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理科では、一般常識が通用しないことが多々あります。2009-06-22



理科では、一般常識が通用しないことが多々あります。

丸底フラスコの中に3分の1くらい水を入れ、ガスバーナーで充分に加熱したあと、フラスコを火から下ろしてすぐにゴムせんをし、完全に密閉しました。その後、フラスコに水道水をかけて冷やしたところ、しばらくしないうちに再び沸とうが起こりました。
 フラスコを冷やしたにもかかわらず、なぜ再び沸とうが起こったのですか。理由を説明しなさい。
(青山学院中等部)

























 沸とうとは、水が100度をこえると起こる現象でしょうか?


フラスコ内の水蒸気が水になり、気圧が下がることで沸点が下がったから。



 まず、「再び沸とうが起こった」ことから「100度をこえた」と考えるのは安易すぎます。問題文にあるとおり、沸とうしたあとのフラスコ全体を冷やしているわけですから、温度は確実に下がるはずです。

一般常識(?)のように「水の沸とうは100度をこえて起こる」と思われていますが、実はこれは大きな間違いなのです。

 簡単に説明すると、沸とうとは水の粒(分子)がエネルギーをもって水から飛び出していく現象のことで、飛び出しにくい環境であればあるほどエネルギーは必要になり、逆に飛び出しやすい環境であればあるほどエネルギーは小さくて済みます。

水の粒が空気中に飛び出していくためには、空気の圧力(気圧)に打ち勝たなければならず、これが水の沸とうを阻止していると言っても過言ではありません。よって、気圧の低いところでは、100度以下の温度(熱エネルギー)で沸とうすることができるのです。

例)
富士山頂・・・約87度で沸とう
エベレスト山頂・・・約70度で沸とう

 問題文を、もう一度注意深く読んでみると、火から下ろしたフラスコをゴムせんで完全に密閉(←ここがポイント!)しています。

水蒸気で満たされたフラスコの内部では、温度が下がることで水蒸気が水にもどっていきます。このとき体積はおよそ1600分の1に縮みますから、フラスコの内部は真空に近い状態にまで気圧が下がります。これにより、水面にかかる気圧が小さくなるので、水の沸点が下がり、再び沸とうが起こったと考えられるのです。

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