、では、問題文のヒントにしたがって、P地点の集水域を作図してみましょう。

P地点からそれより高い東側に向かって川の流れこむ谷を作図してみると、下図の太線AとBが谷になっていることがわかります。その二つの谷が、問題のヒントに与えられている川ということになります。(問題を解くだけなら不要ですが、その川に流れこむ周辺の川もいくつか描いておくと、より分かりやすくなります。(下図)

20110301-6.gif

つぎに、問題のヒントにあるように、それを囲む尾根を探して、最初の太い赤線で描いた尾根までの線を引きます。
(下図)

20110301-7.gif

すると、これがP地点の集水域だとわかりますから、アが正解となりますね。
ちなみにこの集水域の境界に当たる尾根周辺では、降った雨は上図の矢印のように流れますから、作図が正しいことが確認できます。

集水域など、聞いたことがないし、やったことがない、と言っていても始まりません。問題文のヒントがある以上、それにしたがって、考えを進めていくことが大切です。

近年では、このような集水域を実際、作図させるような問題も出題されるようになってきました。非常に緻密で正確な思考と作業が必要な難問ですが、一度はやっておくとよい問題です。







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2010年11月16日

地形図の読み取り【対象学年:4年生以上】




 地形図の読み取り【対象学年:5年生以上】





下の地形図は鹿児島県指宿市の一部です。地形図をよくみて、つぎの問いに答えなさい。



20101116.gif


① 「山川発電所」はこの地域の自然との関わりが深い発電を行っています。どんな種類の発電所か答えなさい。

② ①のように考えた理由を答えなさい。

























鹿児島県指宿市は指宿温泉で有名です。



























① 地熱発電所

② 地図中に「天然砂蒸し」とあるので、地中の温度が高いと考えられるから。







 「鹿児島県指宿市」から指宿温泉を連想し、地中の温度が高いから地熱発電といってもいいですが、問題文に「地形図をよくみて」「この地域の自然との関わりが深い発電」とあることから、この地域の特徴を地形図から読み取ってみましょう。

 海が近くにあります。そこで原子力発電所か火力発電所という仮説が一瞬頭をよぎりますが、
これらはもっと海につき出していますね。また、この2つのどちらかとしてもこれ以上1つに限定する条件がみつかりません。

 地図中に「天然蒸し」ということばがあります。砂に入ってあたたまる、砂蒸し風呂のことですね。
これを知らなくても、「蒸す」ということは地中の温度が高いんだなと気づきことはできるでしょう。
とすると、地熱発電所にいきつくことができます。


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2010年06月01日

[社会]平成15年麻布中学入試問題【対象学年:4年生以上】




 [社会]平成15年麻布中学入試問題【対象学年:4年生以上】





<本文省略>


 人類の重要な発明品に道具と機械があります。これまで取り上げてきた自転車は、人類が発明したもっともすばらしい道具のひとつであるといわれています。

(1) では、人類で発明した最初の道具は、何だったでしょうか。

(2) 自転車が道具であるとして、道具と機械のちがいについて考え、道具とはどのような性格のものか説明しなさい。

(平成15年麻布中学校入試問題*社会 問11)。


 























 ありません。


















 (1) 石器

 (2) 「道具とは、機械が動力で動かすものに対して、人間の力で動かすものという性格のものである。」





(1)は、単純知識ですね。石器でいいでしょう。

(2)が麻布ですね。
まず道具と機械を具体的にくらべるとわかりやすくなります。
道具の代表として自転車があがっています。機械の代表は自動車としましょうか。
自転車とオートバイはどこがちがうのだろうと考えてみるのです。

自転車は、自分でこいで動かす。
オートバイは、エンジンで動かす。
ここまでは、いけると思います。あとは、これを抽象化してあげればいいだけですね。

道具は、人間の力で動かすもの。
機械は、動力で動かすもの。
あとは、くっつけるだけです。

「道具とは、機械が動力で動かすものに対して、人間の力で動かすものという性格のものである。」

具体化、抽象化のトレーニングは、日常生活でも十分できます。簡単なものからはじめてみましょう。










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2009年04月20日

伝え方(話す順序、比較対象など)によって相手に与える印象が変わる 2009-04-20



2009年 サレジオ学院中学校(社会)より

 次の実験内容と結果をみてわかることとして、最も適当なものをア~エから1つ選びなさい。

<実験>
 ある学校の生徒200人に、「自分が担当されたい教員を選びなさい」という質問において、(1)と(2)という2問について、A、Bどちらの先生が良いか、回答してもらいました。

(1)A先生とB先生どちらがよいですか
A先生・・・規則を破ってまで無理に勉強させることはしませんが、勉強以外のことはまったく面倒をみません。
B先生・・・場合によっては、規則を破ってまで無理に勉強をさせることもありますが、勉強以外でもよく面倒をみてくれます。

(2)A先生とB先生どちらがよいですか
A先生・・・勉強以外のことはまったく面倒をみませんが、規則を破ってまで無理に勉強させることはしません。
B先生・・・勉強以外のこともよく面倒をみてくれますが、場合によっては規則を破ってまで無理に勉強をさせることがあります。

<結果>
(1) A先生・・・78人(39%) B先生・・・122人(61%)
(2) A先生・・・104人(52%) B先生・・・96人(48%)

ア.(1)、(2)のどちらの問についても、A先生の方が良い先生だという見方をする生徒が大半を占めています。
イ.情報は伝え方により、同じ事実を伝えても、受け取る人々の印象が大きく異なってしまいます。
ウ.事実を明確に伝えることで、人々はその事実に対して、ほぼ同じような理解を示します。
エ.(1)、(2)ともに、聞いている内容がまったく異なるので、A先生とB先生を比較することは出来ません。























消去法でも可能ですが・・・。




 問題を読んで、おそらくどのようなことが問われているのか想像できてしまう人も多いと思いますが、一応それぞれの選択肢をみてみましょう。

ア・・・(1)では明らかにB先生の方が良いという結果になっているのであてはまりません。
ウ・・・(1)と(2)では、伝える順番の前後がいれかわっているだけで、内容自体に変化はありません。しかし結果を見ると、(1)と(2)では明らかにその先生に対する印象が変化しています。よって、あてはまりません。
エ・・・(1)と(2)は、内容としては一致しています。

 というように、情報は伝え方(話す順序、比較対象など)によって相手に与える印象が変わってくるということです。

 例えば、

「○○くんは、××はやらないし話も集中して聞けないから期待できないけど、本気出してがむしゃらに勉強すれば相当伸びるよね・・・」

「○○くんは、本気出してがむしゃらに勉強すれば相当伸びるだろうけど、××はやらないし話も集中して聞けないから期待できないよね・・・」

では、相当印象が変わるはずです。


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2008年01月07日

資料読解の良問です。グラフの読み取りの基本・初見問題を仮説解く方法を学習します。2008-01-07



資料読解の良問です。グラフの読み取りの基本・初見問題を仮説解く方法を学習します。


下のグラフは2002年の日本の各地方の耕地面積と農家数をあらわしたものです。 北海道の農家の農業形態について考えられることをかきなさい。




「北海道は、他の地域に比べ農家数に対して作付面積が大きい」ではグラフを見たままですね。この問題では「そこから考えられること」を仮説として構築できるかが問われています。


北海道は、他の地域に比べ少ない農家で、広い面積を耕地として利用している。このことから、北海道では大規模に機械をつかった効率的な農業をおこなっていると考えられる。


グラフを読むコツは、「全体として傾向をつかむ」「特異点(目立つところ・他と違うところ)に着目する」ことです。



本問の場合、経年変化のグラフでもなく、また全ての地域においてデータに特色があるわけではないので、全体の傾向はとくに見出せないと思います。目立つところとしては、問題になっている北海道の耕地面積と農家数の割合ですね。


ヒントに書いたように、北海道が他地域にくらべ、少ない農家で広い場所を農家利用していることは、グラフをみれば一目瞭然です。これは、ある意味、慣れていれば「だれでもわかる」ことです。


ここで、「この差はなぜ?」「なぜ北海道の農家の人はそんなことができるの?」と、「思考開始の合図」となる「?」を頭に思ういかべられるかが、こういった記述問題正解への鍵となります。


さらに、この「なぜ?」を考えるべく、選択肢をあげます。ポイントは、まず網羅的に選択肢を上げることです。この段階では、現実感よりも1人でアイデアを膨らますことを意識すべきですね。



たとえば、



「北海道の1つの農家で農業に従事している人間の数が著しく多い」

「北海道の農家で働く人は、とりわけ農業に習熟しており並外れた能力をもっているため、効率的に耕作ができる」

「北海道では大々的に機械を農作業に取り入れており、効率的に耕作ができる」



でてきたアイデアからもっともありえそうなものをえらんで、本問の解答とします。



この「議論や思考を広げるために、ありえるアイデアを網羅的にあげる」という作業は大人になるとブレインストーミングなどといって、物事を考える際に最初に行う作業ですね。小学生にもその能力とスキルは求められているのです。




2007年07月23日

頌栄女子学院中より。複数段階の論理展開を行うための基礎的な問題。 2007-07-23



頌栄女子学院中より。複数段階の論理展開を行うための基礎的な問題。


ニュージーランドの方が日本よりも年間の気温の変化が小さくなっています。これには、
冬にあたる時期の気温の違いが大きく関わってきます。同じ島国でありながら、
日本の冬の気温は低く、ニュージーランドの冬の気温は比較的暖かいのはなぜですか。次のヒントをもとに説明しなさい。

《ヒント1》
水は温まりにくく冷めにくい物質である。岩石や砂、土などには、水に比べると温まりやすく冷めやすい。

《ヒント2》
それぞれの国の周りの様子(下図)

(頌栄女子学院中)


日本は、温度変化の大きい大陸が近くにあり、大陸が冷えた際の影響を受け気温が下がる。

これに対し、ニュージーランドは、まわりを広い海に囲まれており、冬になって冷やされても温度の変化が小さく、
海水が冷えることでの影響が少ない。

このため 同じ島国でありながら日本とニュージーランドでは冬の気温差が生じる。


ヒント1 ⇒ 水は温度変化が小さい ⇒ 海は冬になっても、陸ほど温度が下がらない。
     ⇒ 岩石・砂・土は温度変化が大きい ⇒ 陸は冬になると、海よりも温度が下がる。

~今回の問題より導かれる出題校からのメッセージ~
複数段階の「だから」をつかった論理展開ができるようになってほしい

「良問」と言われる問題の多くによく見られるパターンですが、

単に、
条件・ヒント ⇒ 結論・解答

というプロセスを求めるのではなく、

条件・ヒント ⇒(だから)⇒ 考察 ⇒(だから)⇒ 考察 ⇒(だから)⇒ 結論・解答 

というように、確実に「だから」でつながる事象をつなげたり、時には言えそうな予想(仮説)をたて、
複数段階にわたって「だから」思考の積み重ねを要します。

本問は、ヒント⇒考察⇒解答 という比較的平易な種類の論理展開での解答が可能ですが、
同様の問題でも考察が数段階になったとたん多くの受験生にとって「難問」となってしまうのが、
教室での実感です。

1つの知識を学んだら、そこから「だから」を使って派生させ周辺知識を覚えるという習慣を身につけましょう。
多くの成人に関しても「だから」が正しく使われているかはそもそも疑問です。

小学生のうちから「だから」で思考を広げる訓練を積みたいものです。


2005年12月19日

今週は、東京大学入試からの一問です。小学校5年生以上で、「考える」練習を積んでいれば解答可能です。ロジムの5,6年生では5割の生徒がほぼ満点の解答でした。 2005-12-19



今週は、東京大学入試からの一問です。小学校5年生以上で、「考える」練習を積んでいれば解答可能です。ロ ジムの5,6年生では5割の生徒がほぼ満点の解答でした。


下の図 は、自動車の国内生産台数と輸出入台数の推移をみたものである。
下記の言葉を参考もしくは引用して、この資料について説明しなさい。

(円高 オイルショック 貿易摩擦 海外生産) 

(東京大学 改)


グラフの問題は、傾向が大きく変わっているところ(増加から減少への変化など)に注目することが大切です。
その変化の「なぜ?」について考えて見ましょう。


1976年のオイルショックで石油の値段が上がったことを機会に、日本製の燃費の良い車が世界中で注目さ れ、国内生産台数も輸出台数も急激に増えた。しかし、1980年代のアメリカやヨーロッパとの貿易摩擦や円高の発生以来、日本のメーカーが海外生産を進め 始めたので、国内生産台数、輸出台数ともにその分 が減ってきた。


グラフのポイントは、

・1975年ごろから国内生産・輸出ともに急増
・1985年ごろから輸出が急落
・1990年ごろから国内生産台数が急落

です。
グラフ問題では、トレンド(全体の傾向)が変化したところに印をつけて、
「何が起こったのか?」について考えることが大切です。
算数や理科のグラフ問題でも同じです。

上記のポイントに着目すれば、用語が大きなヒントになります。

オイルショック:1973年→石油価格の高騰
円高:1985年以降→輸出品にとって不都合
貿易摩擦:1980年以降→日本の貿易黒字拡大や外国の雇用問題

は、いずれも誰もがおぼえることになる基本事項です。

あとは、それぞれの用語の意味、背景に関する知識を結び付けるだけです。
用語を答えるのではなく、用語の説明をできるような学習をしているかどうかが分かれ目でしょう。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・他分野の知識・常識への意識が大切
東大の入試が変わると、同時に上位校の中学入試が変わるといわれているほど影響のある東大の2003年度地理の問題です。例年、小学生でも十分に取り組むことのできる思考力重視の良問が出題されていますし、参考にしたと思われる中学入試問題もとても多く見ることが出来ます。

問われているのは、
既習の知識を有機的に結びつける力です。
上位中学校が求めるものと同じものです。

この能力は、常日頃から上記のような趣旨の問題に集中して取り組む時間をとっているかどうかに大きく左右されます。

目の前の「厳密さに欠けるデータ」を前にして、知識と常識を動員して考察を試みる。唯一の正解を探し出すことになれてしまっていると、この取り組みはとて もハードルが高いものに思えるでしょう。中学入試でも国語・算数・理科と違って、社会は、「受験学年前の一問一答式中心の学習」と「入試で出題される総合 問題」のレベルにはとても大きな隔たりがあります。

暗記中心(これで6年夏までのテストはほとんど対応できます。)になりがちな社会の学習計画ですが、低学年時からその場で「知っていることを組み合わせ て、新しい考察を試みる」という作業を取り入れることは思考力の下地を作るのにとても役立ちます。

子供は、教科書の中の知識とテレビや新聞などに載る世の中の出来事を結びつけるのが意外に苦手です。しかし、一度そのよ うな考察をすることを覚えると、身の回りのものを結び付けてみようという意識が普段の生活の中で飛躍的に高まりまるのです。

(参考)
未知の問題に出会ったときに、どうやって仮説・推論を組み立てるのか。これがまさにロジカルシンキングです。 (ロジムテキストより抜粋)


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