桜蔭中より。なぜ、教科書から離れ、身の周りの科学を題材にするととたんできなくなってしまうのでしょうか。
今年は1991年ですが、このように数字の順序を逆にしても変わらない年は、来年から10000年までに(ア)回あります。このうちで4つの数字の和が20になるのは(イ)回あります。
(桜蔭中)
1991「年」に惑わされないことです。
求めるべき年は、「ABBA」年という形をしていると考える。
現在1991年で、来年1992年から10000年の間を考えるので次は2002年。
つまりAは2~9、Bは0~9を考えればよい。
ABの組み合わせは、
A:8通り×B:10通り=80通り
(ア)80通り この中の組み合わせで合計20になるものを考える。
ABBAの合計が20であるからABの合計が10であるものを考えればよい。
Aは2~9までの8通り考えられ、それぞれに合計で10となるBが1通りずつ対応するので
A+B=10となるAとBの組み合わせは8通りある。
(イ)8通り
答え(ア)80(イ)8
本問では、「1991」は「せんきゅうひゃくきゅうじゅういち」ではなく、
「いち、きゅう、きゅう、いち」という数字の列だととらえることがポイントです。
各位の数を入れ替えるのですから、順番に意味があり、位が与える意味はなくなります。
「ABBA」という2種類の箱に2種類の数字を入れるという場合の数の定石問題です。
ABBAが4桁であることからAには0が入らない、
またすでに1000年代の最後の該当年数1991年を超えているわけですから1も入らないことにも注意が必要です。
~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
問題になっている条件を過不足なく把握することが大切
本問のように「数の性質」「場合の数」が
具体的な状況(本問では年数)に落とし込まれた瞬間に数の基本性質への感度が低くなり、
使いこなせなくなることがよくあります。
立体図形の面の上に配置された平面図形において「相似」「合同」など平面図形の基本的な解法が思いつかなくなるのと同様です。
コツは、絶えず
「問題文がその場で与えた条件」と
「題材となっているもの(整数や図形)が持っている条件」
を分けて整理する意識を持つことです。
中学入試では、どちらかに意識が偏っていると(多くの場合前者に偏ります)必ず行き詰り時間を致命的に消費しますし、
後者に意識が到達すると一気に易問となることが多くなっています。
本番では本問に割くことのできる時間は2分位です。
最初の小問集合の中に配置されていますが、全体に影響し、上記の処理能力を判別する良問となっています。