過去問を読み解くということ

本書は平成19年2月1日に行われた開成中学校の
算数、理科、社会の入試問題とその解説や必要となる背景知識、論理の筋道をまとめたものです。

開成中学校の入試問題は、入念に準備を重ねてきた首都圏の最上位の受験生たちを、
小学生の範囲内の知識の組み合わせによって跳ね返す、非常によく練られかつレベルの高いものです。
しかし、同レベルの中学校の入試問題と異なり、一部を除き奇抜な発想は要求されず、
通常の受験勉強の積み重ねの先に解くことのできる問題です。
それは、開成中学校の入試問題が、その後他校の入試に出題され、
中学入試問題のスタンダードになってきたという歴史からも、窺い知ることのできることです。

つまり、開成中学校の入試問題は、本校を志望する生徒以外のすべての小学生にとっても質の高い、恰好の教材となりうるものなのです。

従来の過去問題集は、非常にスマートな形で、言い換えれば能率的な形で解答を記していました。 しかし、開成中学校の入試問題は、「解いて終わり」「正答率で合格確率に目安をつけて終わり」にするにはあまりにももったいないものなのです。
問題を解くための基本技術や基本概念、その問題から派生させ
有機的に結びつけて理解することのできる諸知識、 そしてそれらを獲得するための勉強に関する基本姿勢など、本校の問題を通して身に付けることのできる学力は、通常の学習教材と比べてとても広範囲に及びます。
従来の過去問題集では掘り下げられることのなかったこれらの部分に、学習塾ロジムの講師陣が力点をおき、書き下ろしています。

解答は、多少遠回りでも普通の受験生が発想しやすいものを基本としています。また、出題意図の分析や、問題を解くにあたって必要となる定理や定石、 そしてそれぞれの問題を解く道筋における山場などの補足情報についても多くの紙面を割き、解説しています。
本書は、「算数、理科、社会の良問と解説書」です。「開成中学校の入試問題と解答集」ではありません。

普段の勉強の座右の書として読み込んでもらうものです。わずか数題で出来る限り幅広く、出来る限り奥深く受験生の学力を測定すべく開成中学校の教師陣が作成した問題に腰をすえて取組むことは、非常に効率的な学習を可能にし、かつ知的好奇心を刺激される貴重な機会となることでしょう。