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今週は開成中学入試より1問です。 2006-01-16



今週は開成中学入試より1問です。


40人 の生徒が、問題A・Bの2問からなるテストを受けました。得点は2問とも正解ならば10点、どちらか1問の正解ならば5点、どちらも不正解ならば0点です。その結果について次のようなことがわかっています。                   
(ア)40人の平均点は6点でした。
(イ)得点が0点と5点の生徒はあわせて30人でした。
(ウ)問題Aを正解した生徒の人数は、問題Bを正解した人数の2倍でした。
問題 Aが正解で問題Bが不正解であった生徒は何人でしたか。                                           (開 成)


「重複」や「相当」を考える問題は、図式化することが必須手順です。


(イ)の条件より、AB正解の10点の人数は40-30=10人だとわかる。
また、(ア)より40人の合計点が6×40=240点であることが判明する。

以上より、5点をとった人数は、(240-10×10)÷5=28人であることがわかる。
よって、AB不正解の0点は、40-(10+28)=2であることがわかる。

上のベン図で、上記の部分の人数が判明している。
また、(ウ)よりA正解:B正解=②:①と置いている。
ここで、AかBの少なくとも一方を正解した人数は、40-2=38であることがわかるので、
A正解+B正解-AB正解=38人であるといえる。
これを線分図で考えると  

(Aを正解:②)+(Bを正解:①)-(ABを正解10人)=38人

よって
③=48人
①=16人
Aを正解:②=32人
よってもとめるべきAだけ正解は
32-10=22人

答え 22 人


算数を勉強することで身につけてほしい技術・ 思考法の中でも、もっとも大切な部類に入るのが数え上げです。
碁石や日付の数え上げ、場合の数など、
「一見して見えてくるものと、実際の数の差を把握する」
技術のことです。

すでに問題意識をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、
上位中学校入試で苦手とする生徒の多い分野です。

この分野は、小学生にとって解き方に「気付く」ことがもっとも難しい分野なのです。
方程式をはじめとする数学知識を身につけた
中学・高校生でも、中学入試のこの分野の問題にはかなりてこずります。


突破口は、「きちんとした書き出しときれいな図式化」です。

数え上げのポイントは、
「重複する部分の発見」

「比の相当の発見」
です。

これらは、問題文や計算の中で気付くのはとても難しく、
具体的に図式化することで視覚で気付くことの方がとても簡単なことが多いのです。

正確で、きれいに整理された書き出しからは規則性を見つけやすく、
線分図をはじめとする図からは、
何と何が同じ量を表しているのかという「相当」を見つけやすくなります。

本問は、開成中入試問題の中でもかなり易問です。
ハイレベルな受験生が唯一陥る落とし穴は、数式のみで解こうとして時間をとられることです。
解答の線分図を書き出す(少なくとも頭のなかでイメージする)ことで、わずか数分で解答が可能です。

比の難問は、「相当」を見つけることが関門となります。
図式化することで、見つけやすくするという手順を必ず踏むことが急がば回ることにつながります。


~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・数字と条件の意味を正確に捉えることが重要

開成中に限らず、上位校の問題には付け焼刃的に習得した方程式等の、
指導要領範囲外の高度な算術が全く通用しない問題が数多く出題されています。

その学校の教務能力を披露する場とも言える入試問題において、
新機軸の
「基本的な項目に対する深い洞察力を要求する問題」

を作ることに力を置いている上位校ならではの問題です。

ポイントは、一つ一つの数字・条件の意味を深く、多面的に把握することです。
本問の条件「(ア)40人の平均点は6点でした。」に対して、
「40人の合計点は240点」という言い換えをきちんとしていくなどの基本的な作業のことです。

平坦な日本語で書かれた条件を、具体的な算数の言葉に置き換えたり、図式化するという、「問題文の意味を理解し、わかり やすく変換してつかいこなす力」が求められるのです。

普段から、問題に対して
「この条件から何がわかるのか」
「そもそも何が起きているのか」

を面倒くさがらずに、丁寧に確認する作業の積み重ねだけが、この力を養います。
ひとつの問題に対して、どれだけ粘り強く考察をし続けられるのか。
開成中の「強い」生徒を求める姿勢が見て取れる問題です。


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