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規則性 アーカイブ

2011年01月11日

数列の利用【対象学年:4年生以上】




数列の利用【対象学年:4年生以上】





下の数列は
1,1,2,3,5,8,13,21,34,・・・
「前の2つの数を加えると次の数になる」という数列です。


この性質に似た性質がかくれている問題が直線の本数とその交点の数です。
直線に対してできるだけ多くの交点を作った場合

20110111-1.gif

と交点が増えていきます。

(1)7本目の直線をひいたとき6本目のときより何個交点は増えますか。
(2)直線が8本のときの交点の数は何個ありますか。
(3)100本目の直線をひいたとき99本目のときより何個交点は増えましたか。

























 直線の本数と交点の数、そして「前の2つの数を加えると次の数になる」ことを意識して考える。



























(1)6個
(2)28個
(3)99個









(1)数本の直線に対して新しく1本の直線を引いた場合、その数本の直線の1本につき1つの交点が新しくできます。
例えば、3本の直線に対して新しく1本の直線を引いた場合は下の図のようになります。

20110111-2.gif

3本の線に対して、1本の直線を引くことにより、その3本に新しく交点が1つずつできます。よって、6本の線に対して7本目の直線を引くと新しく6個の交点が増えることになります。

20110111-3.gif

手前の本数の数と交点の数を足すと次の交点の合計になっていることがわかります。

(3)上の表より新しくできる交点の数は、1つ手前の直線の本数と等しくなっていることがわかります。よって、100本目の直線の交点はそれまでの99本の直線と交点をつくるので99個になります。







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2010年12月07日

規則性の発見と誘導の利用 【対象学年:4年生以上】




規則性の発見と誘導の利用 【対象学年:4年生以上】



1、2、3、・・・と番号がかいてあるカードが、上から番号の小さい順に重ねてあります。『一番上のカードを捨てて、その次に一番上になったカードを残りのカードの一番下に入れる』という操作を繰り返すとする。次の問いに答えなさい。

(1)カードの枚数が32枚の時、最後まで残るカードの番号はいくつですか。



(2)カードの枚数が1100枚の時、最後まで残るカードの番号はいくつですか。
                                 
    
                                   (慶応義塾湘南藤沢中・改題)




























(2)に関しては、(1)をうまく利用できないかどうか考えてみましょう。



























(1) 32  (2)152








(1)操作の手順にしたがってやってみましょう。
  (1.2.3.4.・・・29.30.31.32)と並んでいる中で、1が取られて、2がうしろに、3が取られて4がうしろに・・・となるので、カードが一周したときを考えると、偶数が16枚残ります。

  次に、(2.4.6.8.・・・26.28.30.32)と並んでいる中から、2が取られて4がうしろに、6が取られて8がうしろに・・・となるので、再度カードが一周したとき   を考えると、 4の倍数が8枚残ります。

  よってこの時点で(4.8.12.16.20.24.28.32)が残っています。
  ですから、同様の操作を繰り返すと(8.16.24.32)→(16.32)→32となり、最後に32が残りますね。

(2)(1)より、32枚の時には、32が残ります。
  では、64枚(32×2)のときを考えてみましょう。64枚のカードをこの操作で一周させたときには(2.4.6.・・・60.62.64)の32枚のカードが残ります。
  ここで、32枚のカードがある時には、その最後の1枚が残るわけですから、64が残る、すなわち64枚のカードがある時には64が最後に残ることにな   ります。

  同様に、128枚、256枚、512枚、1024枚の時にも、それぞれその最後の数字のカードが残ることがわかります。
  
  よって1100枚から76枚取り除き、残りが1024枚になったときに、最後にある数字が求める答えとなります。
  76枚取り除いたときに、いちばんうしろに来る数字は76×2=152ですから、152が最後に残る数字となります。


   もちろん、この問題を書き出しによって求めることも可能ですが、(1)で少ない数での実験をやらせた後に、法則を発見させ、(2)でそれを使って考えさせるという問題は数多く出てきます。何とか(1)をうまく使えるような法則がないかどうか、考えてみることが大切です。



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2010年01月19日

循環小数 2010-01-19



循環小数

 次のように、小数で表すと無限に続いてしまう小数を「無限小数」といいます。

 特に、同じ数字のかたまりがくり返しあらわれるものは「循環小数」といい、くり返しの部分のはじめとおわりに・をつけて表します(1つの数字がくり返される場合は・1つです)。

 これをもとに、循環小数0.4343434343434343・・・・・を分数で表しなさい。
























 無限に続く部分を「消す」必要がありますね。












 まず、無限に続く小数部分を消去するために、くり返しあらわれる周期を利用します。

 

 これより、差をとることで小数部分が消え、99×A=43と表せるのです。

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2009年10月13日

周期がわかれば、世界が広がります。 2009-10-13



 周期がわかれば、世界が広がります。

 大きさのちがう砂時計A、B、Cがあります。Aの砂時計は、砂が全部落ちるまでに3分かかり、B、Cはそれぞれ5分、8分かかります。
 いま、砂が全部落ちた状態のA、B、Cを並べて同時にひっくり返し、それぞれ砂が全部落ちるたびにすぐにひっくり返すことを繰り返します。ただし、Aだけは全部砂が落ちたときに限らず、B、Cをそれぞれひっくり返すたびに一緒にひっくり返すことにします。
 スタートのひっくり返しは数えないものとして、1時間の間にAは何回ひっくり返されますか。

























 繰り返すのですから・・・?



36回



 まず、ある操作を繰り返すわけですから、必ず周期があるはずです。その周期が見つかるまで、とりあえず書き出してみます。
 しかし、ここで注意しなければならないのは、BとCの単純な周期に比べ、Aはかなり複雑です。例えば、1分だけ砂を落とした状態でひっくり返すと、再び1分で砂は落ちきってしまいます(図)。例えば、下の表で3分のときにひっくり返ったAが5分のときにBと同時にひっくり返るため、2分ぶんの砂が落ちています。よって、このAをひっくり返すことでAはまた2分後(つまり7分のとき)に砂が全部落ちてひっくり返ることになることを表しています。これにしたがって、ていねいに表をつくっていけば、40分の周期で繰り返されることがわかります。
 40分の間にAがひっくり返るのは24回あり、残りの20分の間に12回ありますから、全部で36回となります。

 このように、周期がわかることでその先は調べることなく求めることができます。例えば、1日(24時間)砂時計をひっくり返し続けた場合、1440分÷40分=36ですから、24回×36=864回と計算で求めることができるのです。
 調べ上げる問題で周期を見つけることは、とても重要なスキルといえるでしょう。


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2008年10月13日

「なんとなく」が導く「うっかりミス」は「大きな過ち」です。 2008-10-13



「何となく」が導く「うっかりミス」は「大きな過ち」です。

0、1、2、3の4つの数字を使った整数を1番目を0として、順に下のように並べます。

     0,1,2,3,10,11,12,13,20,21,22,・・・

このとき、34番目の数は何ですか。


 























正しい決まり(規則)を見つけてください。


201



0~3の4つの数字しか使えないわけですから、4進法で考えなければなりません。

つまり、簡単に言ってしまえば「3の次は4ではなく、位を変えなければならない」ということです。

これにしたがって数を並べてみると、34番目の数は201であることがわかります。

  0   1   2   3
 10  11  12  13
 20  21  22  23
 30  31  32  33
100 101 102 103
110 111 112 113
120 121 122 123
130 131 132 133
200 201 ・・・・・・・


 さて、実際「81」と誤答を導いていないでしょうか?もちろん、この問題で使える数字に8はないわけですから正答ではありえません。

しかし、この問題の数の並びを見て、1の位に「0、1、2、3」の周期があると単純に思い込んでしまうと34÷4=8・・・2から、
9周期目の2番目、すなわち「81」と答えてしまいやすいのです。

 さらに、そのような誤答を導いた場合、「あっ、何だ。そんなことか?!」や「うわっ、見落とした!」のように簡単なミスであったとすり返してしまう子供たちが多いことが一番の問題といえるでしょう。

また、きちんと4進法であることに気がつけば、この解説のように書き出すことなく式で処理をすることが可能です。

しかし、この場合にも「202」という誤答が散見されます。これは、最初の0を1番目とカウントしてしないことによるものですが、ここでも「うっかり1つずれてしまった」とミスとして終わらせてしまうのは、非常に悲しいことです。


 数多くの失敗を、その場限りではなく「次に同じ失敗がないように生かす」ことを意識してほしい、そんな一問です。

 


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2008年08月06日

図を書いて試すのをためらったことはありませんか? 2008-08-04

タイトル 2008-06-23



図を書いて試すのをためらったことはありませんか?


 下の図のような「あみだくじ」があります。これは、たとえば一番左のAを選択した場合、図の太線をたどって左から4番目の位置に移動するものです。同じように、左から2番目のBを選択すれば、左から3番目に移動することがわかります。このあみだくじについて、次の問いに答えなさい。


問1 A~Iのうち、もとの位置よりも右に移るものはいくつありますか。
問2 このあみだくじをいくつか縦につなげて長いあみだくじを作ったところ、左から順にA、B、…、Iというように、はじめと同じ順番になりました。このとき、縦につなげたあみだくじは最も少なくていくつですか。


 ありません。


問1 5つ(A、B、C、E、G)
問2 12個



 ABCDEFGHIは、このあみだくじによって下の図のようにDFBAHCIGEと入れ替わります。
つまり、このあみだくじを1回通ることで、次の表のように整理できます。

つまり、左から1番目→4番目→1番目→…と、AとDは2回ごとにもとにもどります。
同様に、左から2番目→3番目→6番目→2番目→…と、BとDとFは3回ごとにもとにもどります。
さらに、左から5番目→9番目→7番目→8番目→5番目→…と、
EとGとHとIは4回ごとにもとにもどります。

以上より、2、3、4の最小公倍数である12回で、すべてもとにもどるのです。

まとめ
 誰もが一度は触れたことのあるであろう、あみだくじを題材にした問題です。それぞれの線が交差することで、一見複雑な動きをしていそうなあみだくじですが、要はただの入れ替え問題に他なりません。解説の表のとおり、どことどこが入れ替わるのかを整理すればさほど難しい問題ではないでしょう。

 しかし、実際にこの問題に取り組んだ子供たちは、多くが途中で諦めてしまいます(小学生に限らず、中学生でさえもです)。この理由は以下の2点が考えられます。

1)点や線が多く、面倒臭がって意欲が減退するであろうこと
2)図が大きいため、実際につなげて試すことが困難であろうこと

 過去にも、今週の一問で「調べ上げる」ことの重要性をお伝えしていますが、まさに本問も同様です。1)は学習姿勢に関係する避けがたい問題ではありますが、2)は工夫次第で容易に避けることのできる問題です。本問では、結局どこへ移動したのかさえ分かればよいので、下のように簡略した図で整理してみることが有効です(下の図では、例として1番目~3番目の移動先を図示しています)。このような工夫は、ぜひ経験から学び取って欲しいものです。


2007年12月10日

周期がうまれる仕組みを考えます。 2007-12-10



周期がうまれる仕組みを考えます。


1,1,2,3,5,8,13,21,・・・・・・
上記の数列を1000番目まで並べたとき、一の位が7である数は全部でいくつあるでしょうか。


「1000番目」まで考える問題ですから、当然周期の発見が鍵になります。


前の2つの数を足して新たな数を作っていくフィボナッチ数列と呼ばれるものです。

その仕組みから、一の位だけに注目してもフィボナッチ数列となっています。

1,1,2,3,5,8,3,1,4,5,9,4,3,7,0,7,7,4,1,5,6,1,7,8,5,3,8,1,9,0,9,9,8,7,5,2,7,9,6,5,1,6,7,3,0,3,3,6,9,5,4,9,3,2,5,7,2,9,1,0

以上周期60となっている。この中に7は8個あるので、
1000÷60=16あまり40
あまりの40の中に7は6個あるから
8×16+6=134

答え:134個


本問のような長大な周期はここ数年の流行です。
周期が数十ともなると、自分の書き出しに不安を覚えますし、見落としがちにもなります。

ポイントは周期を生み出す仕組みを考えることです。

本問では周期を
1,1,2,3,5,8,3,1,4,5,9,4,3,7,0
7,7,4,1,5,6,1,7,8,5,3,8,1,9,0
9,9,8,7,5,2,7,9,6,5,1,6,7,3,0
3,3,6,9,5,4,9,3,2,5,7,2,9,1,0
と整理して考えます。

実は11から始まった数列の途中に77が出てきた時点で周期が計算可能となります。
この数列ははじめの2つの数によって全体が決まります。

つまり1行目の最初の2つの11が7倍の77となった2行目の数列は1行目の7倍の数がならぶのです。
このように考えると3行目は77を7倍して99(7×7=49の一の位の9です。)
4行目はさらにその99を7倍して33、そして5行目は33を7倍して11となり、周期が判明します。

このように周期を書き出しによって視認するだけでなく、
数の並びの仕組みに注目して計算するという姿勢は長大な周期を判定するのに重要なのです。


2006年11月06日

慶応普通部より。正確さと大雑把さのバランスが問われます。 2006-11-06



慶応普通部より。正確さと大雑把さのバランスが問われます。

次のようにある規則で数が並んでいます。

(1)1段目で左から10番目の数はいくつですか。
(2)32は何段目で左から何番目ですか。

                             (慶應普通部)


全部書き出せば確実に正解ですが、答えの周辺までざっくり計算することで時間を短縮できます。


(1)
規則は、左下から右上にむけて単調に増加するというものです。
図のように三角形の中に入る数字の個数を考えれば、
「一番左の~段目」や「1段目の~番目」を見つけることができます。

1段目の左から10番目の数は、
一辺に10個の数が置かれた直角二等辺三角形に使う数字の数と同じです。
これは1+2+3+・・・・・・+10=55
答え:55

(2)
(1)の考え方を使うと1段目の左から9番目は45、8番目は36であることがわかる。7番目は28であるから、32は、8段目の1番左から始まり1段目 の左から8番目で終わる周期の中にあることがわかる。
8段目の1番左は29であるから、ここを含め4つ左上にすすんだ5段目の左から4段目が32となる。
答え:5段 目の左から4番目


規則性のポイントは、迅速性と確実性のバランスをとることです。
最悪すべて書き出せばよいのですが、
それでは時間が足りないような出題構成になっています。

本問でも見つけた規則性を使って

「~段目の一番左はいくつだろう」

という形で一気に進めてしまい、
その結果から微調整していくという姿勢が必要です。

超えても、足りなくてもとりあえず概算をして正答との距離を縮めるという技術は、
単調な計算練習による成果の何倍ものスピードを身につけることになります。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
概算によるよい意味での大雑 把な見当づけが大切

上位校の中には、明らかに試験時間に対して問題数の多い
「処理能力が問われる」と呼ばれる試験を行う学校があります。

本校をはじめとして慶応中等部、女子学院、灘などです。

これらの学校の求める「処理能力」とは単純に
ひらめきが速い、計算が速い、字を書くのが速い
といったものではありません。

必要とされているのは、雑多な情報の中から、
重要なポイントにのみ着手する取捨選択の能力です。

「ここまでは大雑把な計算でも間違いなく近づける。ここからは丁寧に。」

という境目をきちんと見つけ出すこ とです。

前者が過剰になれば誤答となり、
後者が過剰になれば時間が足りなくなるのです。

これには、普段からすべてを書き出した場合と、
最短距離をかなえてくれる計算技術を見比べて
その仕組みをしっかりと理解しておくことが大切です。

普段の勉強で~通りを書き出して正解して満足するのではなく、
数の性質の見地から計算で解ける部分を見つけ出すことが大切です。


2006年02月27日

今週は東邦大学付属中東邦より1問です。 2006-02-27



今週は東邦大学付属中東邦より1問です。


下の図のように左から順に正方形をならべ、各頂点を結んでいきます。この直線(対角線)について次の問いに答えなさい。
(1)4枚目をならべると、3枚ならべたときよりも直線は何本増えますか。
(2)7枚ならべると、直線は全部で何本になりますか。
(3)直線が150本を越えるには、少なくとも何枚の正方形が必要ですか。

(東邦大学付属中東邦)


(2)までの結果をしっかりと考察してみましょう。


正方形の枚数と直線の本数を表にしてみると下のようになる。

正方形の枚数がn枚のとき、直線の本数は
n×(n+1) 本
となっています。

(1)表より、
20-12=8
答え 8本

(2)上記の式において、nが7の場合を考えると
7×(7+1)=56  
答え 56本 

(3)
nが11の場合  
11×(11+1)=132
nが12の場合
12×(12+1)=156
よって
答え12枚


見抜く力と同時に、
・すばやく整理し規則性の発見のための考察
・検討に時間を割くという思考プロセス
が身についているかどうかが勝負の分かれ目です。

そもそも理系志向の強い生徒が集まる学校です。
こういった問題に、粘り強く取り組む姿勢は身につけておいてほしいものです。

本問のように、規則性を見たことのない式で表さなくてはいけない問題は近年頻出です。
「nを使っ た式であらわせ」という出題もかなり見られるようになりました。

まず多くの漸化式タイプの問題に当たっておくことが大切です。
規則性のパターンは、高校生でも手を焼くぐらい様々なものが考えられます。

少なくとも典型パターンだけは頭に入れておいたほうが良いでしょう。
「漸化式を作る」という意識付けもとても大切な要素です。

合格最低点という考え方では、(1)と(2)でどうにかなるものですが、
普段の思考トレーニングとしてしっかりと取り組んでおきたいタイプの問題です。

きちんと表にしたり、「見やすい形に整理する」ことは、「気付き」が重要となる本問においてはとても大切なものです。論 理の積み上げだけでなく、「見やす くすることで、ある突破口に気付く」というアプローチは、中学受験においてとても大切な身につけておいて欲しいものです。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・初見の事象に対し粘り強く考察する力が大切です。

理系教育に力を入れていると公言する東邦大学附属東邦中学校。
その言葉通り、理科系研究において最も基本的な能力である「粘りづよい考察力」を問う良 問です。

(1)と(2)は、丁寧に見やすく(この作業の正確さも、理系として必須の能力ですね。)書き込んでいけば全く問題ありません。
(3)が問題です。
1枚目~7枚目まで(鋭い生徒は4枚目まで)の結果を元に、法則を見つけ出さなくてはいけません。


本問は図形の範囲ではなく、数の規則性、数列で言う漸化式の問題です。
f(n)=n×(n+1)を導き出すのは、そう容易いことではありません。
(もちろん、nというパラメーターの概念がなくても、□や?等と置くなど、小学校中学年の生徒でも
回答可能です。)
そもそも図形が前面に押し出されていること、そして図形内の直線の複雑さにかなりの受験生が圧倒され、とばしてしまいがちです。

(1)と(2)の誘導により、かなり易しくなっています。(1)、(2)で、書き出し可能な範囲の問題により誘導し、(3)で何百番目というような、規則 性を活用しなくては対応できない問題を出すというのは典型的な流れです。
試験当日はともかく、折角の受験勉強の過程においては、このような実験考察問題に時間をかけて取り組んでいくことは貴重な体験となるのではないでしょう か。


2005年10月17日

今週は、算数分野からの一問です。 2005-10-17



今週は、算数分野からの一問です。


ある階段があります。
まさるくんは1段ずつとばして、たけしくんは2段ずつとばして登りはじめました。
すると一番上の段まで、ふたりともその歩幅のまま、ちょうど登りきりました。
登りきるまでの2人の歩数のちがいが14歩だったそうです。
この階段は一体何段だったのでしょう。    
(雙葉中改題)


ノートに階段の絵を書くことからはじめてください。問題とにらめっこしていても何も
進みません。「まず手を動かす」、重要な習慣です。


下の図のように、2と3の公倍数である6段目でちょうど1歩の差がつくことがわかる。
つまり6段ごとにちょうど1歩差がつく。
二人ともちょうど登りきり、歩数の差が14歩だったので、
階段は6×14=84段だということがわかる。

こたえ, 84段


この問題から、考えるべきことは以下の2点です。
  ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
  1.単位に対するの注意力・意識力
  2.起こっている事象をイメージし、図示する力
  ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

解答を見る限り、とても簡単な問題です。
実際、4年生のクラスでも半数以上が1分以内に答えをだすことができました。
しかし、この問題の誤答例は、とても重要なことを気づかせてくれるものです。

試験当日も含めて、不正解の解答のほとんどは、
「3-2=1 14÷1=14 14×2=28段」 もしくは
「3-2=1 14÷1=14 14×3=42段」の
どちらかになりました。

つまり、

「1回の行動で二人の差は1。そして最終的に差は14。
つまり14回同じ行動が繰り返された。1回につき2段(たけしくんを基準とした場合は3段)
進むので2×14=28 (たけしくんを基準とした場合は3×14=42)」
という論法です。

この誤った論法に陥っている原因は、

1. 差の単位について「歩」と「段」を混同もしくは無視している。
2. 解答の図のような具体的なイメージをしていない。

に集約されます。

この問題は、「歩く」ことによる「差」は、まず「距離」か「時間」だと
決めつけがちな生徒たちに、

「問題文を読みながら『具体的なイメージ』を描こうとしていますか、
そして『単位』に敏感になっていますか」

と問うているのです。

この問題は、6年生の上位クラスの教室でも上記のような誤答が散見されます。

解くスピードを重視するあまり、式のみで論を進めようとすることが
「具体的なイメージ」をつくることを省略させ、
単位のない式のみの展開に陥らせるのです。

本当のスピードは「具体的なイメージ」によって加速されます。
そして、単位の意識こそがその「具体的なイメージ」を助けてくれます。
正答者の8割以上が解答のような図を描いて考えています。
また不正解者で、図を描いた生徒は0でした。

「ちょっと絵と日本語で説明してもらえる?」という問いかけで、
お子様の思考の癖が垣間見ることのできる良問です。


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