人々が積み重ねてきたもの

こんにちは。竹村です。

ついこの間、仕事帰りに立ち寄った本屋さんで
ニュートンという有名な初心者用科学雑誌の
虚数についてまとめた別冊を買ってみました。
実際にレジで会計をしてみたら、思ったより
もだいぶ高くてちょっと後悔しました。

しかし、実際帰りの電車の中で読んでみると、
数の歴史をきれいな図と工夫された文章で
とてもわかりやすく説明してあって、
よい買い物だったと思い返しました。

個人的には、古い時代の「模索期」というか、今で
言う合理と非合理、学問と迷信がごちゃごちゃに
混ざっていた時代の話が妙に興味をそそりました。

一番面白かったのは、ピタゴラスの弟子に関する伝説でした。
「ピタゴラスの定理」や音階の発見で有名なピタゴラス
ですが、歴史上の様々な哲学者や学者と同じで、
現在から見れば奇妙な面も沢山持っていました。
彼の宇宙像は観測に基づかないかなり空想的な
ものであったようですし、数学に関しても
「1は理性、2は女性、3は男性、4は正義…」
「10は完全なる数」といったようなアイディアを
持っていたようです。

彼は研究者であると共に教団のリーダーでした。
何百人もの弟子と共に宗教から政治まで広く学び
暮らしていました。そして、その教団の教えの中に
「有理数(分数で表せる数)が数のすべてであり、
有理数で表せないものはない」というものがありました。

ところが、伝説によるとある弟子が「有理数で表せない」数
を見つけてしまいます。ロジムの生徒もよく持っている
三角定規のひとつ、直角二等辺三角形にピタゴラスの定理を
当てはめると、他の二つの辺の長さを1としたとき
斜辺の長さが√2であることが導かれます。

この√2、実は有理数ではありません。

ピタゴラスの教えにそむくこの発見に、他の弟子たちは
おそれおののき、この発見を秘密にするためにその弟子を
殺してしまったというのです。

今では考えられないことですね。

今では、とても洗練された学問が学校、塾、本屋さんや場
合によってはインターネットですら簡単に手にすること
ができてしまうのでついついそのありがたみを忘れてしまいます。
しかし、学問とは本来そういう長い試行錯誤の時代を経て
少しずつ積み重なってきたとても貴重なものなのでしょう。

そういったことも少しずつ伝えていけたら、と思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です