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筑波大付属中より。問題文を読む姿勢が問われます。 2007-07-16



筑波大付属中より。問題文を読む姿勢が問われます。


算数のテストの得点を調べたら、0点の人は1人もいませんでした。また、田中さんの得点から中村さんの得点をひいた差が、ちょうど山本さんの得点と同じになりました。次のうち、正しいものはどれでしょう。

(ア)田中さんの得点は、中村さんの得点と山本さんの得点の和よりも多い。
(イ)田中さんの得点と山本さんの得点の和がちょうど中村さんの得点に等しい。
(ウ)中村さんと山本さんの得点はどちらも田中さんの得点より少ない。
(エ)田中さんの得点と中村さんの得点の和がちょうど山本さんの得点に等しい。


(筑波大付属中)


「差」を扱う問題の定石手法が突破口です。


問題文の
「田中さんの得点から中村さんの得点をひいた差がちょうど山本さんの得点と同じになりました。」
を線分図で表すと下記の通りとなる。

よって
ア:田中さんの得点と中村さん、山本さんの得点の和は等しいので誤り
イ:田中さんの得点は一番高いので明らかに誤り
エ:田中さんの得点は一番高いので明らかに誤り

答え:ウ


不等式など、関係性を数式処理によって表して処理しようとすると複雑になり、
時間もかかってしまいます。

問題文の「差」という表現に着目し、線分図によって整理するという定石手法によって問題の整理が一気に進みます。

旅人算などもそうですが、与えられた情報を見やすい形に整理して、
より多くの情報を引き出すという姿勢をもっていることが必要となる問題でした。

~今回の問題より導かれる出題校からのメッセージ~
問題文の条件の図式化が大切

線分図をはじめとして小学生では「~図」に整理するという手法を数多く学びます。

方程式にとってかわられるという理由で避けてしまう指導者、生徒も多いのですが、
この図式化によって学べることは、方程式によって学べることとは異質のものです。

式の処理によってだけでなく、図にして幾何学的に考える作業というのは高度な数学の能力として必要となるものであり、
なにより数の性質を多面的に捉えることになる魅力的な手法です。

現実問題として、昨今の入試問題では、
方程式で処理した場合時間がかかりすぎてしまう仕掛けがされることも多くなっています。

小学生ならではの様々なものの捉え方を楽しむ姿勢が必要です。
洗練された図式化により一気に解ける。図式化の価値と面白さを教えてくれる良問でした。


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