今週は慶應中等部より1問です。
下の図のように、1辺が15cmの正方形ABCDとおうぎ形ABDがあります。点Eは、辺AB上にあり、色のついた2つの部分の面積は等しくなっています。このとき、AEの長さを求めなさい。
円周率は3.14とします。
(慶應中等部)
「明らかに測定不可能な面積の差について 考える問題」といえば。。。
下の 図のように3つの部分を(ア)、(イ)、(ウ)とおきます。
(ア)=(イ)なので、それぞれに(ウ)をたして、
(ア)+(ウ)=(イ)+(ウ)も成立します。
(ア)+(ウ)の面積は、半径15cmの円の4分の1なので
15×15×3.14÷4=176.625
となり、これが(イ)+(ウ)である台形AECDの面積となる。
よって
(AE+15)×15÷2=176.625
という式が成立し、これをとくと
AE=8.55cmとなる。
答え 8. 55cm
平面図形内での、面積の差、和についての問題 です。
しっかりとした基礎演習をもとに、
「二つのぬられた面積の測定は無理である。」
「三角形EBCの辺EBを導き出すのは無理である。」
という決断をできる かどうかが大切です。
また、和の問題、差の問題では実数が求まることはほとんどありません。
この点に着目すると、方針の選択肢はせばまり ます。
同様の問題(正方形の中に直角三角形が向かい 合って入っているもの)
に4年生で出会っているはずです。
その問題をきちんと抽象化しておけるかどうか が分かれ目でした。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・基本問題の整理能力を鍛えよう
基本問題を応用力を持たせるかたちで整理できているかどうかが問われています。
首都圏上位校の中では、 女子学院とならんで算数が基本問題の高い処理能力をもとめる形式となっている慶應中等部ですが、単純な繰り返しだけでは、対応できません。
基本問題=簡単な問題ではありません。
その先に、多様な応用問題が考えられる土台となる考え方が含まれている問題が
ここで問われる”基 本問題”なのです。
なぜ、基本問題といわれるのか。
その裏に隠されたとても大切な考え方は何か。
そして他分野ではどのように使われているのかなど、
反射的に解けるだけ ではなく、自ら情報を判断し、整理する力が問われています。
じっくり取り組ませる問題の多い他の上位校に比べれば、
「算数が不得意でもなんとかなる」ということはありません。
ハイレベルな受験生の中では、すぐに差がつき ます。
灘中1日目なども同様ですが、
基本問題の基本たる所以をしっかりと考え、
噛締めていくべきだというメッセージが込められた良問です。