今週はフェリス女学院中より1問です。
下の図のように、直角三角形ABCと半円があります。
部分と部分の面積の合計は136.97cmです。
部分の面積を求めなさい。 (フェリス女学院中)
まさに分野融合問題です。
問題 の図を下のようにア~ウの3つの部分に分けて考える。
問題文の条件より、イ+ウ=136.97である。・・・(1)
ここで、イ、ウにそれぞれアを加えて、半円、直角三角形として考える。
ア+イの半円の面積は13×13×3.14÷2=265.33
ア+ウの直角三角形の面積は15×26÷2=195
この2つの値の差は、そのままイとウの差として考えることが出来る。
よって
イーウ=70.33・・・(2)
(1)と(2)より
和差算によってイ、ウを算出できる。
イ=(136.97+70.33)÷2=103.65
答え 103.65cm
04: 解説
前 回の灘中の問題の最後の山場を乗り越えるための練習問題です。
面積における、和差算は単純なものであっても、相当の問題文読解力が求められます。
「和」という条件から、「差を探す」という流れが身についているかどうか。
問題形式が図形であっても、割合であっても、速さであっても同様です。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・所与の条件を丁寧に類型化する力が大切
前回の灘中の問題と同様、表面的な題材の形式とそこで使われる技術は、
塾の一般的なカリキュラムほど単純なものではありません。
図形の和差算、速さの消去算など、数多くの融合問題が存在します。
速さは・・・、流水算は・・・という単純なパターン解法の暗記では対応できません。
必要なのは、
問題分によって与えら れる条件が、どの方針に誘導しているのかを見抜く力です。
「分からない数と与えられた状況の数が同じならば消去算」
「和を与えられる場合は、差を見つければ和差算で答えが出る」
など、解法の本質をつかんでおくことが重要です。
途方もない作業のように思えますが、無駄な何百もの問題演習よりも時間もかからず、
頭を使って普段の勉強をまとめるクセがつきますので、是非取り入れてもらいたいものです。
フェリスをはじめとして、このレベルの勉強が要求される入試問題を出題する学校は限られています。
しかし、出題されないからといって、考えない勉強法が身についてしまうと、
想像以上に入学以降の勉強に手間取ることになるのです。
学校の指導方針と強い信念が読み取れる良問です。