« 今週は函館・ラサール中より1問です。 2006-04-24 | メイン | 今週は豊島岡女子中・理科より1問です。 2006-05-08 »

今週は東邦大東邦中より1問です。 2006-05-01



今週は東邦大東邦中より1問です。


直径10cm、深さ30cmの円柱の容器いっぱいに水が入って います。
この容器を下の図のようにゆっくり傾けました。
容器を45°まで傾け、もとに戻したとき、容器の中に入って いる水の深さは何cmになりますか。     (東邦大東邦中一部改)


単純化できないか考えましょう。



下の 図のように真横から見て考える。
傾けたときの水面と、地面は平行になるので、三角形ABCは、直角二等辺三角形となる。
AC=10cmであるから、ABも10cmとなる。

AB=10cmとしたとこ ろで、こぼれた部分の体積を考える。
下の図のよう に、高さをAB=10cm、底面の直 径10cmの円柱を考 えると、
こぼれたのはこの半分にあたることがわかる。

よって、こぼれ たのは、5×5×3.14×10÷2=392.5cm
残った水の量 は、5×5×3.14×30-392.5=1962.5cm
もとに戻したと きの高さは、1962.5÷(5×5×3.14)=25cm
(答え) 25cm

立体の問題の中に、角度が含まれている問題で す。
空間座標を学んでいない小学生の場合、
この条件から
「平面図形に持ち込もう」

という方針をしっかりとたてられるように勉強内容を整理していることが必要です。

ここをクリアーしたあとは、「こぼれた部分が、円柱の半分である」という求積の方針ですが、
これは受験までに必ず類題に出会うものですから、問題はないでしょう。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・複雑な事象の単純化・検証能力が大切である

ここまで「理系研究者に必要な能力を問お う」
という姿勢が顕著な学校もなかなかない東邦大学東邦中の出題です。

類題は、ここ何年かで筑波大附属などでも見られていますが、
解答の単純さほど簡単に解けるものではありません。

かつての中学受験生と比べ、最近の生徒に大きくかけていると感じる能力の一つが

「言い換え」「モデルの変形」

といった単純化の能力です。


単純化は、その場その場での試行錯誤と、検証能力が伴わなければ実現できませんし、
なによりもそこまでねばり強く考える時間を取れていないことが原因かもしれません。

多くの問題にあたり、高いパターン認識力を鍛えることで、
たとえ最難関校であっても合格するレベルを確保するのは難しくありません。

ただ、この試行錯誤→単純化→検証というサイクルを身につける良問に取組む
貴重な機会を見逃してしまうはあまりにももったいありません。

理系研究者だけでなく、最前線で活躍する社会人にとって必要な力を問いかける良問です。


メールで更新を受信

「今週の1問」のメール配信を受け取る場合はこちら:

2014年07月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

アーカイブ

lojim_official_blog