タイトル 2008-06-23

図を書いて試すのをためらったことはありませんか?
下の図のような「あみだくじ」があります。これは、たとえば一番左のAを選択した場合、図の太線をたどって左から4番目の位置に移動するものです。同じように、左から2番目のBを選択すれば、左から3番目に移動することがわかります。このあみだくじについて、次の問いに答えなさい。
問1 A~Iのうち、もとの位置よりも右に移るものはいくつありますか。
問2 このあみだくじをいくつか縦につなげて長いあみだくじを作ったところ、左から順にA、B、…、Iというように、はじめと同じ順番になりました。このとき、縦につなげたあみだくじは最も少なくていくつですか。
ありません。
問1 5つ(A、B、C、E、G)
問2 12個
ABCDEFGHIは、このあみだくじによって下の図のようにDFBAHCIGEと入れ替わります。
つまり、このあみだくじを1回通ることで、次の表のように整理できます。
つまり、左から1番目→4番目→1番目→…と、AとDは2回ごとにもとにもどります。
同様に、左から2番目→3番目→6番目→2番目→…と、BとDとFは3回ごとにもとにもどります。
さらに、左から5番目→9番目→7番目→8番目→5番目→…と、
EとGとHとIは4回ごとにもとにもどります。
以上より、2、3、4の最小公倍数である12回で、すべてもとにもどるのです。
まとめ
誰もが一度は触れたことのあるであろう、あみだくじを題材にした問題です。それぞれの線が交差することで、一見複雑な動きをしていそうなあみだくじですが、要はただの入れ替え問題に他なりません。解説の表のとおり、どことどこが入れ替わるのかを整理すればさほど難しい問題ではないでしょう。
しかし、実際にこの問題に取り組んだ子供たちは、多くが途中で諦めてしまいます(小学生に限らず、中学生でさえもです)。この理由は以下の2点が考えられます。
1)点や線が多く、面倒臭がって意欲が減退するであろうこと
2)図が大きいため、実際につなげて試すことが困難であろうこと
過去にも、今週の一問で「調べ上げる」ことの重要性をお伝えしていますが、まさに本問も同様です。1)は学習姿勢に関係する避けがたい問題ではありますが、2)は工夫次第で容易に避けることのできる問題です。本問では、結局どこへ移動したのかさえ分かればよいので、下のように簡略した図で整理してみることが有効です(下の図では、例として1番目~3番目の移動先を図示しています)。このような工夫は、ぜひ経験から学び取って欲しいものです。