« 今週は、算数分野からの一問です。 2005-11-07 | メイン | 今週は、昨年の巣鴨中入試から算数分野の一問です。 2005-11-28 »

今週は、昨年の海城中入試から算数分野の一問です。 2005-11-21



今週は、昨年の海城中入試から算数分野の一問です。


掛け算 九九の表の答えのひとつひとつを4で割って、割り切れるなら青、1余るとき赤、2余るとき黒、3余るとき緑で表のマス目をぬ ります。
(1)このとき、一番少ない色は何色ですか。また何個ですか。
(2)5の段で一番多い色は何色ですか。
(3)3とかけて、答えの欄が黒になるマス目は何個ですか。          

(海城中)


今回はノーヒントです。小学2、3年生でも取り組むことのできる問題です。
九九の表を書き出してみれば、簡単です。実際塗りつぶしていく中で規則を見つけてみましょう。


(1)緑 12個 (2)赤 (3)6個 (1×2、2×1、2×3、3×2、1×6、6×1)


短時間での綿密な作 業が求められるだけではありません。このような「数の性質」の問題は、初見で解くのがとても難しい分野です。
典型問題の暗記で はなく、数を見る視点を自分の中に蓄えておくことが重要です。

4で割り切れる数→4の倍数
4で割って1余る数→最小が1で、その後5、9、13、といったように4×n+1で出現
4で割って2余る数→最小が2で、その後6、10、14、といったように4×n+2で出現
4で割って3余る数→最小が3で、その後7、11、15、といったように4×n+3で出現

と整理して、格段ごとに調べていくことも出来ますし、具体的に4の段まで手を動かしてみれば、その規則を容易に発見することができます。
本問は作業が面倒なこと以外は難しくない低学年でも解ける易問ですが、九九の表から、様々なことが学べるということを知るきっかけとなる良問です。

九九を違った視点から捉えなおすことをテーマにした問題は頻出です。
・1の位が0になるのはどのよう場合か。
・そもそも九九の表には答えは何種類あるのか。
・1~9の倍数は、それぞれどのような特徴があるのか。

など、様々なテーマが考えられますし、毎年出題されています。
ひとつひとつを覚えるのではなく、日ごろから数字を様々な形に分解してみたり、見た目を比べてみるなどの習慣が、数へのセンスを高めていきます。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・結果 をさまざ まな視点でグループ分けする考察力が重要
 計算のスピードを上げることが、九九の暗唱の目的ではありません。九九の表から規則性を見つけてみようと試みることで、様々な角度から考察する力が身に つきます。本問は「余り」による分類です。

 また、状況に合わせて、その場で多くの視点を試すスピードも大切です。ひとつの結果 や常識に対して、絶えず違った視点から考察を試みる姿勢が求められて います。
算数の分野としては、
算術だけでなく、数学的センスの基本である数に対する意識を高めてもらいたい
というメッセージの込められた出題です。

また算数に限らず、目の前の当たり前の現象を、違った角度で捉えなおす姿勢というのは、理系教育に力を入れている海城中の求める人物像だといえるでしょう。


メールで更新を受信

「今週の1問」のメール配信を受け取る場合はこちら:

2014年07月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

アーカイブ

lojim_official_blog