2008年03月03日

暁星中入試より。ごく身近な現象に「?」を感じられるかを問う超良問です。 2008-03-03



暁星中入試より。ごく身近な現象に「?」を感じられるかを問う超良問です。


アイスクリームや冷凍食品の保冷剤として利用されるものの1つにドライアイスがあります。

(1)ドライアイスを室温に放置しておくと、すべて気体に変わってしまいます。この気体の名前を答えなさい。
(2)ビーカーに水を用意してドライアイスを入れると、図1のように白い泡が発生し、白い煙がビーカーから流れ出ます。この白い煙は何ですか。
(3)図1の状態でしばらく放置すると、白い煙の発生が終わりました。このとき、図2のようにビーカーの底には白い固体が沈んでいました。この固体は何ですか。      (暁星中)


二酸化炭素は無色気体ですね。白いのはなんですか??ヒントにはなってませんが。


(1)二酸化炭素
(2)水 (細かい水の粒)
(3)氷


(1)ドライアイスは二酸化炭素が固体になったものです。(ちなみに二酸化炭素は液体の状態はありませんね。)

(2)大人でも自信満々に「二酸化炭素」と答える人が多いですが、二酸化炭素は無色気体です。白いわけがありません。あわが水中を通過して上昇する間に、水が水蒸気として泡の中に入り込みます。この水蒸気がさきほどまでドライアイスだった二酸化炭素にひやされて、水にもどり細かい水滴として泡の中に存在します。 

(3)ビーカーの中の水が氷になります。


ドライアイスという身近な物質への観察眼、さらに立ち止まって「ちょっとまてよ」と考えることができるかどうかを問う問題です。

塾で機械のように「ドライアイスは二酸化炭素が固体になったもの」と暗記しているだけの生徒は来て欲しくない。
いくつかの知識や経験を組み合わせ、自らが「ちょっとまてよ?」と思考を開始できる生徒がほしいという、
暁星中からの強いメッセージを感じます。



2008年02月25日

中身ではなく、大枠から考える。概算の視点が必要です。 2008-02-25



中身ではなく、大枠から考える。概算の視点が必要です。


ある学校について、生徒が何人か以上になると、必ずその中に、血液型、誕生日、性別が完全に一致する者が2人以上いることになります。生徒は何人以上いる必要があるでしょうか。


3人家族で部屋が2つしかないと、全員に個室がいきわたることはありませんよね。


誕生日は366通り、性別は2通り、血液型は4通りです。

よって、これら3項目の組み合わせは366×2×4=2928通りあります。

よって、2928人までは組み合わせが同じにならないことがありえるが、
2929人目は必ずそれまでにいた2928人の誰かと一致することになる。

答え:2929人以上


鳩ノ巣論法と呼ばれるものです。

数学ではかなり頻繁に使われる論法ですが、小学生でも十分に理解可能です。

大切なのは、「最も多くとも・・」という視点です。目の前にある「非常に多い」ものが、実際にはどのような範囲におさまるものなのかについての概算をするという作業を経ることで、意外なほど扱いやすくなります。

同様に、「最も少なくとも・・」という視点も重要です。とりあえず範囲をしぼっていくことで見通しを良くするのです。



2008年02月11日

魔方陣とは,縦・横・ななめの3つの数字の「和」が同じです。 2008-02-11



操作の「理由」に目を向けます。結局解答能力とはロジカルかどうかですし、ロジカルかどうかとは因果関係に目を向けられるかどうかです。


魔方陣とは,縦・横・ななめの3つの数字の「和」が同じです。


ノーヒントです。
 

一番上の段の横一行と一番左の縦一列に着目すると

●+1+8=●+?+2となる。.●は共通なので1+8=?+2となる.よって?=7
答え:7


もちろん,まん中の5を発見して、,すべてのマスを埋めていくという手法でも解答可能ですが、本問で重要なのは「和が同じ」という条件に対するアプローチです。

面積の問題で頻出なのですが、「ある部分とある部分の面積が同じ」という条件に対して、同じものを足しても,面積が等しいという条件に変化はありません。

本問では●という共通部分に着目し,他の部分の和も同じになるという形です。

※まん中が5になることをきちんと説明できることも大切です。必ず一度は経験しておいて欲しい問題です。



2008年02月04日

操作の「理由」に目を向けます。結局解答能力とはロジカルかどうかですし、ロジカルかどうかとは因果関係に目を向けられるかどうかです。 2008-02-04



操作の「理由」に目を向けます。結局解答能力とはロジカルかどうかですし、ロジカルかどうかとは因果関係に目を向けられるかどうかです。



上のような装置をつかって、発生した二酸化炭素の体積を測定したいと考えました。上の図の方法ではうまくいかず、工夫が必要であるとわかりました。
どのような工夫が考えられますか。下の図の点線部に書き込みなさい。


どのような工夫が必要か ⇒ なぜそもそも工夫が必要か
 


二酸化炭素を集めるために、水上置換法はつかえません。二酸化炭素が水に溶けてしまいますね。よって点線部分では、発生した二酸化炭素を水に溶けない気体に置き換える装置が必要になります。二酸化炭素が発生した体積分だけ、水に溶けない気体が水上置換装置に流れ込むような仕組みを考えます。

水に溶けない気体は入手のしやすさから(みのまわりの)空気とします。

また、発生する二酸化炭素は空気に比べ重いので、二酸化炭素をフラスコに入れるガラス管は底まで伸ばし、一方空気が出て行くべきガラス管は短くしておく必要がある。

一度やったことがあれば容易に解答できる問題なので、「覚えておく」ということも大事ですが、初見だとしても「そもそもなぜ工夫しなくてはいけないのか」と考えるだけで正答を生み出すことへの大きな近道となるはずです。



2008年01月21日

条件を吟味すると、図形の問題ではないことに気付けます 2008-01-21

(問題)
AB=3cm 、BC=4cm、CA=5cm、の直角三角形ABCの斜辺CA上に点Pをとったところ、2つの三角形ABPと三角形PBCの周の長さが等しくなった。このとき三角形ABPの面積を求めよ。

(解説)
「構成要素は違うが合計が同じ」という条件が与えられているところから、和と差について考える問題であると気付けることが突破口です。

最近の上位校での流行なので対策は進んでいますが、問題文を吟味して条件の本質的な意味を考えるという点ではやはり難問です。

求積問題では、「明らかに通常の解き方では求めることができない。」という判断をすることが比較的容易ですので、その場合に考えられる手法について確認しておくと良いでしょう。


最近は~算について学ぶ基本例題とは見た目が全く違う問題を出そうという姿勢が各校で見られます。

数学の先生たちの腕の見せ所といったところですが、受験生にとっては~算の仕組みについてしっかりと理解しておく必要性が高まってきていることになります。



2008年01月14日

立体図形の問題を解くための大切な基本姿勢が問われます。2008/01/14



立体図形の問題を解くための大切な基本姿勢が問われます。


下の図1のような円柱の容器に、半径3cmの球を下の図のように2つ入れたところ、円柱の底から球の一番上までの高さが8cmとなった。そのままさらに球を入れていったところ、円柱の一番上のところで7個の球がちょうどおさまった。この円柱の高さを求めよ。




見方を変えてみましょう。



下の図1のように断面図で考えると中心から中心までの高さが2cmであることがわかる。
よって図2のように考えると求める高さは

図1 図2


 

3cm+2cm×6+3cm=18cm

答え:18cm


見慣れない球という設定ですが、立体図形の基本は平面図形への分解です。
上から、横からなどに情報を分け、身近な平面図形として処理します。
難問としては、平面に落とし込んだあとに合同、相似などの平面図形の技術が要求されるものがあります。
立体図のままでは、合同、相似、補助線などの平面図形の知識を思いつき、活用することはとても難しいので、面倒でも平面図を書きおこすことが大切です。



2008年01月07日

資料読解の良問です。グラフの読み取りの基本・初見問題を仮説解く方法を学習します。2008-01-07



資料読解の良問です。グラフの読み取りの基本・初見問題を仮説解く方法を学習します。


下のグラフは2002年の日本の各地方の耕地面積と農家数をあらわしたものです。 北海道の農家の農業形態について考えられることをかきなさい。




「北海道は、他の地域に比べ農家数に対して作付面積が大きい」ではグラフを見たままですね。この問題では「そこから考えられること」を仮説として構築できるかが問われています。


北海道は、他の地域に比べ少ない農家で、広い面積を耕地として利用している。このことから、北海道では大規模に機械をつかった効率的な農業をおこなっていると考えられる。


グラフを読むコツは、「全体として傾向をつかむ」「特異点(目立つところ・他と違うところ)に着目する」ことです。



本問の場合、経年変化のグラフでもなく、また全ての地域においてデータに特色があるわけではないので、全体の傾向はとくに見出せないと思います。目立つところとしては、問題になっている北海道の耕地面積と農家数の割合ですね。


ヒントに書いたように、北海道が他地域にくらべ、少ない農家で広い場所を農家利用していることは、グラフをみれば一目瞭然です。これは、ある意味、慣れていれば「だれでもわかる」ことです。


ここで、「この差はなぜ?」「なぜ北海道の農家の人はそんなことができるの?」と、「思考開始の合図」となる「?」を頭に思ういかべられるかが、こういった記述問題正解への鍵となります。


さらに、この「なぜ?」を考えるべく、選択肢をあげます。ポイントは、まず網羅的に選択肢を上げることです。この段階では、現実感よりも1人でアイデアを膨らますことを意識すべきですね。



たとえば、



「北海道の1つの農家で農業に従事している人間の数が著しく多い」

「北海道の農家で働く人は、とりわけ農業に習熟しており並外れた能力をもっているため、効率的に耕作ができる」

「北海道では大々的に機械を農作業に取り入れており、効率的に耕作ができる」



でてきたアイデアからもっともありえそうなものをえらんで、本問の解答とします。



この「議論や思考を広げるために、ありえるアイデアを網羅的にあげる」という作業は大人になるとブレインストーミングなどといって、物事を考える際に最初に行う作業ですね。小学生にもその能力とスキルは求められているのです。





2007年12月17日

有名な公式の仕組みを思い出しましょう 2007-12-17



有名な公式の仕組みを思い出しましょう


半径2cm、弧の長さ10cmのおうぎ形の面積を求めなさい。


ノーヒントでいきましょう。

おうぎ形の面積は「半径×弧の長さ÷2」で求まるので求める面積は

2×10÷2=5平方センチメートル



おうぎ形の面積を「半径×弧÷2」で求めるという公式はあまりテキストでは扱われません。

ここで、円の面積の公式についての教科書の説明を思い出してみましょう。

円を細かくケーキ状に切り分けて、並び替えて長方形として考えるというものです。

この説明では長方形のたての長さは円の半径と同じ、
そして、よこの長さは円の円周の長さの半分となります。

この考え方に従うとおうぎ形についても、同様にケーキ状に切り分け、並び替えて長方形として計算することができます。
この場合もたての長さは円の半径となり、よこの長さは弧の長さの半分となるのです。

公式の仕組みは、学校の教科書などでは丁寧に説明されているのですが、
普段の受験勉強ではその運用にばかり目がいってしまいがちです。

様々な公式が作られる仕組みに注目し、しっかりと理解しようという姿勢は、
上位校において数学の勉強を進める上では必須のものですので、目先のテストに気を取られすぎずしっかりと取組みましょう。



2007年12月10日

周期がうまれる仕組みを考えます。 2007-12-10



周期がうまれる仕組みを考えます。


1,1,2,3,5,8,13,21,・・・・・・
上記の数列を1000番目まで並べたとき、一の位が7である数は全部でいくつあるでしょうか。


「1000番目」まで考える問題ですから、当然周期の発見が鍵になります。


前の2つの数を足して新たな数を作っていくフィボナッチ数列と呼ばれるものです。

その仕組みから、一の位だけに注目してもフィボナッチ数列となっています。

1,1,2,3,5,8,3,1,4,5,9,4,3,7,0,7,7,4,1,5,6,1,7,8,5,3,8,1,9,0,9,9,8,7,5,2,7,9,6,5,1,6,7,3,0,3,3,6,9,5,4,9,3,2,5,7,2,9,1,0

以上周期60となっている。この中に7は8個あるので、
1000÷60=16あまり40
あまりの40の中に7は6個あるから
8×16+6=134

答え:134個


本問のような長大な周期はここ数年の流行です。
周期が数十ともなると、自分の書き出しに不安を覚えますし、見落としがちにもなります。

ポイントは周期を生み出す仕組みを考えることです。

本問では周期を
1,1,2,3,5,8,3,1,4,5,9,4,3,7,0
7,7,4,1,5,6,1,7,8,5,3,8,1,9,0
9,9,8,7,5,2,7,9,6,5,1,6,7,3,0
3,3,6,9,5,4,9,3,2,5,7,2,9,1,0
と整理して考えます。

実は11から始まった数列の途中に77が出てきた時点で周期が計算可能となります。
この数列ははじめの2つの数によって全体が決まります。

つまり1行目の最初の2つの11が7倍の77となった2行目の数列は1行目の7倍の数がならぶのです。
このように考えると3行目は77を7倍して99(7×7=49の一の位の9です。)
4行目はさらにその99を7倍して33、そして5行目は33を7倍して11となり、周期が判明します。

このように周期を書き出しによって視認するだけでなく、
数の並びの仕組みに注目して計算するという姿勢は長大な周期を判定するのに重要なのです。



2007年12月03日

なぜか皆さん苦手の地層問題。お決まりの問題を1問。 2007-12-03



なぜか皆さん苦手の地層問題。お決まりの問題を1問。


地層の見えるがけを調べたら、地層は図1のようになっていました。この図をもとにして、次の問いに答えなさい。





(1)地層(ウ)をくわしく調べたら、図2のようになっていました。(ア)~(カ)の地層のうち、最初にできた地層はどれですか。


(2)地層(ウ)と(エ)の間に、ある動物が住んだ穴のあとが残っていました。図3はそれをスケッチしたものですが、地層のでき方から考えてありえないものはどれですか。





(ウ)の地層に着目。わざとらしく大きい砂と小さい砂が上下に分かれていますね。


(1)イ
(2)A


図2の意味を考えます。

(ウ)の地層ができるに際し、海底で砂や石がつもるのですが、

大きい粒→比較的早くつもった
小さい粒→(ゆらゆらと)時間をかけてゆっくりつもった

と考えられます。バケツにいろいろな大きさの石や砂をいれ、大きな水槽にひっくり返すと、細かい砂はしばらく水中に停滞し、時間をかけて水槽の底にたどりつきます。これと同じ原理です。

なので、(ウ)の地層は、上側が古い地層、下側が新しい地層となります。よって、(ウ)より古い地層は(イ)となります。
(ア)は明らかに最新の地層ですね。

「なぜ古い地層と新しい地層の上下が逆なの?新しい地層が上にきまってるじゃないですか?」
と疑問の方は教科書で「しゅう曲」と言う言葉を引いてみて下さい。

(2)は(1)が分かれば問題ないはずです。

地層の問題では典型中の典型です。同じ地層の中で粒の大きさが問題で触れられていないか、絵でみてわかるようになっていないか、チェックは忘れないようにしてください。

思考力というより注意力を確認するもんだいでしたが
まさに「一度はやっておきたい問題」 ではないでしょうか。

一度はやっておかないと入試会場にはいけない問題ですね。




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