今週は、算数分野からの一問です。
0から9までの数字を1つずつ書いたカードがたくさんあります。このカードを組み合わせて整数を作り、下のように1から順に並べていきます。ある数まで作った ら、カードを全部で2989枚使いました。この数はいくつですか。また、このとき、1のカードは何枚使いましたか。(桜蔭中)
この問題を難しく感じる原因を考えましょう。1つの数字が1枚のカードで作られていれば答えは簡単ですよね?今回は、数とカードの枚数の当たり前の関係に着目してください。
1桁の数(1~9):9個×1枚=9枚
2桁の数(10~99):90個×2枚=180枚
3桁の数(100~999):900個×3枚=2700
この時点で 9+180+2700=2889枚 つまり残りは100枚
ここから先は、4桁の数なので 100÷4=25
25番目の4桁の数が答え。
2,889 枚目の数は、1024。
ここまでにつかった1のカードの数を求める。
一の位に1がある数は
1、11、21、31、41、・・・・・1001、1011、1021:合計103 個
十の位に1がある数は
10~19、110~119、210~219、310~319、・・・・・1010~1019:合計10×11=110個
百の位に1がある数は
100~199:合計100個
千の位に1がある数は
1000~1024:合計25個
(※なぜ11を「一の位に1」「十の位に1」の2回数えてもいいのか。
各自考えてみてください。111なども同様です。)
合計: 338個
解答を読んでいただければおわかりのとおり、かなり単純に見える問題ですが、桁数ごとに数え上げることで大幅に解答時間が短縮されます。
(桁ごとと言わず、すべての数を書き出せば解けそうに見えますし、実際解けるのですが、作業に多くの時間をとられ、他の問題にまで影響が出てしまいます。)
問われる力は大きく2つです。
・問題を複雑にしている原因を探ろうとする注意力
この問題を面倒なものにさせているのは、使うカードの数が桁数によって違っているということです。桁数ごとの場合わけがこの問題の突破口です。桁数ごとに数字を分けることは、意外と手間がかからず、1桁:9個、2桁:90個、3桁:900個ととてもきれいな数字になります。
2桁の数10~99を99-10=89個と数える。25番目の4桁の数を1000+25=1025とするなど、大人でも間違えることの多い数え上げの落とし穴が随所にちりばめられています。桜蔭中を受けるハイレベルの受験生でも、当日のプレッシャーのなかでこの単純な落とし穴に次々とはまってしまいます。
方針を立てるのに時間がかかり、4つの場合分けをしていくなかでも正確な数え上げ(計算)をこなす。正解者平均は5分での解答、不正解者の多くは20分程度数え上げに時間を費やし、結局間違いをするという結果でした。非常にレベルが高く、思考力により差のつく良問です。