vol.1
ロジム塾長
苅野先生
前編
後編
vol.2
ロジム
事務局長兼講師
野村先生
前編
後編
vol.3
ロジム講師
向井先生
前編
後編
vol.4
ロジム講師
坂原先生
   
番外編
ロジム
野村先生&
ぐんぐん英会話社長
谷口さん

   
   
 
  vol.3 <後 編>    <前編>はこちら  
学習塾ロジム  講師 向井先生 
 
向井 広樹
埼玉県出身。開成中高、東大法学部卒。大学在学中よりダイビングのインストラクターをしつつ、塾の講師として勤務。
文系科目全般の教務、教材作成を担当。<詳しくはページ下に
合格したときには感動がありましたか?
向井  手ごたえはあったので、これで行けなかったらどうしようかと思っていました。中学受験のときと同じく、正直ホッとしました。もう1年この受験勉強をやらなくて済むのだと心から思いました。試験に受かることだけを目的とした勉強はやっぱり辛いし、あまりいいことはないと思います。世界史などはもう9割以上記憶にありません。今の自分に財産としてのこっているのは、好きでやっていた英語だけです。
大学時代はどんな日々でしたか?
向井  大学はダイビング、サッカー、飲み会、バイトも家庭教師をやっていました。
 一番のめり込んだのは、ダイビングでした。
 ダイビングサークルを作って、ダイビングのインストラクター資格をとって、学生を集めて、サークルを作り、学生でいながら商売的なこともやったりしました。ダイビングのライセンスをとる講習やツアーに明け暮れていました。多い時には、沖縄を含めて、年8回くらいツアーに行っていました。アフリカの海以外はほとんどの海に行きました。20歳のころに始めてから4年やっていました。そのせいもあって僕は就職活動もしていませんし、実は東大で留年もしています。
 ダイビングがひと段落したら、司法試験の勉強をしようと思っていたので、図書館も使いたいし、学生でいたかったのです。最初から5年計画でした。でも、結局、司法試験の勉強は全くのめり込めませんでしたね。ダイビングが楽しすぎて、5年間まるまる費やしてしまいました(笑)。
その後進路はどう考えられました?
向井  5年のころ、ダイビング業務などで得た収入で、とりあえず司法試験の勉強をしながら生活はできていました。
 けれど、いよいよみんなも就職し、ダイビングから足が遠のく中、本気で司法試験やらないといけないなと考え始めました。しかし、稼がなければ生活できないと思ったので、塾の講師を始めながら、傍らで勉強を始めました。
そこから学習塾ロジムに出会うのはどんなきっかけですか?
向井  塾の先生をやっていたときに、強烈に反省したことがありました。小学校4~6年生を初めて教えた時、実に適当にやっていたのです。1回目の卒業生を出したときの結果は目を覆いたくなるものでした。それなりに優秀な子もいたはずなのに、次々に志望校を不合格になるのを見て、僕のせいだととても反省したのです。
 もちろん、合格した生徒もいて感謝されましたが、全滅した生徒もいて、甘い授業をしていたのかなとか思った時に、大人が子どもに対して、適当な態度をとることの罪深さを強烈に感じた記憶があります。

 それからです。アルバイトという立場でありながら、塾の講師の仕事にのめり込みました。おかげで司法試験の勉強は1年に3ヶ月くらいちょっとやる程度になってしまいましたが。
 司法試験はかなり疑問を持ちながらの勉強でした。法学そのものは結構好きだったのですが、六法すべてをやる気になりませんでした。特にこじつけっぽい理論をそのまま覚えて論述するといった形の勉強がピンと来ませんでした。今思えば、そういう方向をとらずにやる方法もあったな、という感じですが、それにのめり込むよりも、塾の仕事が面白かった。ちょうどそんな時ロジムとの運命的な出会いがあったのです。

 バイトとして、1年更新の契約社員として働いていた時に、大学時代の友人から連絡があって、たまたまロジムを立ち上げる苅野と野村の二人に出会いました。

「ロジカルシンキングの塾やろうと思うのだけど」と。
「さすがに受験を交えないと難しいよね」、最初はそんな話をしました。

 2004年の6月ぐらいに話をしたのですが、僕は塾の仕事が自分の中で盛り上がっていて、当時の講師内でもベテランの域になり、とても忙しかった時期だったので、ロジムにはその年の受験シーズンが終わった後ぐらいに話に加わるようになりました。

 大手の塾だと「教える」「覚えさせる」ことがメインになってしまうのは問題点として持っていました。保護者も「合格」「成績」だけに目が行き過ぎている。結局その場しのぎの対応になることが多いのです。でも、それでは勉強の楽しさは伝わらないと思っていた矢先だったので、「ロジカルシンキング」との出会いは感動的でした。まさに子どもたちに伝えたかった、「考える道筋」そのものでした。特に国語においては実はそれが全てなのです。「これだ」という出会いでした。

結果的に塾のアルバイトから社員になった。塾の講師として社会人デビュー。どういう興味があって講師になったのでしょうか?
向井  塾の先生になろうと思ったのは、失敗と成功後の経験で得られるものが大きかったからです。子ども相手というのは、真剣に取り組んだときにリターンが大きいのです。僕にとってはやりがいがある仕事です。感動できる仕事というのは、それほど多くないと思うのです。「教える」ことは、数少ない感動できる仕事だと思っています。
  それと、小さなころから教えることが好きでやっていました。友人にも言われました。「お前、昔から教えてばっかりだな。」これを聞いたとき、素直にそう思えて、決意した部分もあります。
 ものすごく単純に言えば、教えることが好きなのでしょう。逆に、事務系はまったくもって苦手です。
 子どもが頑張っている姿、喜んでいる姿は微笑ましいです。こっちが真剣に話せば、子どもにも伝わりますし、逆に手を抜けばそれも見透かされる。
 ロジムのいいところは、生徒との距離が近いこと。よってこちらの態度への生徒の反応もより鮮明になる。対等な立場で話ができる中で、彼・彼女に伝えたいことを遠慮無く伝えられるし、伝わればそれをしっかり意識をもってやってくれる。
 教えるというよりは「導く」という感じです。一緒にどう勉強を組み立てていくか考えて、試行錯誤しながらやっていく。これが信頼関係を生むと思っています。

ロジムでの、向井先生の役割はなのですか?
向井  授業と教材作成が中心です。教材は国語・社会・英語の教材をロジカルシンキングを土台に作成しています。多いときには週7本作っていました。2時間の教材作成は実は4時間くらいかかります。授業が始まる日に完成(もちろんだいぶ前に着手はしているのですが)、「やっとできた」と思ったら、その日にあっという間に終わって、次の日が…。というときもありました。今でも事あるたびに改良を加えています。だからロジムの教材はいつも進化しているのです。

 その他、主に野村のフォローで多少の事務系の仕事もやりますが、はっきり苦手です。それでも、意外と注意深くて心配性な性格なもので、そういう自分を活かしつつ、日々精進しています。

 もう、10年以上も教えていますけれど、不思議とあきないのは、毎年子どもの顔が違うからでしょう。教える内容が同じでも、子どもが違えば雰囲気も変わるし、どうやったら勉強に積極的になれるかをその場で考えながらやっていくので面白いのです。

 学校の授業は、1クラス50名ぐらいいると、密度が薄まりすぎます。ロジムのように、少人数での指導が必要です。生徒と先生の交感があってこそ教育は成り立つ、と思います。また、学校や大手塾のように、かちっとカリキュラムを決められて進むのもあまり好きになれません。自分のスタイルで教えたいのもありますが、それよりも生徒個々によって、課すべき課題や導き方はちがうから、という理由が大きい。そしてそれがやりたいことなのです。

ロジムの講師の特徴はなんでしょうか?
向井  一番強くに感じるのは、「勉強は楽しいよね」ということを気づかせようとする思いを共有していることです。「嫌いなことは、無理するな」とよく言っています。「好きなことをとことんがんばれよ」というスタイルです。僕自身、好きなことしか勉強できませんでしたし、嫌いなことは、時間をかけてもそんなに効果はないですから、そこは最低限でいいと思っています。もちろん最低限のことはやるように子どもに習慣化させるようにはしますが。
 講師がやれるのは、その子にとってもっとも効果的な勉強の方法を考えてあげることと、授業などの限られた時間で、一人でも実践できる思考方法や勉強方法を伝えてあげること。「受験という目標があるなら無理してもここまではやってね」「そのときこういうことに注意しながらやってね」という指示が必要なときもありますが、それ以外は、好きなことを楽しんで勉強してくれれば結果はついてくるし、それが子どもの自信や、勉強への積極性につながる。そんな考えを全員が共有して、というよりもともと持っているのではないかと思います。

 勉強が楽しいと思えた生徒の成長は早いです。逆にやらされている間は負の感情だけがたまっていく。そのためにも、1年生など低学年の子どもには、勉強の題材のネタを面白いものにしたり、ゲーム方式を取り入れたりと工夫しています。生徒同士で正解はどれかの議論をさせたりもします。すると活気がでてくるのです。これらは一つの例ですが、講師全員がいろいろな工夫をして、授業が盛り上がる仕掛けを作っています。
 また、授業では積極的でも、家ではしないという生徒に対しては、褒めてみんなで拍手というように、あの手この手で子どもたちに成功体験を作ってあげるようにしています。個人的には、そうやって勉強に自然と親しみを覚えた子が一番伸びると、今までの指導の経験から感じています。

先生としては、この10年でどう成長しましたか?
向井  講師として駆け出しのころは、授業をこなすだけでした。それが、生徒の顔、困っていることが個々に見えるようになり、子どもをみるにつれ、どんなタイプだと気づき、予測と対策をもって対応できるようになりました。
 子どもが主体的に勉強するようになるには、どうすればいいのか。そんな技術を今磨いているところです。教える内容よりもそれが肝心です。
 押しつけるのではなく、自発的に勉強に向き合うようになるような雰囲気作り、はっぱがけが大切です。徐々に徐々に、問題の設定を変えることで、「できる」という感覚を育ててみたり、あえて生徒を突き放して、生徒自身が考える時間とってみたり。スケジュールを立てさせた上で、一定期間ごとにその見直しをしながら、次のステップに向かうタイミングを測ってみたり。試行錯誤しながら、そういったことが見え、対応できるようになってきたのが一番の成長だと感じています。
教材についてのこだわりは?
向井  つねにロジカルであることを求める教材を作っています。国語であれば、要約問題を取り入れたり、自分の解答を自分で解説させたりという具合です。
 社会科の教材だと、事前に知識がなくても、ある事象とある事象をつなげるような、頭を働かさないと解けない問題などを用意します。
ロジム生の特長はありますか?
向井  自立している子が多いと思いこと。素直な子が多いこと。自分で決めて、やっていこうという子が多いですし、こちらの話もよく聞いてくれる子が多いです。
 また、受験直前も含めて、悲壮感をもってやっている生徒が少ないです。黙々と、そして、ある意味楽しみながらやれる生徒がたくさんいます。それが、この塾のいいところです。
 僕もそうだったからかもしれませんが、見ていて応援したくなります。自分の分身がたくさんいるみたいな気がしています。それで、目標が叶えられれば、そんな素晴らしいことはないと思います。
今後ロジムでやりたいことはありますか?
向井  僕の中では、子どもが自由に集まって、自由にひとつのテーマのことを考えて、発表したりする場がつくりたいという思いがあります。今のロジカルシンキングに近いのですが、現状では、答えがあるものが多いので、もっと答えが自由な問題設定に対して、自分の意見を言い、相手の話を聞いてというやり取りができる濃密な場づくりをしたいです。単なる意見の交換ではないけれど、勝ち負けなどにこだわらず、いいものはいいと素直に思えるような場です。

 やりたい理由は、危機感として、周りの目を気にして話せない子どもが多い気がしているからです。それが大人になってからの自信のなさ、答えがわかっているものにしか向き合えないひ弱さにつながり、社会全体の閉塞感が生まれる要因の1つになっていると感じています。
 それを打開して、自分の意見を言えることが大切です。話し合って、ことばで自分の意見を言わないと、人同士は分かり合えません。いくら日本人が以心伝心で通じる文化を持っているとかなどといっても、相手を思いやりながら、相手が何を考えているのか理解して話すコミュニケーションは、絶対に必要です。
  それにしゃべっている間に、自分の中のあいまいになっていることが整理できた体験は誰しも持っているはずです。だからもっと子どもたちにしゃべらせる。その仕掛けがつくれないかを考えています。
 たとえば、いろいろなバックボーン持つ大人を呼んできて、その人の話すテーマについて、生徒と一緒に話を聞きながら考えていくといった学習です。職業訓練、職業紹介などと織り交ぜてやっても面白そうだと考えています。子どもにいろいろと体験してもらいたいですから。まだ、具体性は全くないのですが、ロジムでもそんな話を苅野や野村と、ときおり話しています。

最後に、保護者の方へ一言。
向井  子どもの笑顔を見守ってあげて欲しいです。正解にこだわらなくていいです。勉強を楽しんでやれることが一番の財産です。仮に中学受験をするとして、中学受験のときの偏差値が全てではありません。子どもが楽しんでいける学校を選べば、時期が来れば子どもは一気に成長します。
向井先生、今日はどうもありがとうございました。
 
向井 広樹  
出身地 埼玉県上尾市。中学時代に上京し、その後東京中心の生活を送る大学時代は友人宅を転々としていたが、その後東京に住む。
出身大学 東京大学
教えている科目 国語・社会・英語・ロジカルシンキング6年
趣味 スキューバ・ダイビング/秘湯めぐり 最近どちらもあまりやれていない。今年こそやりたいですね。
漫画/ゲーム/コミュニケーション
小学生のときやっておいて
よかったと思うこと
・スポーツ
とにかく体を動かしていましたが、それがあったからこそ、勉強も集中してやれていたと思います。
・旅行
いろいろなところに連れて行ってもらった記憶が今生きていると思います。
・いろいろなゲームを自分たちでルールを作りながら行ったこと
創意工夫の原点がそこにあったと思います。

小学生の時にやっておけば
よかったと思うこと

・音楽
これだけは本当にやっておきたかった。大人になってピアノを弾けるっていいな、と思います。

尊敬する人物 中田英寿
サッカーのプロとしてストイックだった部分はもちろん尊敬できますが、リーダーシップもあるし、文化的な部分の大切さをきちんと認識して、海外で結果を残したのが素晴らしいですね。
サッカーだけでなく、その後の人生もしっかり設計しながらの生き方にスケールの大きさを感じます。
やりたいこと ダイビング / 英語の教材作成 / 投資の勉強 / 友人たちとの交流
これからも様々な人と出会いながら、自らも新たなことを学び、 それを人生に活かしていきたいですね。
先生のインタビューに関して、あなたのご意見・ご感想をお聞かせ下さい

*ご質問の際には連絡先アドレスの記載をお願いします。