2008年10月27日

新傾向問題は「誘導にのれるか」が勝負の鍵です。 2008-10-27



新傾向問題は「誘導にのれるか」が勝負の鍵です。

 すべての物質は、原子と呼ばれる非常に小さな粒でできています。私たちの身のまわりにある空気の中にも様々な気体が存在していますが、それらの気体もすべて、原子がもととなってできているのです。そして、原子どうしが互いに結びつくことで分子と呼ばれるかたまりを作っています。

 ここで、すべての原子からはそれぞれ決まった数の棒が出ており、この棒どうしが結びつくことで分子ができているものと考えてみます。つまり、人が手を伸ばして握手するのと同じように、原子どうしが結びついてるのです。このことから、原子から出ている棒を「結合の手」と呼ぶことにします。

 例えば、水素、酸素、窒素などの気体は、それぞれ図1のような水素原子、酸素原子、窒素原子が2つずつ結びついてできており、それらの結びつき方を表したのが図2です。ただし窒素分子はここでは表わされていません。また、以下の問いでは考えやすくするために、下記のような決まりを作ります。

<決まり>
・すべての原子の結合の手は、2本以上が同じところから出ることはない。
・それぞれの結合の手が結びつくときは、必ずまっすぐに結びつく。
・それぞれの結合の手は、まっすぐに結びつくために90°だけ回転することができる。
・原子が分子をつくるとき、すべての結合の手が結びつき、結合の手があまることはない。

 また、異なった原子が結びついて、別の物質を作ることもあります。
例えば、水は水素原子2つと酸素原子1つが図3のように結びついてできています。また、図4は炭素原子をあらわしていますが、結合の手は表されていません。

問1 アンモニアは、窒素原子1つと水素原子3つが結びついてできています。このとき、アンモニア分子はどのように表されますか。

問2 メタンは、炭素原子1つと水素原子4つが結びついてできています。このことから、炭素原子には結合の手が何本あると考えられますか。

問3 二酸化炭素が水にとけると、炭酸水という水溶液になります。つまり、二酸化炭素分子と水分子が結びつくことで炭酸水となるのです。そして、炭酸水分子は図5のように原子が配置されていることがわかっています。このとき、結合の手はどのようになっていますか。

 























 ただ「決まり」に従うだけです。



問1
 

問2 4本

問3
  



問1 水素原子は、結合の手が1本しかないため、2つ以上の原子と結びつくことができません。つまり、水素原子どうしが結びつくことは考えられない(それで水素分子になってしまう)ので、水素原子はすべて窒素原子と結びつかなければなりません。

問2 問1と同様に、水素原子はすべて炭素原子と結びつくと考えられます。水素原子が4つ結びつくためには、炭素原子には4本の結合の手が必要です。

問3 まず、下の図のようにそれぞれの原子にA~Fの記号をつけて説明することにします。


1)Fの水素原子は、結合の手が1本であるためにEと結合しなければなりません。よって、ここでEの結合の手が1本使われます。
【Fの結合終了】

2)Eの残ったもう1本の結合の手は、BかDと結合することになりますが、仮にDと結合した場合、D、E、Fの結合の手がすべて使われてしまい、A~Cの原子と結びつくことができなくなってまいます。よって、Eの残りの結合の手は、Bと結びつくしかありません。
【Eの結合終了】

3)Dの水素原子は、Eと結合できないので、Aと結合するしかありません。
【Dの結合終了】

4)Aの残ったもう1本の結合の手は、Bと結合するしかありません。
【Aの結合終了】

5)残ったBとCは、それぞれ2本ずつ結合の手があまっているので、ここで2本ずつ結びつくことがわかります。
【すべての結合終了】


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2008年10月20日

本当の学習とは、教わる学習ではなく「自ら歩み出す学習」です。 2008-10-20



本当の学習とは、教わる学習ではなく「自ら歩み出す学習」です。

下の図で、ACの長さは10cm、AFの長さは6cmで、(ADの長さ):(BDの長さ)=3:2、(BEの長さ):(ECの長さ)=5:2であるとき、図のアの角度は何度ですか。

 























 ・平行線の威力を感じてください。
 ・気づく必要はありません。色々と試してください。



67度



図1のように、与えられた情報を書き込むと、ABとBEが異なる比ながらも「5」で揃います。

図1:


平行線にそって比が移動できる(相似の性質─ピラミッド)を利用すれば、図2のように新たに点Gを作ることで点Dを頂点とした新たなピラミッドが出来あがります。

図2:

このとき、三角形DAFと三角形DGCが相似であること(相似比3:5)から、
 辺CG=6×(5/3)=10cm
とわかります。

つまり、△CAGは二等辺三角形となります。

さらに、AFとGCが平行ですから、平行線の錯角を利用して

 角AGC=46度となり、
 角CAG=角CGA=(180-46)÷2=67度

とわかります。

 求める角アは、平行線の同位角によって角CGAと等しくなるので、答えは67度となります。
 


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2008年10月13日

「なんとなく」が導く「うっかりミス」は「大きな過ち」です。 2008-10-13



「何となく」が導く「うっかりミス」は「大きな過ち」です。

0、1、2、3の4つの数字を使った整数を1番目を0として、順に下のように並べます。

     0,1,2,3,10,11,12,13,20,21,22,・・・

このとき、34番目の数は何ですか。


 























正しい決まり(規則)を見つけてください。


201



0~3の4つの数字しか使えないわけですから、4進法で考えなければなりません。

つまり、簡単に言ってしまえば「3の次は4ではなく、位を変えなければならない」ということです。

これにしたがって数を並べてみると、34番目の数は201であることがわかります。

  0   1   2   3
 10  11  12  13
 20  21  22  23
 30  31  32  33
100 101 102 103
110 111 112 113
120 121 122 123
130 131 132 133
200 201 ・・・・・・・


 さて、実際「81」と誤答を導いていないでしょうか?もちろん、この問題で使える数字に8はないわけですから正答ではありえません。

しかし、この問題の数の並びを見て、1の位に「0、1、2、3」の周期があると単純に思い込んでしまうと34÷4=8・・・2から、
9周期目の2番目、すなわち「81」と答えてしまいやすいのです。

 さらに、そのような誤答を導いた場合、「あっ、何だ。そんなことか?!」や「うわっ、見落とした!」のように簡単なミスであったとすり返してしまう子供たちが多いことが一番の問題といえるでしょう。

また、きちんと4進法であることに気がつけば、この解説のように書き出すことなく式で処理をすることが可能です。

しかし、この場合にも「202」という誤答が散見されます。これは、最初の0を1番目とカウントしてしないことによるものですが、ここでも「うっかり1つずれてしまった」とミスとして終わらせてしまうのは、非常に悲しいことです。


 数多くの失敗を、その場限りではなく「次に同じ失敗がないように生かす」ことを意識してほしい、そんな一問です。

 


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2008年10月06日

「実験」は、遊びではなく「確かめるための道具」です。2008-10-06



「実験」は、遊びではなく「確かめるための道具」です。

空気中の水蒸気の量とその変化について次の実験をしました。

<実 験>
手順1 
図1のような5リットル の大きさのペットボトルの内部を十分に乾燥させる。
手順2 
スポイトを使って、ペットボトルの中に水てきを2つぶ落とし、温度計のついたゴムせんでふたをしたあと、そのゴムせんのまわりをテープで巻く。
手順3 
そのペットボトルを、図2のように温風器であたため、内部の水をすべて蒸発させる。
手順4 
次に、ペットボトルを冷やし、ペットボトルの内部がくもりはじめたときの温度を記録する。
手順5 
スポイトから落とす水てきのつぶの数を3つぶ、4つぶ、5つぶ、6つぶと変え、それぞれについて手順1~4をくり返す。
 
設問 下線部のように、ペットボトルを冷やす方法として最も適切なものを、次のア~オから選び、記号で答えなさい。

   ア.ペットボトルをそのままにして冷やす。
   イ.ペットボトルに水をかけて冷やす。
   ウ.ペットボトルを半分くらい水につけて冷やす。
   エ.ペットボトルをすべて氷水につけて冷やす。
   オ.ペットボトルを半分くらい氷水につけて冷やす。






















ただ冷やすだけならば・・・?




この実験は、空気中の水蒸気量とその変化についての実験です。

その中で「ペットボトルを冷やす」という操作が必要になっているわけですが、
その手順4の目的は「ペットボトルの内部がくもりはじめたときの温度を調べる」ことです。

ペットボトル内の空気に含まれる水蒸気が水滴に変化することでくもりが発生するわけですから、
下線部のように冷やす必要があることがわかります。

ここで、変化の瞬間を記録するのに好都合な条件を考えれば、急激に冷やすことは避けなければなりません。
ゆっくり冷やすべきであることと、手順3で温風器によって水滴を蒸発させていることから考えれば、
室温(常温)で冷やすことが最も適切であることがわかるのです。
 

さて、この問題を「実験の意図」に目を向けず、ただ下線部だけに注目してしまっていたらどうでしょう。
おそらく、その多くの子供たちはイやエを選ぶのではないでしょうか。

ヒントのように、ただ冷やすだけならばできるだけ冷たいものに触れさせることが最善の方法と考えられるからです。
現に、大手進学塾の選抜試験では、大半がエを選択しているようです。


 同じ1つの操作であっても、目的によって適切な方法は変わるのです。

実験から遠ざかり、テキストばかりで学習することから生まれた理科嫌いな生徒は、
何か大切なこと(本来学び取るべきもの)を忘れている気がします。


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2008年09月29日

前回に続き、情報に惑わされず、図形の本質を見抜くことが真の「力」です。2008-09-29



前回に続き、情報に惑わされず、図形の本質を見抜くことが真の「力」です。


 下の図は四分円OABの弧の上に点C、Eを、半径OA上に点Dをとり、それらを結んだものです。このとき、辺CDの長さを求めなさい。ただし、角BOC=10度、角OCD=角CDE=20度です。





























必要な情報を見抜いてください。



12cm


 角COD=80度であることから、△OCDは二等辺三角形であることがわかります。

よって、OC=CDで、OCは四分円の半径ですから、OC=CD=12cmであることがわかります。


 この解説のとおり、この問の答えを導くために「角CDE=20°」という情報は使いません。

受験テクニックを学んでいくと、どうしても与えられた情報(特に頻出のテクニックや知識に関わる情報)から答えを探っていくことが多いもので、もちろんそれが重要であることが多いのですが、逆にその情報に惑わされて本来の解答を導くポイントを見失う危険性があるのです。

 この問題であれば、「求められる角度から二等辺三角形に気づく」ということ以上に、
「ジグザグの線→平行線による分割」が頭から離れず、下の図のようにOBと平行な線を引き・・・
などと考え始めた人が多いのではないでしょうか。


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2008年09月22日

情報に惑わされず、図形の本質を見抜くことが真の「力」です。2008-09-22



情報に惑わされず、図形の本質を見抜くことが真の「力」です。


 下の図は四分円OABの弧の上に点Cをとり、点CからOA、OBにそれぞれ平行な線を引き、長方形ODCEを作ったものです。このとき、辺DEの長さを求めなさい。ただし、∠OED=60度です。





























60度は、重要でしょうか?


12cm


 辺DEは、長方形ODCEの対角線です。よって、DE=OCであり、辺OCは四分円の半径ですから答えは12cmとなります。

 この解説のとおり、この問の答えを導くために「∠OED=60度」という情報は使いません。

受験テクニックを学んでいくと、どうしても与えられた情報(特に頻出のテクニックや知識に関わる情報)から答えを探っていくことが多いもので、もちろんそれが重要であることが多いのですが、逆にその情報に惑わされて本来の解答を導くポイントを見失う危険性があるのです。

 この問題であれば、「DEが長方形の対角線である」ということ以上に、「∠OED=60度」が頭から離れず、OE:DE=1:2だから・・・などと考え始めた人が多いのではないでしょうか。そのような人は、この問題が「BEの長さを求めなさい」の方が意外と即答できたかもしれませんね。

ちなみに、BE=OB-OE=OB-DE÷2=6cmです。

 余談ですが、60度にこだわらず下の図のようにどのような長方形を描いたとしてもDE=12cmということですね。


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2008年09月15日

条件整理力という全ての科目に通じる基礎能力を手に入れてください。2008-09-15



条件整理力という全ての科目に通じる基礎能力を手に入れてください。


①~⑦の水溶液は、下の7つの水溶液のどれかです。下の実験をもとに、それぞれの水溶液が何であるか答えなさい。ただし、A~Eと結果1~5の順番は対応しているとは限りません。

水酸化ナトリウム水溶液
過酸化水素水
炭酸水
ホウ酸水溶液
アンモニア水
うすい塩酸
石灰水

A 水溶液にアルミはくを入れたところ、とけたものを○と表す。
B 水溶液に赤色リトマス紙をつけたところ、色が変わったものを○と表す。
C 水溶液を蒸発皿にとり、アルコールランプで加熱したところ、においがしたものを○と表す。
D 水溶液に青色リトマス紙をつけたところ、色が変わったものを○と表す。
E 水溶液を蒸発皿にとり、アルコールランプで加熱したところ、固体が残ったものを○と表す。

問  ①~⑦の水溶液はそれぞれ何ですか。


ノーヒントです。


①石灰水 ②ホウ酸水 ③アンモニア水 ④炭酸水 ⑤うすい塩酸 ⑥過酸化水素水 ⑦水酸化ナトリウム水溶液



下の表を見てみると、水溶液によって反応を示す実験の個数が異なることがわかります。

これにより、どの実験にも反応しない⑥が過酸化水素水、
1つだけ反応する④が炭酸水とわかります。

すると実験Dが実験結果4と判明するので、同じく実験Dに反応する残りの水溶液に注目すると、ホウ酸水と塩酸です。

この2つも反応する実験の個数が異なるので、②がホウ酸水(○が2個)で⑤が塩酸(○が3個)とわかります。続いて、ホウ酸水がもう1つ反応を示したのが実験Eですから、これが実験結果2となります。このようにして、残りも特定することが可能です。


この問題は、実験結果1~5が、実験A~Eのうちどの結果なのかが不明であるところが難しく感じる原因です。

そこで、とりあえず7つの水溶液に対してA~Eの実験を行ってみて、表に整理してみると、
反応を示す実験の個数に差異があることに気づけるのです。

水溶液の分析実験の中に、理科的性質を絡めた条件整理の要素を含んだ良問です。

ぜひ、誰かに解説できるくらい自分の頭の中で整理してほしい問題といえます。


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2008年09月08日

複数の段階を踏んだ計算問題は、中学入試理科の主流となりつつあります。2008-09-08



複数の段階を踏んだ計算問題は、中学入試理科の主流となりつつあります。


植物の光合成と呼吸について調べるために、同じ大きさのメダカ2匹と、葉の面積がほぼ等しいオオカナダモ3つを用意し、同量の水を入れた容器A~Eに次のように入れました。

容器A:水のみを入れた。
容器B:水にオオカナダモを入れた。
容器C:水にオオカナダモを入れ、アルミはくで包んだ。
容器D:水にメダカを入れた。
容器E:水にオオカナダモとメダカを入れた。

<実験> 数日間くみ置きした水道水を使ってA、B、C、Eをつくり、ふたをして十分な光を1時間当てた あと、それぞれの容器の酸素量を測定した結果、下の表のようになった。

(1) オオカナダモがこの1時間でつくった酸素量は、何mgですか。
(2) メダカの呼吸によって、この1時間で使われた酸素量は、何mgですか。


それぞれの容器内で何が起こっているのでしょうか。


(1) 5.3mg
(2) 2.6mg



植物のはたらきのうち、重要な3つは光合成、呼吸、蒸散です。植物は光が当たると光合成を行い、自ら養分(デンプン)を作り出すことができます。そして、このときに二酸化炭素を取り入れて酸素に変えて出しています。また、作った養分からエネルギーを取り出す呼吸を行うと、光合成とは逆に酸素を取り入れて二酸化炭素に変えて出します。そして、この呼吸は光を必要とはしないので、一日中絶えず行っているのです。さらに、メダカは呼吸によって酸素を取り入れて二酸化炭素を出しています。


・Bでは、オオカナダモが光合成と呼吸を行いますが、十分な光があたっていると考えられるので光合成の方がさかんです。よって、二酸化炭素が減ることになります。

・Cでは、光があたらないためにオオカナダモは光合成を行うことができません。よって、呼吸のみを行う ので二酸化炭素が増えていきます。

・ Dでは、メダカが呼吸のみを行います。つまり、Cと同じ状態になります。

・Eでは、オオカナダモが光合成と呼吸を行うと同時に、メダカが呼吸を行います。ここで、光合成は酸素量が増えるはたらき、呼吸は酸素量が減るはたらきですから、表にまとめると、

Cの結果から、オオカナダモの呼吸によって1時間あたり0.8mgの酸素が減っていることがわかります。
よって、Bに注目をすればオオカナダモの呼吸によって0.8mg減っているにもかかわらず、結果4.5mg増えているので、光合成によって5.3mg増えることがわかります。同様に、Eに注目すればメダカの呼吸によって減った酸素量が求められます。


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2008年08月25日

くじ引きは「早いもの勝ち」? 2008-08-25



「早い者勝ち」とは本当でしょうか。

 ある夏祭りで、兄弟である太郎君と次郎君が、くじ引きに挑戦しました。このくじは、全部で10本のうち当たりが2本含まれているくじで、1人1本だけ引くことができます。そこでの2人の会話をもとに、あとの問いに答えなさい。

太郎「次郎、くじ引きやらない?」
次郎「当たりくじ、まだ残ってるかな?」
太郎「まだ誰もこのくじに挑戦してないみたいだぞ。」
次郎「じゃ、僕、先にくじ引いていい?」
太郎「ズルいぞ。オレの方が年上なんだから、オレが先だよ。」
次郎「え~、お兄ちゃんこそズルいよ。じゃ、僕が引いたら、せ~ので一緒に見ようね。」

 さて、先にくじを引く太郎君と、後からくじを引く次郎君ではどちらの方が当たる可能性が高いでしょうか。


先に引けば当たりくじが多い…?



解説参照



 説明のために、10本のくじをA~Jとします(当たりくじはAとB)。
太郎君のくじの引き方10通りそれぞれに対し、次郎君には9通りの引き方があるので、組み合わせは全部で90通りあります。
ここで、太郎君が当たりくじを引いているのは、AまたはBを選んでいる9×2=18通りです。

また、次郎君が当たりくじを引いているのは、以下の通りです。

1)太郎君がAを選んでいる場合…Bの1通り
2)太郎君がBを選んでいる場合…Aの1通り
3)太郎君がC~Jを選んでいる場合…それぞれAかBの2通りずつなので、8×2=16通り

よって、次郎君も18通りあります。全90通りのうち、お互い18通りずつの可能性があるので、2人の当たる可能性は五分であることになります。

まとめ
 くじの本数が何本であれ、当たりくじが何本であれ、この問題の例のように先に引くことによって当たる可能性(確率といいます)が高くなることはありません。

しかし、もしも先に引いた太郎君がくじの当たりかはずれを確認したあとで次郎君がくじを引くならば話は別です。この問題の例でいえば、太郎君が当たりを引く確率は18/90=1/5で変わりませんが、次郎君は次の場合が考えられるのです。

A)太郎君が当たりくじを引いている場合…残りの9本の中で当たりは1本しかありません。つまり確率は1/9で、太郎君よりも損をしています。

----------------------------------

B)太郎君がはずれくじを引いている場合…残りの9本の中で当たりが2本あるので、確率は2/9となり、太郎君よりも得をしています。
 つまり、先にくじを引いた人の結果を聞いた場合では、得するか損するか一か八かの賭けになるわけです。そういう意味では、やはり結果を聞く前の段階ではどちらも損得なしといえませんか?


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2008年08月18日

状態変化と体積・重さの関係は簡単なようで複雑です。 2008-08-18



状態変化と体積・重さの関係は簡単なようで複雑です。


下の図1は、ビーカーにある量の水を入れた状態を表しています。そこに、ある大きさの氷を入れた状態を表したのが図2です。さらに、その氷が完全にとけた状態を表したのが図3です。ただし、それぞれの図で水面の高さは正しく表されているとは限りません。これについて、次の問いに答えなさい。

問1 図1と図2で、どちらの水面が高いですか。次のア~エから選び、記号で答えなさい。

  ア.図1の方が高い。
  イ.図2の方が高い。
  ウ.図1も図2も変わらない。
  エ.これだけではわからない。

問2 図2と図3で、どちらの水面が高いですか。次のア~エから選び、記号で答えなさい。

  ア.図2の方が高い。
  イ.図3の方が高い。
  ウ.図2も図3も変わらない。
  エ.これだけではわからない。


水と氷の体積を比べると…、危険です。


問1 イ
問2 ウ



問1 
水中に入った氷の分だけ水がおしのけられます。これにより、見かけ上水の体積が増えますから、水面は高くなります。


問2 
状態変化(固体⇔液体⇔気体の変化)に伴い、体積は変化しても重さは変化しません。
氷が浮くのは「氷の重さと等しい浮力がはたらく」からに他なりません。

ここで、浮力はおしのけられた液体の体積と同じ重さの分だけはたらくので、浮いた氷の重さと同じ重さをもつ分だけの水がおしのけられていることになります。

つまり、この氷が水に変わっても、おしのけられる水の体積は変わらないのです。

よって、図2から図3で水面の高さが変化することはありません。

まとめ
 固体よりも液体の方が体積が大きいという基本知識に対し、例外として「水よりも氷の方が体積が大きい」ということはあまりにも有名です。しかし、単に体積の変化ばかりに目を向けては、本来変わるはずのない重さを絡めた問題で大きな誤りを導いてしまいます。

本問では、以下の誤答が目立ちます。

◇図2の氷よりも図3で水に変化した方が体積は減るのだから…ア

◇氷がとけて水になれば、水の量が増えるから…イ

浮力の考え方を用いれば簡単に理解できることですが、そうでなければ上記のような誤答を招くか、大きく悩む問題ではないでしょうか。ぜひ、じっくり考えて理解してください。

また、このことからさらに図2で水面上に飛び出している氷の体積が、ある重さの水が凍ったときに増えた体積の分であることがわかります。これも、ぜひ考えてみましょう。



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