麻布中より。簡単な図形の面積の公式を何パターンも思いつけますか。
下の図のように1辺10cmの正方形の内側で接している円と、その円周上に頂点がある正方形があります。内側の正方形の面積を求めなさい。
(麻布中)
正方形・円の面積はどのようにしてもとまるのだったでしょうか。
ポイントは、正方形の面積は「対角線×対角線÷2」でも求めることができることです。
内側の正方形の1辺は、求めることができません。
しかし対角線は、円の直径と同じであることがわかります。
そしてこの円の直径は、外側の正方形の1辺と同じ長さ、つまり10cmです。
内側の正方形の対角線が10cmであることから求める面積は
10cm×10cm÷2=50平方センチメートル
答え:50 平方センチメートル
ここ数年、中堅・上位校の一行問題で流行の問題です。
円の面積を習い終わった4,5年生の時点でじっくり考えさせたい問題です。
円周率3.14の意味や、半径×半径の値との関係など、
円の面積を求める公式の要素一つ一つをしっかりと考えておくことでしか対応できません。
例えば、円の面積の公式の成立過程を理解していると、
半径と弧の長さだけでおうぎ形の面積を求めることができます。
このように、求積の公式の要素が、習ったとおりに素直に与えられていない問題は、
式の数学的な意味やほかの図形との関係性の理解力が問われます。
その週のテストに追われるように公式を覚えて済ましてしまっていると、
入試本番で痛い目にあいます。もう一度確認する機会にしてみてください。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
数式の意味を様々な角度から見る能力が大切
たとえば円の面積を求める公式:半径×半径×3.14を覚えたとします。
それでは、ある円が与えられたときに半径の長さがわからなければ
円の面積は求められないのでしょうか。
実は、半径は不明でも、「半径×半径」の値は求めることが出来る場合が数多くあります。
上記の公式の変数の部分を過不足なく把握しておくことで、
必要な条件を必要な形で探し当てることができます。
面積などの公式、そしてその公式の成立過程をしっかりと見直すことで
「どの値がわかれば算出できるのか。」という視野を広げておくことが大切です。
既存の知識として与えられたものを鵜呑みにせず
分解して確かめる姿勢は、
まさに麻布中の求める科学的な検証能力と同じものだということが出来るでしょう。