今週 は筑波大付属中より1問です。
7/2 mのひもを切って、1/3mのひもをつくります。ひも は何本つくれますか。また、何m余りますか。
商とあまりの単位。そして、割り算の意味をきちんと確認しましょう。
7/2 ÷1/3 = 21/2 となる。
この割り算の商である 21/2 は、
7/2 の中に、1/3 が 21/2 本とれるという意味である。
つまり、きちんと 1/3 mとれたひもは10本であり、
それに 1/2 本という足りないものがあまるということ。
1/2 本= 1/3 × 1/2 = 1/6 m
つまり、あまりは、 1/6 mとなる。
答え 10本とれて 1/6 m余る
ま さか、こんな簡単な問題に、、。と、
当時の優秀な受験生たちが何人も引っかかった問題です。
誤りはすべて、あまりを1/2としたものです。
割り算の意味「相当の計算」「分配の計算」をしっかりと理解し、
商、あまりの意味(=単位)をきちんと意識できるのかどうかが試されました。
四則演算の意味を正しく理解していなければ、
中学以降の文字を使った数式中心の世界を渡っていけません。
特に難しく、奥の深い「余り」を中心にしっかりと意味を考える時間をとっておきたいものです。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・ 「計算方法を知っている」ことと、
「計算の意味を理解している」ことは違う
・「筑波大附属は、基本問題中心だから、基本問題集を何度もくり返すべき」
本校に限らず、よく聞かれる浅はかな過去問分析です。
特にハイレベル校において、
「基本問題中心」とは、「計算問題や教科書的典型問題をスピーディーかつ正確に解かせる問題構成」という意味ではありません。
四則演算や図形の成り立ちなど、基本原理を活用して、複雑な問題を美し く解く。
と定義したほうが近いでしょう。
基本原理は、必ず(とくに小学校の教科書や塾の導入章において)説明されています。
その部分を飛ばして、表面的な演習(つまりとりあえず慣れろという方法論)に走る子どもたち(むしろ指導者たち?)に強く警鐘を鳴らす問題です。
例えば、ガウスの等差数列の和の公式と台形の面積の求め方の基本原理は同じです。
どちらも必ず習う公式ですが、基本原理の類似性をしっかりと理解していると、
この2分野以外でも応用のきく考え方になります。
折角たくさんの問題に取組むのです。帰納的に収斂させ、検証するという作業を加えることで、
高い仮説検証能力を身につけることに繋がります。
「基本事項からの出題」という縛りの中で、ハイレベルの受験生に対応してきた本校の問題は、
「基本」の大切さをきちんと理解できる生徒を選りすぐるのに適した良問となっています。