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学習院女子中より。物事を説明する基本技をここで一つ習得してください。 2006-09-18



学習院女子中より。物事を説明する基本技をここで一つ習得してください。


月を注意 して観察すると、私たちでも、地球上にいながら、下の表のことがらを知ることができます。どのようなことから、それがわかりますか。それぞれについて、説明しなさい。
(1)月は、夜空に明るくかがやいているときでも月の内部からは光を出していない。
(2)月がかがやいて見えるのは、太陽の光を反射しているからである。
(3)月は満月のとき、平らな円板のように見えるが、実際の月の形は球形である。
(4)地球から見ると、月は太陽とほぼ同じ大きさに見えるが、月は太陽より私たちに近いところにある。
(5)月のまわりには、ほとんど大気がない。


「Aでない」と仮定して、その話が確実に間違いならば、「Aである」といえます。


(1) 月が満ち欠けをすることから。
(もしも月が自分で光を発しているならば、月は満ち欠けせずに、(自ら光を発する太陽のように)いつでも満月状に輝いている。しかし、実際には月は満ち欠 けをすることから、月は自ら光を出してはいない。)

(2)月食が起こるから。
((月-地球-太陽)と並んだときに、月食が起きることから。)

(3)月の中央部のクレーターは円形なのに、端に行くにしたがってつぶれた形(だ円形)になっているから。


(4)日食がおこることから。
(もし、月が太陽と同距離、もしくは太陽より遠い場合、地球と太陽の間に月が入ることでおきる日食は起きない。が、実際には、月の影が影をつくり日食は起 きため、月は太陽より地球に近いことがわかる)

(5)光の屈折が観測されないから。 / 月に大気が存在するとしたら、月が他の遠い(小さい)星を隠すときに、まず月の大気が星を隠すため、はじめ星が ぼやけ始め、その後、月本体によってその星が隠れるはずである。しかし、月が星を隠す際は、段階的に星が暗くなることはなく、一瞬で消えるため。



(3)
授業の際、
「たまたまはじにあるクレーターがだ円形で中央にあるクレーターが正円に近いだけではないか」
という意見もでました。
とある一つのクレーターを観察しつづけ、このクレーターが中央にあるときと、はじにあるときで形がかわることまで言えば、この疑問は解決されます。

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物事を説明・証明するときの大事なテクニック

「Aである」ことを証明・説明するために、

「Aでないとしたら」と仮定し、その矛盾を示し、

したがって、

「Aである」と結論する。
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中学以降「背理法」として紹介される方法論ですが、もちろんみなさんも
日常的に行っている論理展開です。

何かを説明する。
訓練を積んでいないとなかなか難しいはずです。
上記の説明テクニックは中学入試でも活用箇所が大変多いですので、
覚えておいて損はないはずです。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~

「あたりまえ」の事実を言葉で説明できる能力 をもって入学してほしい

算 数の公式や定理・公理、
理科の常識をあらためて説明することは、想像以上に骨が折れる作業です。

現状教育の現場では、とあるルールを与え、それを応用する能力が重要視されているといえます。
みなさんが慣れ親しんでいる試験はまさにこの分野でしょう。

しかし、その反面、ルール自体や、定義・定理、身の回りの常識の理解が
おろそかになっている生徒を多数生み出しています。

本問は、
・ とりあえず公式や常識をマスターしてそれをつかえればいい
・ 説明は苦手。塾や学校で教わった説明を覚えておこう

という生徒が増えた現状に警笛を鳴らし、改めて定義や常識を説明することの重要性を
教えてくれる良問といえるのではないでしょうか。

近年上位校と呼ばれる学校で「定義の理解確認。常識とされる事柄の論理的説明」
問題が多く出題されています。
この機会に「何気なく前提としている常識」を見直してみてはいかがでしょうか。
(塾や学校の先生の説明を聞きっぱなしにしたり、小学生の学習範囲かどうかを気にするのではなく、
意地悪いほどに、「そもそもなぜ。なぜなぜ。」と質問してみるべきです。)


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