第6回 豊島岡女子学園:孫康子さん
第5回 早稲田中・高:倉方規安さん
第4回 普連土学園中・高:高久葉子さん
第3回 慶應中、湘南藤沢高:川野辺裕道さん
第2回 雙葉学園:杉岡由梨さん
第1回 開成学園:堤天心さん
卒業生が素直に語る我が母校

2008年12月10日
第6回 豊島岡女子学園:孫康子さん

インタビュー企画「卒業生が語る我が母校」第6回です。卒業生の皆さんに率直に語ってもらいます。

孫康子さん

豊島岡女子学園中学・高校、慶応義塾大学経済学部を経て、現在総 合商社で財務を担当。

Lojim(以下L):今日は、孫さんの母校の豊島岡女子学園
中・高についてのお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。

孫さん:よろしくお願いします。

L:まず、現在のお仕事について教えて頂けますか。

孫さん:新卒で就職した総合商社で財務を担当しています。具体的には、社内の稟議等決裁に対する意見を出したり、決算に関して財務的な視点から分析したり、会社の財務戦略に関する資料作りをしたりしています。

毎日細々としたことを地味にやっています(笑)。

L:豊島岡を志望した理由・入学を決めた理由を覚えていらっしゃい
ますか。

孫さん:実は受験をする直前まで豊島岡の存在を知りませんでした。小学校の塾がおもしろすぎて、その仲間たちとみんなで同じ学校に行くつもりだったので、みんなで目指していた第一志望以外はほとんど眼中になかったような記憶があります。

L:受験校は親御さんが決めたという感じですか。

孫さん:親や塾の先生とも話し合って、それで受験を決めた気がします。直前まで知りませんでしたが、いざ受験の計画を立てる時には私も色々と考えました。

豊島岡は入試が2日で即日発表ということで、ちょうど抑えによいということで受けました。周りの友人もそういう子が多かったです。今ほど、難易度も高くなかったですしね(笑)。

 3日に行きたい国立があったのですが、抽選の時点で行きたかった国立ははずれてしまったこともあり、2日で受験をやめました。いま振り返ると、小学校3年から塾に通っていたのに、2日で受験終了っていうのはかなりあっさりしてたなと思います。

L:難関校を目指していて、受験勉強は大変だった?

孫さん:いや全然。先生の授業がとても魅力的で特に算数が好きになりましたし、友達とも仲が良かったので遊びの延長でした。社会や理科などもチーム戦形式で授業をしたり、本当に塾に行くのが楽しかったです。小学校の時の塾友だちは今でも定期的に会っていてとっても仲が良いです。

L:孫さんが受験をした頃には、現在のようなシステムで結構勉強が大変な学校という評価があったと思うのですが、入学してみていかがでしたか。

孫さん:確かに、まじめな子が多いという評判はその通りでした。しかし、「厳しい固い学校」という評価は実際とは違いました。私の仲良しの子たちだけかもしれませんが、本当に先生たちとも仲が良く、学校では好き勝手にのびのびしてました。

いたずらばかりして先生にはしょっちゅう怒られたりしてましたが、毎日学校 に行くのが楽しかったです。

L:生活指導などが厳しかったりはしないのですね?

孫さん:そうですね。特に厳しい先生が1人、2人いるかなというところです。

自分が髪を染めたりピアスをしたりとかそういうのがなかったせいか、生活指導面で厳しいと感じたことがありませんでした。

ただ、学校の行き帰りに寄り道はもちろんのこと、隣にあるコンビニに寄ってはいけない、指定された鞄以外は持ってはいけないなど、そういう面で厳しかったかもしれません。学校のすぐ横にローソンがあっ
たので、みんな寄り道してましたけどね。

L:やはり勉強は大変でしたか。

孫さん;私は中学の時からずっと塾に行っていましたが、学校も勉強のシステムは塾並みですね。ただ、先生の姿勢が厳しい訳ではないので、学校に行くのが嫌になるなどということはありません。

L:あの課題の量に加えて、塾にも通われていたのですか。

孫さん:私は英語は中1から高3まで、数学と化学は高1から高3まで塾に通っていました。塾は友達に会いにいくものと思っていたので、ノートすら取らず、ひたすら他校の友達とおしゃべりしていて、親には申し訳なかったと思っています。

L:東京の進学校の生徒のよくあるパターンですね(笑)。

孫さん:そうですね(笑)。塾と学校の授業内容にあまり差はなかったです。数学の塾なんかマニアックな授業がおおかったのですが、分からない問題とかを学校の先生に聞いても、親身になって教えてくれたりしました。

私の同級生で東大に入った子たちはほとんど、特に塾に通っていない学校の勉強のみで頑張っていた子たちでしたね。
 

数学、英語は高3になるとレベル別に分かれるのですが、数学など、難しい問題を解く上のクラスは、塾より難しい問題を解いたりしてました。

高2からは文系、理系にも分かれ、理系は生物・物理選択に分かれたり、歴史も世界史・日本史選択に分かれたりしていて、受験用という面では良かったと思います。

塾に通わずとも、いろいろと補習をしたり、個人的にも先生が添削をしてくれたりしてくれるので、塾なしでも十分受験に対応できる学校だと思います。

L:あの膨大な量をこなさせる雰囲気作りは出来ているのですね。

孫さん:かなりきついカリキュラムですが、その他のイベントやそもそも先生たちの立ち位置が勉強一辺倒にならないようになっているんです。先生たちは本当にきつい課題を出してきますが、仲は良かったです。いまはどうか分からないですが。

L:豊島岡のイベントで印象に残っているもの、役立ったものはあり
ますか。

孫さん:今でも思い出に残っているのは中学3年生の時に1か月間くらい行ったカナダでのホームステイですね。

 もともと英語が好きだったのですが、早いうちに長い期間英語に触れあうことで、より英語が大好きになりました。

 

 社会にでて役に立った(?)ことは、朝の5分間運針です。 さすがに6年間毎日5分間縫い続けてたおかげで、裁縫は得意になりました。

 前に会社で後輩のズボンが破けた時に、縫ってあげたら、「普段がさつなのにできるんだ!」と驚かれました(笑)。

L:いざ、社会に出てみて、自分もしくは同級生を、他の学校の生徒と比べて違うなと思う点はありますか。

孫さん: 良いところ(?)は、みんな自立していて、我がの道を行くタイプの子が多いところでしょうか。悪い点はあまり見つかりません・・。

あえて言うならば、逆に良いところの裏返しで、我が道を行くタイプの子が多いところですかねぇ。

L:結構個性的な生徒も多いのですか。

孫さん:よくこんなに面白い、いい子たちが集まったなと思えるくらい私たちの学年は個性的な子たちでいっぱいでした。6年間本当に毎日楽しかったです。

いろんなジャンルの子たちがいて(ギャル、映画スターオタク、宝塚オタク、歴史オタク、マンガオタク、いたずらっこ などなど) それぞれがみんなタイプは違うけれど仲が良くて、最高におもしろかったです。

L:意外ですね。

孫さん:厳しいカリキュラムの中でも、飄々とやっていける子が多かったと思いますし、そうでないと厳しいのだと思います。

L:なぜ?

孫さん: 結構勉強を自らする子が多い学校なので、そんな中でも、「ひとはひと、自分は自分」と割り切って自分を持って、好きなことに色々興味を向けて勉強だけにならない子にとっては、とってもいい学校だと思います。実際私がそんな感じでした。

「言われ たことをそのまま何も考えずにやるいいこちゃん」タイプにとってはあまり向いてないと思います。勉強が大変 だったという印象しか残らないのではないでしょうか。

L:小学生も保護者も全体的にそうなってしまっている傾向があります。

孫さん:今でも先生たちとはお会いする機会が多いのですが、先生たちが口をそろえて言うのが、「昔のあなたたちのころみたいに元気でやんちゃな子たちがいなくなってつまらないわ」ということ。

 おそらく、受験の学校のイメージが強すぎて、そういう目的で入ってくる子たちが多くなって、真面目な固い子たちが多くなってしまったのではないかなと思います。

 学校は自分たちで雰囲気を作っていくものなので、入ってくる子たちの意識が変われば学校も変わってしまうものだと思うので・・。ちょっと悲しいです。

L:OGとして、現在の難関校化の傾向には色々な思いがあるのですね。

孫さん:ちゃんと自分を持っている子に向いてると思います。どんなところでも自ら楽しみを見つけて行けるポジティブな子に向いてるんじゃないかな。難関校になればなるほど、小学校の時の勉強面では成功体験が多いと思うのですが、そのような子供たちだけが集められれば上から下まで順位がついてしまう訳です。せっかく、の中学・高校時代ですから色々な事に目を向けて楽しんで欲しいですね。

L:やはり、学校内では勉強が出来る生徒と出来ない生徒の差は大きいのですか。

孫さん: あまり気にしたことはありませんが、実際には差もあっ
たなぁ。

高校3年生になると、数学、英語は能力別にクラスに分かれたりしていました。やはり、上のクラスと下のクラスでは解く問題なども違っていました。

ただ、勉強が出来る出来ないで尊敬されたり、そうでなかったりという雰囲気はありませんでした。尊敬を集めていたのは、別に先生や周りの目を気にせず、おおらかに過ごしてる生徒でしたね。

L:くだけた感じで学校生活を送ることも可能なんですね。

孫さん:そうですね。評判ほど厳しい学校ではないので、やはり生徒次第です。

質素な子もいれば、派手な子もいます。どこの学校でもそうだと思いますが、生徒の数だけ個性があって、うちの学校でも超ギャルとかいましたよ(笑)。

男子との交流も興味ある子は、中学のうちから、他校の文化祭に制服でいってリボンを変えてルーズソックスをはいていろいろ積極的に活動してました。

L:リボンまで変えるんですか。そうなるとかなり雰囲気がかわりますね。

孫さん:塾に行くのに思春期の頃はリボンを変えて行ったりしていました。私も、制服はあまり好きではなかったですね苦笑。

あとは、 校舎はすばらしいのですが、グランドが狭いことも残念ですね。

私は本当はあれば、走るのが好きだったので、陸上部に入りたかったのですが、実際はグランドが狭いこともあって、陸上部自体ありませんでした・・

L:今振り返って気に入っていた点は?

孫さん:中高6年間を共にした大切な仲間ができたことです。本当に最高の友達です。また、尊敬・信頼できる先生に出会えたことも大きいです。この学校に入ったおかげで出会うことができたので、本当に良かったと思っています。先生たちは、それぞれ個性的で、面白い人がたくさんいました。
 

いまでも、年に1回は学年全体の大規模な同窓会があって、先生や友達に会うと、すごくうれしくて、なんでも相談しています。

 

L:そろそろ寒くなって来て受験が迫ってきます。受験生にメッセー ジをお願いします。

孫さん:最近めっきり寒くなってきていますが、校長先生にいつも言われていたのが、「体が資本」ということ。

風邪を引いてはいままでの努力も泡となってしまうかもしれません。くれぐれも無理はせず、体調管理に気を付けてくださいね。あと、精神的にも追い込みすぎず、これで人生が決まるわけではない
といったように気楽な気持ちでテストに臨めたらいいですね。その方がリラックスできて、頭も良く働くのではないでしょうか。
中学受験は当事者であるお子さんはもちろんのこと、御両親も大変だとおもいますが、家族仲良く、頑張ってください!!!!
応援しています!!

(次回のお知らせ)
次回は、学芸大学付属世田谷中・学芸大学付属高校の卒業生 石井智也さんです。質問を募集しています。



2008年07月28日
第5回 早稲田中・高:倉方規安さん

インタビュー企画「卒業生が語る我が母校」第5回です。卒業生の皆さんに率直に語ってもらいます。

倉方規安さん
(経歴)
早稲田中学・高等学校、早稲田大学教育学部を卒業。俳優。

ロジム:(以下L):こんにちは。今回は、倉方さんの母校の早稲田中学・高校についてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

倉方さん:よろしくお願いします。

L:いつ頃から俳優をご職業にしようと意識されたのですか。

倉方さん:本格的に取り組んだのは高校時代からです。文化祭で、演技をしたい人間、脚本を書きたい人間が集まって当時の自分たちにとって非常に本格的に取り組んだ公演が好評だったのがきっかけです。その時のメンバーを中心に劇団を立ち上げ、現在まで続いています。現在はその劇団以外の舞台やテレビ、ナレーションなどにも出演しています。

L:早稲田中・高出身者を中心とした劇団ですか。進学校のイメージもある同校の卒業後の進路としては珍しいのではないですか。

倉方さん:そうですね。ほとんどが早稲田大学に進むこともあって、卒業後の進路は企業に勤める人間が多いですね。ただ、完全に独自路線を歩んでいる人間も少なくありません。私の周りで見ると、両極端で中途半端な人間は少ないですね。

L:両極端?

倉方さん:そう。大企業や先生仕事でばりばりがんばっているか、マニアックな分野でプロとして活躍するかのどちらかですね。小さくまとまっていないところがとても魅力的で刺激を受けています。

L:そのお友達と出会った早稲田中学校を志望した理由を覚えていらっしゃいますか。

倉方さん:その頃は中学受験という名の親のレールがあってというか・・・
親が地元の公立=不良の集まりという固定観念があったんですよね。それでなんとなく日能研に入り・・・で、なんか響きが良くて早稲田を狙っていました。家族に早稲田の卒業生がいるわけでもなく、本当になんとなくという感じ。早実は二科目で、偏差値が若干高いのでやめました。慶応普通部も同様の理由で辞めました。そして慶応中等部は落ちました(笑)。

L:入学前の情報からどのようなイメージをお持ちでしたか。

倉方さん:自由な学校という評価が高かったイメージがありましたね。しかし、入ったら自由にも感じたけど制服もあるし、進学校を銘打っているから結構まじめでもある。バスケ部とか盛んだったから、スポーツにも打ち込めました。私は、生徒は意外ときちんとしている部分もあるのだなという印象を持ちました。

L:学校の指導なども結構きちんとしているのですか。

倉方さん:それは厳しくないんじゃないかな。服装などもボタンが外れていても多少注意されるくらい。皆外していました。でも朝のホームルームが早かった印象があります。8時くらいに登校だった気がする。それに慣れれば大学が楽に感じる。会社入っても楽に感じるかも・・・。

L:生徒はけっこうまじめで、学校の指導は厳しくない。なにかとても居心地が良さそうな感じがしますね。

倉方さん:そうですね。私は、担任に恵まれたと思います。6年間持ち上がりで学年担当の先生の顔ぶれはかわらないので、どのような先生にあたるかはとても重要です。わたしの学年は、とてもゆったりとしていた感じでした。最低限のことは注意されますが、頭ごなしにおこられたりすることはほとんどありません。気づくのを待つという姿勢です。

L:勉強面などはいかがでしたか。

倉方さん:勉強は普通にやっていれば大丈夫です。僕は完全に推薦狙いだったので、中間期末はかなり頑張った。授業中寝まくって、人にノート借りて、100点とる輩もいるので、普通の要領の良さがあれば結構楽ができるんじゃないかな。ただ、授業中寝まくって、さらに直前の勉強やらなくなる人もいて、その人は受験になるんです。まあ、最後のがんばりだけで東大などにいく人もいるので、すべてはその人次第。学校から色々強制されることはありませんでした。

L:推薦などは限られた人数ですよね。獲得するのは大変ではないのですか。

倉方さん:僕的にはそんなにライバルなど意識せずにやったけど、先輩などは、1点を争うから、生徒間で色々なかけひきがあったという時代もあったというのを聞いたことがあります。当時は、推薦が三割ぐらいだったのですが、意外に早めに推薦を諦める人も多く、バランスが良い学年に在籍していた気がします。

L:推薦の模試や外部受験のために塾に通う生徒は多いのですか。

倉方さん:塾には周りの影響で行ってました。 今思うと、塾は必要でなかった気もします。でも、自己管理ができない人は塾は必須だったとも思います。学校も塾もどれだけ良い先生と会うかがポイントだと思いますので、塾の営業の人の話を聞くより、帰り際の塾生に塾の感想や印象を聞くのが一番早いと思います。 推薦の模試に対応するには、普通レベルの参考書を購入し、それを何度も繰り返しこなせば、僕は大丈夫だと思います。学校の勉強プラス参考書でOKだと思います。 塾に通ってないで、外部受験で大学に入った人は多くいると思いますが 彼らの勉強法はわかりません。そういった情報は、とくに流通していない学校なんです。

L:大学入学後に勉強が大変だったりすることはありませんでしたか。

倉方さん:早稲田高校出身は結局は推薦組だから、勉強に関していえばなんだかんだで受験組には勝てないわけですよ、実際のところ。ただ最初の頃はなんとなくの差を感じていたけど、学年が上がったり、卒業後となってみると、あとはその人の人間性次第。皆、大学なんて不真面目だから結局同じになる。要領よく過ごし、就職活動がんばればなんとかなる気がしたなぁ(笑)。みんな頭が良かったけど、地方出身者も多いので、友達はこちらから話しかければすぐできる環境でしたよ。

L:早稲田中・高で役に立ったなと思えるイベントや授業はあり
ましたか。

倉方さん:イベントは利根川歩行。今あるのか知らないけど、あれはなんだかんだで最後達成感がある。利根川を6年に分けてひたすら歩くだけなんですけど、オリジナルのイベントだったと思います。授業は特には・・・。ただ、わりとレベルが高い授業をやっていた記憶があります。あまり「指導をする」という意識がない学校だと思うので、学校の個性については印象がないですね。

L:まるで大学みたいですね。

倉方さん:基本的に自分から動かないと何もないという点ではそうですね。勉強面では、推薦枠が少ないこともあり、それなりの緊張感が生徒のほうにあるんだと思います。完全な付属校に比べて程よいのでしょう。私は、人柄のよい先生と仲間に恵まれたのでその点は非常によい財産を得たと感じています。

L:印象にのこっていらっしゃる先生についてお聞かせ頂けますか。

倉方さん:印象に残っている先生というのは、僕の中では卒業しても尚、付き合えている先生ということになります。そういった先生は素敵だと思います。
もう辞めてしまいましたが、数藤先生、平田先生、小菅先生、現役でもいらっしゃる上野先生、岡嶋先生などが良い意味で印象に残っています。未だに舞台も観に来てくれています。
先生にとっては永遠に巡る多くの卒業生がいるわけですが、その中でも卒業後も気にかけてくださる先生は僕的には好印象ですね。もちろん生徒側も受け身ではだめで、どんどんアタックしていくことが必要です。それに対して、どれだけ返ってくるか?返りが大きい先生ほど、良い先生の称号をもらえているのではないでしょうか?逆に、こまめで面倒見が良いというタイプの先生はあまりいない印象です。

L:部活なども自由なのですか。

倉方さん:私はバスケットボール部だったのですが、こちらはきちんと管理・指導されました。OBを含めて指導体制がしっかりしています。バスケット部として、チャレンジャー精神 と 努力 と 心を込めてという3つのことを学びました。学校が特に理想とする生徒像をもっているわけではないと思うのですが、部活ではかなりしっかりと指導されました。全く自由な部活もあると思うので、これは顧問の先生次第です。

L:全体としては自由で、部活などの選択によっては非常にしっかりとした指導もあるというのは良いバランスなのでは。

倉方さん:そうですね。基本的にやりたくないことをやらされる場面はほとんどなかったので、不満などは思いつきません。ただ、現在の生徒たちからは、進学校寄りになって厳しくなったという話を聞きます。残念ですね。そういう学校は、他にも沢山あるのだから自由さを貫いてほしいですね。まあ、最近の保護者からの希望もあるのでしょうが、バリバリ勉強させたいのならそういう学校に入学させれば?と思います。最近は部活の日数も制限かかっているらしいですし、学校の姿勢としてなにより卒業生に対してあまり親切ではなくなった・・・。ま、これも先生によると思いますが、すべてに対してゆったり構えた学校であってほしいです。

L:ご自身のお子さんを入学させたいと思いますか。

倉方さん:本人の意思も聞きたいところだし難しいところです。もし行きたいと言えば、尊重します。ただ僕らがいたころとは変わったようなので現役の先生たちには確認してみたいところです。 自由度がなくなった早稲田には親の立場として考えてもあまり魅力を感じません。

L:卒業後のつながりに関して、早稲田中・高はいかがですか。

倉方さん:他の学校を経験していないので善し悪しの判断はつきません。ただ、職業柄ディア関係、たとえばテレビ局、たとえばマスコミ、製作会社に比較的卒業生が多いのでつながったところもあります。先輩は後輩を可愛がるのは人間の特性ではないでしょうか? 大学だと学部が違うと微妙ですが、早稲田高校出身なら同じ先生などの話で意気投合できますよね。まあ、そういった仕事関係を抜きにしても、今でも付き合う仲間は中高時代が圧倒的に多いです。 それは学校の特性ではなく、たまたまその仲間が良かったのかもしれないのですが。

L:どのような子供に合っている学校だと思いますか。

倉方さん:中学受験を経て、ある程度勉強が出来る人間が集まっている割には、勉強の出来だとか順位だとかに固執しない校風です。生徒も先生も。多少厳しくなったのかもしれないけれど、私の在学時から先生が総入れ替えしたわけではないし、その点はベースとして残っていると思います。ですから、勉強は自主的にやるべきときに出来る、もしくはしたいという土台がある子供にとっては時間を自由に出来る学校だと思います。こまめに管理されることはありませんから。私も、部活や演劇などに勉強そっちのけで集中した時期もありましたし、それぞれの生徒がそれぞれのペースで楽しめる学校です。その反面、自主的に動けない子供は、全く得るものがないでしょうね。受け身の人間は、成績などに関わらず評価されませんし、早稲田の良さを感じられないと思います。

L:ありがとうございました。今後のご活躍を期待しています。

次回は、豊島岡女子学園中・高卒業生の孫康子さんです。ご質問を受け付けています。(締め切り8月15日)




2008年02月17日
第4回 普連土学園中・高:高久葉子さん

インタビュー企画「卒業生が語る我が母校」第4回です。卒業生の皆さんに率直に語ってもらいます。


高久葉子さん
(経歴)
普連土学園中学・高校、慶応義塾大学理工学部、同大学院を経
て現在外資系証券会社のロンドン支店のIT債券部でシステムア
ナリストとして勤務。

ロジム(以下L):よろしくお願いします。現在ロンドンにお住まいとのことですが、お仕事の内容について教えてください。

高久さん:金融資産分析・管理システムの設計/構築をしています。 同じ仕事をロンドン NY 東京のチームで太陽の動きと共に仕事をまわしてます。自分の同僚が世界にいるのは楽しいですよ。

L:今日は、高久さんの母校である普連土学園についてお話を伺いたいと思います。普連土学園中の受験、進学を決めた理由などは覚えていらっしゃいますか?

高久さん:あまり理想的な話ではないのですが、風邪を引いて受験目玉の1、2日 ついでに4,5日を休まざる終えなかったからです。
なので、普連土には6日の2次受験で入学しました。そのため3日目の学校と普連土しか選択肢はなかったのですが、その中で選んだ理由は学校説明会などで以前から母がいい印象を持っていたのと、前日の面接がしっかりしていて、そこで受けた印象が良かったのだと思います。ですから 中学受験は余りいい思い出ではなかったのですが、結果的に普連土に満足しているので、今では中学受験の惨劇は私の笑えるもちネタになっています。

L:それは一生の思い出ですね。(笑)実際に入学してみないとわからない様々な特色があるとおもうのですが、社会人として振り返ってみて役に立ったなと思える、普連土ならではのイベント・授業はありましたか。

高久さん:Englishの授業ですね。英語だけではなく英会話の授業があったり、毎年交換留学生が来ていたり国際的な感覚に自然になじめたと思います。

L:そのEnglishという授業は普通の「英語」のほかに設置されている授業なのですか?

高久さん: はい、英語とは別の授業です。特に教科書もなく、英語でゲームをしたり、文法などお構い無しで英語を使って何かしてみようという趣旨でした。ですのでもちろん先生は外国人のネイティブの先生で、挨拶から説明すべてが英語です。手振り身振りに頼っていた部分は大きいですが、楽しかったです。

L:なるほどそのような授業の設定はあまり他では聞かないですね。

高久さん:他にもう1つ挙げるとするとコンサートですね。講堂の音響が良いと有名でプロの演奏を聞く機会がよくありました。役立ったというより教養になりました。

L:社会に出てみてご自身もしくは同級生を、他の学校の生徒と比べて違うなと思う点はありましたか。

高久さん:のんびりしているところ。好きなところですが、周りの人はいらいらするかもしれません。卒業生同士だと全く気にならないのですが。

L:そうなんですか。では学校の姿勢としてはいかがですか。文化祭などで先生たちが結構きちんと見回りをしていたのを覚えていて、生活指導などは厳しいのかと。

高久さん:厳しくないほうだと思います。確か校則が1つか2つかぐらいしかなくて、教育方針も強制的に生徒に指導するのではなく、自分で気づくように促すという形でした。

L:やはり実際はわからないものなのですね。外部からの普連土の様々な評価の中で、実際にそうだ と思う点、違うと思う点をあげてください。

高久さん:外部の評価をあまりしらないので教えてください。

L:保護者の方の間では、少人数で生活指導も学習指導も厳しめでしっかりしているという感じでしょうか。そして質素。

高久さん:生徒の雰囲気としてはやはり質素だと思います。学校としてのカラーもとてもゆったりとしていてまじめで堅実です。私は在学中は制服が嫌いでした。現在は変わったみたいで、あの時の学校のこだわりはどこにいったのかとちょっと残念です。

L:現在通っている生徒からは勉強がとても大変だという声が聞かれます。やはり大変なのですか。

高久さん:大変というよりも、体制が整っているという感じです。大きい方なのか 小さいほうなのかは比較できないので分かりませんが 受験校なのでそれなりに差ができる位の量がしっかりと与えられます。

L:勉強する生徒もしない生徒もごちゃまぜで放っておくという学校もありますが、そうではないんですね。

高久さん:英語や数学はレベル別に2つのクラスに分かれていましたし、授業より先に勉強を進めたい人にも個別に対応していました。

L:あの少人数から、さらにクラスが分かれるんですか。そう いえば私が学校見学に行ったとき、7,8人しかいない教室があったのですが、そのような感じなのですか。

高久さん:7,8人しかいないクラスは物理/生物か授業以外に行われる補習だと思います。英語数学の授業は、学年全体を2つのレベルに分けているだけです。なので普段の授業と人数は結果変わりません。ただ私は塾にも行きましたが、学校の学習指導体制は塾に遜色ないレベルだと思います。

L:塾に通われた方がそのように評価するというのは相当しっかりとしているのですね。

高久さん:英語は塾に通いませんでした。実際授業や学校のカリキュラムだけで内容レベル共に十分でした。夏期講習を受けたことはありますが、英語は日頃の積み重ねが大切だと思うので普連土の英語教育には満足しています。理系の受験者は英語をおろそかにする人が多いのですが実際はほとんどの大学が数学と同じ配点なので、受験用の勉強をしなくても英語学力がついていたのはとても助けになりました。

L:私の学校では文法書を頭から読んでいくような英語の授業があったのですが、とてもうらやましいですね。実際、イギリスで仕事をして生活できていらっしゃいますし。高久さんは理系ですが、理系の割合は多いのですか。

高久さん:それほど多くありません。やはり女子校なので 理系よりは文系の教育が充実しています。数学以外の理系科目( 物理 化学 生物)などはやはり塾で補った方がいいと思いました。

L:数学もきちんと指導しているのですか。

高久さん:塾に通いましたが、通っていない人も多かったです。特に通ってる人と通っていない人でレベルの差があったとは思わないので やはりこれも塾なしで大丈夫だと思います。数学の場合は最終的に数学的センスで差が出てくるので、それぞれのレベルによって学校も課題を用意してくれたり、レベル別の丁寧な対応ができていたと思います。

L:そのような少人数で細やかな対応が窮屈に感じられたりすることはありませんでしたか。

高久さん:授業以外で行われるものは全て自主選択でしたので窮屈に感じることはありませんでした。自分に合った補習があれば受ければいいし、数学を人より進めて勉強したければ先生に相談すれば課題を与えてもらえるという感じです。学校を主体に補習を取る人もいれば、塾に行っているからということで行かない人もいました。先生は大変だと思いますが、カリキュラムは臨機応変に組まれていました。

L:生徒同士はいかがですか。女性ばかり、しかも少人数がずっと一緒にすごすとなると色々と大変な面もあるのではという想像が勝手に働くのですが。

高久さん:そう思いますよね。でも全くそんなことはなかったです。3クラスしかないので知らない人はもちろんいませんし、あまりクラスという垣根を感じませんでした。喧嘩や言い争いさえした覚えがありません。かなり贔屓になるかもしれませんが、みんな優しくて穏やかな人が多かったと思います。大学に入って、気が強い人や意地悪な人に会ってショッキングでした。

L:外から思われているほど厳格な校風や雰囲気というわけでもないのですね。

高久さん:そうですね。どのような子供に向いている学校で、どのような子供に向いていない学校かというイメージも特に思いつきません。生徒の理想像としてある決まった方向あったり、特別に誰かを尊敬したとかされたとか覚えはあまりありません。特別な人がいたというイメージよりは、一人一人の個性が大切にされていたと思います。

L:ご自身のお子さんを普連土に入れたいとおもいますか。

高久さん:入りたいか入りたくないかは自分の子供が決めればいいと思うので、入れたいという表現は少し強いかな? ただ 、自分が生まれ変わったら是非普連土に入りたいですし子供が入学したら安心できる学校です。
同級生に会ったとき、みんな女性として素敵な生き方をしている人が多いし、自分と同じ空気を持っているので卒業生で良かったと感じます。

L:なるほど。最後に、母校を一言で表すと?

高久さん:「ひだまり」普連土を思い出すと暖かい気持ちになるからです。

L:ありがとうございました。




2008年01月12日
第3回 慶應中、湘南藤沢高:川野辺裕道さん

インタビュー企画「卒業生が語る我が母校」第3回です。卒業生の皆さんに率直に語ってもらいます。

川野辺裕道さん

(経歴)
慶應中等部、慶應湘南藤沢高校、慶應大学理工学部、同大学院を経て通信会社の企業ネットワーク技術部門に勤務

LOJIM(以下L)よろしくお願いします。現在、通信会社にお勤めとのことですが、お仕事内容を教えて頂けますか。

川野辺さん:通信会社にて、企業の社内外通信ネットワークの設計と構築を行っています。

L:今日は、川野辺さんの母校である慶應中等部と湘南藤沢高校のことについてお伺いできればと思います。まずは慶應中等部を志望した理由などは覚えていらっしゃいますか?

川野辺さん:親が中等部/普通部に入れたいと思っていたのがきっかけです。普通部も合格しましたが、自由な校風から中等部を選びました。父が中等部から慶應に入ったというのも理由です。

L:実際、内部の生徒の間でも普通部よりも自由という評価なのですか?

川野辺さん:あまり他校の雰囲気がどうだとかを気にする文化はないのですが、高校に上がってみると中等部出身者の方が要領が良い子が多いかなと思いました。授業中は寝てるけど中間テストの過去問をたくさん持ってるやつとか。女の子の良くまとまったノートを集めてるやつとか。

L:なるほど。慶應に中学からの入学を志望される方たちはやはり幼稚舎から進学されてくる方との生活を気にされるのですが、上手く馴染むものなのですか。

川野辺さん:はい、すぐに馴染みました。学力について幼稚舎からの生徒との大きな差は感じませんでしたが、幼稚舎からの生徒について子供ながらに「自由な考え方の子だな」とか「しっかりした子だな」と思った記憶があります。

L:なるほど。外部からは、お金持ちや慶應関係者ばかりで付き合いが大変そうだとかというイメージがあるのですが実際はいかがでしたか。

川野辺さん:そんなことはないですよ。自分で考えて行動できる子、自発的に物事を進めることのできる子に向いている校風だと思いますが中学生ですからね。友達づきあいが普通にできればいいんじゃないでしょうか。

L:実際の学校生活に関して振り返ってみて印象深い授業やイベントはありましたか。

川野辺さん:国語の授業で歌舞伎の勧進帳について学び、その後に実際に歌舞伎座に見学に行ったことが印象に残っています。あれから歌舞伎を見る機会が無いので、日本の伝統に触れるいい機会になったと思っています。

L:学業自体の大変さはいかがでしたか。

川野辺さん:勉強が大変だとは特に感じませんでした。もちろん中間/期末テスト前はそれなりに勉強しましたが、普段の授業で宿題が山ほど出るとか、必ず予習復習をしなければならないということはありませんでした。
生活指導については、高校に比べると、ベテランの先生が多かったからか多少厳しかったように感じます。ただ、基本的には生徒の自主性を尊重する自由な校風だったと思っています。特に印象深いわけではありませんが個性豊かな先生が多かったように思います。

L:校風として「このような人間になれ。」というようなものはありましたか。

川野辺さん:そういった強いものはありません。ただ、中等部での生活を通して「自分の意見を持つ」という意識は強くなったと思います。

L:引き続いて湘南藤沢高校についてお伺いします。まずは選択した理由から。

川野辺さん:共学だから!(笑) あとは部活でやっていたバスケット部の顧問の先生が元オリンピック選手だったからです。できて間もない(2年目)学校だったことも理由です。

L:日吉、志木との校風の違いなどはあるのですか。

川野辺さん:通ったわけではないので詳しくは分かりませんが日吉と志木は男子校で、伝統あるイメージ。湘南藤沢は共学で中高一貫であることから、またできて間もない学校だったことから先生も生徒も一緒になって校風を作って行こうという雰囲気があったように思います。

L:慶應は中学と高校では全く別の学校だといわれますが、やはり中学とは全く違う雰囲気なのですか。

川野辺さん:学校(校舎)によると思いますが、中等部とSFCは似たような雰囲気だったと思います。

L:独自の授業などは実施されているのですか。

川野辺さん:「ゆとりの時間」という授業が毎週1回あり、これは印象に残っています。普段の座学とは異なる参加型・体験型の授業で、変わったスポーツや実験、楽器演奏などを中学生から高校生までごちゃ混ぜで一緒になって行ったのはいい経験になりました。

L:高校生ともなると大学への推薦を意識するかと思うのですが、競争は厳しいものなのですか。

川野辺さん:医学部は枠が少ないので競争が厳しいと思いますが、その他は特に。友達関係にも関係ないと思います。塾に通ったりする必要も感じませんでしたし、まわりに通っている生徒もいなかったと思います。そもそも学校の授業と部活で精一杯なんですよ。

L:それは健全に学校が充実していたということですよね。

川野辺さん:やはり新しい学校ということでよかった面は多いと思います。若い先生も多く、先生と生徒の距離が近くてとても仲がよかったです。時には友達のようにいろいろと相談に乗ってもらったりしました。生徒の間にもとても一体感がありました。

L:一体感というのは慶應を語る上でキーワードになりますね。

川野辺さん:はい。今でも毎週末に高校時代からのバスケ部の仲間と会っていますし、つながりは深いです。また、会社に入っても社内で慶應出身者の定期的な集まりがあったり、縦横のつながりは広がっています。

L:社会にでても慶應のパワーを感じますか。

川野辺さん:大学となると人数も多く、色々な人がいるので括って表現するのは難しいですが、SFCの出身者に関していえば自分で何かを生み出していく力のある人が多いと思います。また、良い意味で一癖ある、ユニークな人が多いと思います。

L:お子様を中等部、SFC高校で学んで欲しいという思いはありますか。

川野辺さん:はい。末長く付き合えるいい友達が多くできたことが自分にとってとても大きな財産ですので、子供にも同じ経験をしてもらいたいと思います。

L:ありがとうございました。

次回第4回は普通土学園中・高の卒業生 高久葉子さんです。インタビューは終了しています。
第5回の予定は早稲田中・高の卒業生 倉方規安さんです。質問はkarino@lojim.jpまで。件名は「卒業生が語る母校質問」でお願いします。




2007年11月15日
第2回 雙葉学園:杉岡由梨さん

苅野です。インタビュー企画「卒業生が語る我が母校」第2回です。卒業生の皆さんに率直に語ってもらいます。

杉岡由梨さん
(経歴)
雙葉中学・高校、東京大学経済学部卒。現在外資系金融機関のロンドン支店で法人営業を担当

LOJIM(以下L)よろしくお願いします。現在、外資系証券会社のロンドン支店に勤務されているとのことですが、どのようなお仕事をされているのですか。

杉岡さん:銀行などの金融機関を相手に国内外の金利に関する商品の取引をしています。

L:今日は、杉岡さんの母校である雙葉学園のことについてお伺いできればと思います。雙葉に入学されたのはいつですか。

杉岡さん:幼稚園からです。

L:知らなかった。お嬢様なんですね。

杉岡さん:一般的にはそういわれることが多いですが、そんなことないですよ。ご存知の通り(笑)。

L:でもやっぱり周りにはそういう同級生が多いのでは?

杉岡さん:そのような先入観をもたれてしまうことが多いのですが、本当にそんなことないですよ。現在も普通に働いている同級生がほとんどです。

L:雙葉学園のような有名校だと、実際を知らなくても周りは色々な評価を勝手にしてしまいますよね。一般によく言われている雙葉学園の評価の中で実際は違うなと思うことはありますか。

杉岡さん:お嬢様学校というのはやはり違う気がします。同級生を見回しても、特段お金持ちが多いということもありません。

L:評判通りだと思う点は?

杉岡さん:質素で堅実というのは本当だと思います。見かけも、金銭感覚も地味なほうだと思いますよ。女の子なので外見はもちろんですが、趣味などで中身を磨こうという意識も結構高いんです。

L:私の知っている限りですが、杉岡さんのおっしゃるように雙葉学園の卒業生は言われるほど線の細いお嬢様という感じではないですね。そういえば。

杉岡さん:女子だけなので自分たちで力仕事など全部やらないといけないので当然の意識として自立してくるんだと思います。

L:このインタビューは中学校からの入学を検討されている方が多くご覧になっているのですが、中学校入学組と小学校からあがって来た生徒はすぐに馴染むんですか。

杉岡さん:大人が心配しているようなことはありませんよ(笑)。1,2ヶ月ですぐに打ち解けます。

L:中学受験を経て入ってくる皆さんと学力の差とかがあったりはしないんですか。

杉岡さん:一緒に授業を受けるのに問題になるような差はないですよ。

L:そうなんですか。内部の生徒もかなり勉強しているんですね。

杉岡さん:私は四谷大塚に通っていました。勉強もそうですが、色々な習い事をしている友人が多かったですね。

L:雙葉独特の授業で、社会に出てから役に立ったなと思うものはありましたか。

杉岡さん:キリスト教(カトリック系)の授業や行事は役に立ったと思います。

L:具体的にどのような時に?

杉岡さん:現在ロンドンで働いているからかもしれませんが、ヨーロッパの人々と接するときに彼らの考え方の根底にある歴史などについての知識はとても貴重です。また、絵画をはじめとするヨーロッパの芸術に接するときにも同様ですね。

L:なるほど。私は男子校だったのでそのような情操教育を受けたことがないんですが、結構影響力があるものなんですね。

杉岡さん:そうですね。私は雙葉で学んだ価値観が今の自分を幸せにしていると思います。例えば、人と比べて自分を評価することをしない。ひとそれぞれの得意分野があって自分には自分だけの価値があるとおもうので、精神的に安定します。すごい人を素直にすごいと思えますから。

L:それはとてもすばらしい精神性ですね。他人と比べないと安心できない人は多いですからね。うらやましいです。卒業して、社会に出てみて感じる雙葉生の特徴ってありますか。

杉岡さん:良い意味で地味で伸び伸びしていると思います。悪い点は女子しかいない環境が幼稚園からだと10年以上も続いているので少し感覚がずれてしまう部分はありますね。

L:やはり生活指導などは独特で厳しいのですか。

杉岡さん:生活指導は厳しくないですが、年齢と学校にあった身だしなみを求められます。パーマは注意されましたが、細かいおしゃれはできました。

L:男の子と知り合ったり、遊んだりすることはないんですか。

杉岡さん:ありますよ。塾で知り合ったり、文化祭で知り合ったりというのは普通に。

L:安心しました。塾には通われていたんですね。学校の授業は受験向きではないのですか。

杉岡さん:私はフランス語選択だったのですが、語学は受験レベルに対応していました。数学は塾のほうがレベルが高かったと思います。社会や国語は塾も学校も同じようなレベルでしたが、塾が少し詳しかったと記憶してます。

L:学校内での勉強の競争はあるんですか。

杉岡さん:そんなにありません。勉強至上主義の雰囲気はありませんから。まあ、外見も勉強もスポーツもできると尊敬を集めますが、やはり競争意識は強くなくゆったりとしています。

L:卒業後もつながりは強いのですか。

杉岡さん:やはり昔からの自分を知っていてくれる人とはつながりが強くなりますよね。とても大切に感じています。他の学校ももちろんそうなんでしょうけど、社会にでて仕事で出会った方が雙葉の卒業生だったりするとそれだけで意気投合します。これは大学が一緒というきずなよりも格段に強いものだと思います。

L:雙葉はどのような子供に向いている学校だと思いますか。

杉岡さん:おとなしくても積極的でもだいたいどんな子供でも対応可能だとおもいますが、あまり騒がしい子供は敬遠されるので向かないのではないかなと思います。

L:自分の子供も雙葉に入れたいと思いますか。

杉岡さん:入れたいと思います。雙葉で学んだことで自分が幸せになっているという意識があるますから。

L:お忙しい中ありがとうございました。

次回は慶應中等部、湘南藤沢高校出身の川野辺裕道さんです。お楽しみに。




2007年10月30日
第1回 開成学園:堤天心さん

苅野です。予告はしたもののスタートが非常に遅れてしまいましたが、インタビュー企画「卒業生が語る我が母校」第1回です。卒業生の皆さんに率直に語ってもらいます。


堤天心さん
(経歴)
開成中学・高校、東京大学工学部卒。情報サービス会社の営業、経営企画を経て、現在は大手通信会社の新規事業の担当部長。

LOJIM(以下L):よろしくお願いします。堤さんの現在のお仕事の内容について教えてください。

堤さん:通信会社の新規事業として、「テレビとネットがつながって動画が見れたら」を考えてカタチにする仕事です。テレビ向けIP動画配信新サービスの企画・立上げて未曾有の大成功させろというミッションです。

L:今日は堤さんの母校である開成学園のことについてお話を伺いたいと思います。開成にはいつ入学されたのですか。

堤さん:中学校からです。

L:やはり中学入試のための勉強はかなりされたのですか?

堤さん:現在のように親主導で中学受験が過熱していたような時代でもないので、好きにやっていたという記憶しかないですよ。塾には行っていましたが、特に厳しく管理されていたこともないので、勉強したな、がんばったなという感じはあまりないです。

L:それは良くできるお子さんだったんですね。世の中のお母さん方がうらやましがりますね。

堤さん:いや、当時はやりたい奴がやるというだけだったんではないですか。私の地元がそうだったのかもしれませんが。

L:確かに、最近は半ば義務のように中学入試がありますからね。当時の方が趣味の世界に近かった。

堤さん:そうですね。

L:開成の同級生を見渡しても、いわゆるガリ勉みたいな感じはないんですか。

堤さん:勉強だけみたいな生徒は少ないんですよ。勉強も運動もみたいな優等生タイプが多い。

L:イメージと違いますね。そんな中で尊敬を集める生徒はどんな生徒なんですか。

堤さん:どこかしか足りない点があるとゆるやかに指摘し合う雰囲気があるため、尊敬を集めにくい雰囲気があるかな。運動も出来て・アタマも良くて・女の子からもモテモテで・リーダーシップもあって・夢もある奴が尊敬を集めますが、そんな奴はそうそういません。

L:それぞれの家庭、塾、学校で「すごい」と言われてきた子供たちだけが集められるとやはり大変な部分がありますか。

堤さん:勉強は基本的にみんなできますからね。勉強だけしかないとアイデンティティーを保つのも大変なんですよ。特に、特定の分野に対する興味とかがなく、単純に競争が好きみたいな感じだと。

L:逆立ちしても勝てないような同級生が沢山いるということですか。

堤さん:おかげで、いわゆる頭が良いとか優秀と言われている人を見たり・聞いたりしても一切驚かずに済むようになりました。でも、その状況にうまく対応出来ない人も多いんですよ。

L:「競争意識のみで来ると・・。」ということですか。

堤さん:やはり、一応各学校、各塾でトップクラスだった子供があつまって、序列が出来きてしまうわけです。早くからナマナマしい競争社会の原理を味わうので、人によってはナイーブになってしまう傾向があるとおもいます。

L:まあ、だれかはビリになるわけですから、大変ですよね。

堤さん:そうですね。そうなると子供ですから自己防衛が働くわけです。不安さからか、とにかく落ちたくない、安定したいという気持ちを強くして、必要以上に自分のポジションを決めてしまって可能性を閉ざしている感じがあります。特に、地方の公立高校なんかと比べると伸び伸び感が足りませんよ。医者・弁護士・会計士志望が多すぎです。

L:トップ層の中にいると、普通の子供も引き上げられるという期待も多いと思うのですが、やはりそれなりに大変さもあるんですね。

堤さん:まあ、その伸び伸び感のなさ、手堅さをよしとする人もいるので、人それぞれでは。世間から言われるようにナイーブで覇気があまりない傾向は認めます。結構妄想癖のあるタイプが多くて、現実感を卒業後に取り戻そうとするキライも(笑)

L:やはり東大・医学部至上主義って強いんですか。落ちると落ちこぼれ扱いとか。

堤さん:それは塾と保護者の作ったイメージです。もちろん東大・医学部志望者は多いですが、受からなかった同級生に対してどうこう思うなんてことはないですよ。普通そうでしょう。

L:それはそうですね。

堤さん:だた、その周りからの視線を強く感じすぎるナイーブな子供は必要以上にそう思ってしまうことはあるようです。

L:世間からの高い注目度は繊細な中・高生には重い部分がありますね。しかし学校側からは運動会などのイベントで結構強く育てようという意識が見られるのですが。

堤さん:その点は、良い器だと思います。勉強ガリガリ・学校の授業が厳しいというのは全くのウソ。授業は殆ど教師のマイ・ワールドな空間で、受験対策なんて一切なかったです。漢文に有名なおじいちゃん先生がいて、非常に含蓄に富んでてハマリました。ただ、もうその先生はいないと思うなぁ。

L:同級生はおとなしいようですが、反面マニアックな生徒もいるのでは?

堤さん:はい。先程お話したような受験競争社会の申し子のような弱い子もいますが、つきぬけた我が道を行くタイプもいます。そのレベルは、他の学校ではなかなか会えないほど高いので貴重です。今でも、ちょっとだけ弱々しかったけど親が教授で学者肌だったI 君にはかなり感謝しています。(彼はおぼえていないと思いますが・・・)しょうもない質問から素朴だけどちょっとだけ高度な質問まで、時には大学の専門書みたいのを引き合いに出して全力でウラ技を色々伝授してくれて、かなりレベルアップしました。

L:塾には通われていたのですか。

堤さん:通っていませんでした。周りに優秀な奴がゴロゴロしているので彼らに色々と日夜質問をしたりしていると気がつけば学力がつきます。持つべきはどこまでもトコトン議論しつくせる良質な「ディスカッションパートナー」です。ピュアな知的好奇心さえあれば、非常に高いレベルで相手をしてくれる「ディスカッションパートナー」に必ず巡り合える環境だと思います。

L:学外との交流などはあるのですか?

堤さん:男の子も女の子もアルイバイトで知り合う・同級生の紹介で知り合う。飲み会で知り合う。いたって普通です。遊びも当時はボーリング・カラオケ等々、こちらもいたって普通です。

L:このインタビューは中学からの入学を考えている方が多くご覧になっているのですが、堤さんから見てどのような子供に向いている学校で、どのような子供に向いていない学校だと思いますか。

堤さん:校風自体は非常に自由で頭ごなしな所は一切ないので(今は分かりませんが・・)、多様性に対する学校自体のキャパシティは広いんです。知的好奇心が旺盛で、自分の興味に集中できるピュアさがある子供には向いているとおもいます。一方で、相対的な評価にとらわれるナイーブな性格だと、子供の早い内から現実的な自分のポジションニングを考えすぎてしまうと思います。低学年時から非常に現実的な将来設計をする子供が多いので。

L:ご自身のお子さんを開成に入れたいと思いますか。

堤さん:先程お話したとおり、知的好奇心へのピュアな探求がちゃんと育っていれば、開成は悪くないと思います。同じようなピュアな同級生が少なからずいるはずなので、刺激を受けられればいいなと。ピュアさが不十分だと、小さくまとまってしまうリスクがあるので避けるかな。

L:卒業生でよかったと思う機会はありましたか。

堤さん:良くも悪くも働きますが、ブランドはそれなりにあります。先入観ともいえるその評価をうまく活用するか否かは自分次第だと思います。ただ受験生の保護者だけは無条件にほめてくれます(笑)。

L:ありがとうございました。

(終わり)

次回第2回は雙葉学園の卒業生杉岡由梨さんです。インタビューは終わっているので近々アップします。第3回、第4回は慶応義塾中等部・慶応義塾湘南藤沢高校の卒業生(男性)と普連土学園の卒業生の方を予定しています。このお二人へのご質問を受付けております。karino@lojim.jpまで件名は「~中学の卒業生の方への質問」としてください。




2007年05月27日
卒業生が素直に語る我が母校

ブログの新しい企画として、「卒業生が素直に語る我が母校」を始めます。

私立・国立中学校を中心に、卒業して社会で普通に活躍する30歳前後の若い方々に母校の良さ・悪さ、卒業生にしかわからない内情などについてインタビューをし、説明会や文化祭などでは見えない部分について知ることが出来ればと思っています。

質問内容は生徒・保護者の皆様から広く募集し、出来る限り答えてもらいます。
既に20回分ぐらいまでは登場いただく方の顔ぶれは決定しておりますが、担当する塾長苅野の体調を考慮して不定期発行とさせていただきます。

(登場していただく方の予定)

第一回:堤天心さん

(1977年生:開成中・高卒。東京大学工学部を卒業後、情報サービス会社を経て、現在大手通信会社事業戦略担当室長)

第二回:杉岡由梨さん

(1977年生:雙葉中・高卒。東京大学経済学部を卒業後、現在外資系金融機関のロンドン支店で法人営業を担当)

以上のお二人への質問を6月8日24時を締め切りとして受け付けます。
karino@lojim.jp
まで、件名「ブログ第〜回〜さんへの質問」と明記と明記して送信してください。

また、本ブログに登場して是非母校を語りたいという元ロジム、その他の塾で苅野の指導を受けた方、さらには現ロジム生の保護者の方も是非ご連絡下さい。
ちなみに「〜中のOBを是非!」や「登場した〜さんを紹介してください」といったご要望にはお応えできませんので悪しからず。