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今週は桜蔭中入試・理科より1問です。 2006-02-13



今週は桜蔭中入試・理科より1問です。


 温暖 化による海水面の上昇(じょうしょう)は、氷や雪がとけて海水を増加させることがおもな原因となります。北極海の氷山と南極大陸の氷河が、それぞれ同じ重 さとけた場合、海水面の上昇に与える影響(えいきょう)はどのようにちがいますか。つぎのア~ウから選びなさい。

ア. 北極海の氷山による影響(えいきょう)が大きい
イ. 南極大陸の氷河による影響が大きい
ウ. 同じ量ならば、変わらない                       

(桜蔭中)


まず、北極海の氷山と、南極大陸の氷河の違いはなんでしょうか。


答え. イ

北極海の氷山がとけても海水の深さは変わらない 


ヒントにも書きましたが、
・北極海の氷山
・南極大陸の氷河
の2者の違いはなんでしょうか。

氷が水面に浮かんでいるのか、地上にのっているのかです。

これに気付いた時点で、基礎学習を積み重ねている生徒なら即答できたはずです。

「コップの中に氷が浮いています。この氷がすべてとけると、コップの中の水面はどうなりますか」
という有名な問題を思い出してください。思い出せなくても、考えてみてください。

水は凍る際、体積が増えます。もちろん重さは変わりません。
氷全体の重さと、水面下の氷の体積×1.0g がつり合っています。
なので、水面上に出ている氷の体積が、水が凍る際に増えた分の体積になります。よね。
(上記3行の詳細解説は省略します。どの参考書を見ても載っているはずですので、
分からなかったら確認してください)

つまり、コップの氷がとけても、水面の高さは増えません。水面は高さ変わりません。

北極の氷山は、コップの氷と同様に考えられます。
とけても海水面の高さは変わりません。

南極大陸上の氷河は、水面に浮いていた氷と違い、
氷(水)の体積はもともと、海水の体積とはカウントされていないため、とけた分はそのまま
海水の増分となります。 


~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・未知の問題を、身近な出来事・既知の問題に置き換えることが重要
ロジムの講義でも、またこの「今週の1問」でもお馴染みの科白です。
あまりにおなじみ過ぎて、「またですか・・・」という声が聞こえてきそうですが、

それだけ多くの中学で問われる重要事項であり、
それだけ多くの小学生が苦手とする能力だと断言できます。
(小学生に限らず、むしろ中学生、高校生、大学生、社会人になっても「優秀」と呼ばれるかどうかのファクターとな る能力なのではないでしょうか)

はじめて見た問題を、「知らない」「忘れた」「習ってない」では何も進みません。
この問題をみて「南極?北極?え、習ってないよ」という発言をするようでは先はありません。

南極大陸の氷河と北極の氷山の違いをまず洗い出し、その違いから、
既知の知識につなげる(本問では、コップ中の氷の問題)。

未知の問題・困難に遭遇し、既知のパーツを集め、解決に向かう。
「受験を通り越して、真に問題解決力を持つ生徒を育てたい」
という名門桜蔭中学からのメッセージを読みとれる1問です。


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