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今週は函館・ラサール中より1問です。 2006-04-24



今週は函館・ラサール中より1問です。


AB=1cm、BC=1.5cmの三角形ABCにおいて、角 BACの大きさは、角ACBの大きさの2倍です。
この三角形ABCをADを折り目として折るとBとEが重なります。
次の問いに答えなさい。
(1)CDの長さは何cmですか。
(2)ACの長さは何cmですか。
(3)角DECの大きさは角ACBの大きさの何倍ですか。
(函館ラ・サール)


相似の問題です。


「こ の三角形ABCをADを折り目として折るとBとEが重なった」という問題文の設定より、
三角形ADEと三角形ADBは合同なので、角EAB=角DABとなる。

これと「角CABは角ACBの2倍である」という条件を合わせて考えると、
角ACB=角EAD=角BADとなる。この角の大きさを下の図に「○」で表すこととする。(図1)

ここで、角ADBは、三角形ADCの外角であることから、角ADB=角CAD+角ACDとなり、
○×2の大きさとなる。
また、折り返したという設定より、角EDAも同じく○×2の大きさとなる。(図2)

さらに、角EDBは、三角形CEDの外角であることから、角EDB=角CED+角ACBとなる。
角EDB=○×4、角ACB=○×1であるので、角CED=○×3となる。(図3)

(1)三角形ABCと三角形DBAは、2つの内角が等しいので相似である。
三角形ABCにおいて、AB:BC=1:1.5であるので、三角形DBAにおいてもDB:BA=1:1.5である。
BA=1cmであるから、DB=1×2/3=2/3cmとなる。
よって、CD=1.5-2/3=5/6cmとなる。
(答え)5/6cm

(2)下の図より、三角形ADCはCD=DAの二等辺三角形である。
よって、(1)よりCD=DA=5/6cmとなる。
DA=5/6を、三角形ABCと三角形DBAの相似の中に当てはめると、
AC=DA×3/2=5/6×3/2=5/4=1.25 cmとなる。
(答え)1.25cm

(3)下の図より、
(答え)3倍


本問は、解答の下線部である、

「2つの内角が等しいから」相似

という知識を使いこなせるレベルで定着させているかどうかがすべてを握っています。


中学入試ではあまりみかけないタイプの相似で す。
これは、
「2つの三角形が相似となる3つの条件」
をしっかりと頭に入れていなければ気付くことができません。

多くの生徒は、俗に言うピラミッド型と砂時計型の相似にしか気付けません。

そして、「なぜ相似といえるか?」という問い に正確に答えられる生徒も少ないのが現状です。


「相似ならば~」についての練習は数多くこな しているのですが、「~だから相似」については全く見逃されているのが現状です。


合同とあわせて、成立 条件をきちんと整理して、
合同・相似の発見、証明に取組んでおかなければ、
本問のような相似を見つけることは絶対に不可能でしょう。

「雑多な情報の中から、既存のフレームと比較し、適応可能なものを探し出す。

というものがあります。

そもそも「自分が解けるものとは、どのようなものなのか」がわかっていない生徒が、
「自分が解けるもの」を見つけられるはずがありません。

このタイプの問題は、解説を読めば必ず「あ、そうか。」と理解したかのような感覚に陥りがちですが、
問題は「その場で気付けなかった」という事実です。

「なぜ気付けなかったのか。」

それは、往々にして「いま探すべきものについての定義が明確にはわかっていない。」ことが原因なのです。


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