東大寺学園中より1問です。
4個の円(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)が図1のように交わ り、10個の部分に分かれています。
この10個の部分に0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の数字を、同じものを2度使わないように、しかもそれぞれの円の中の数字の和が同じ値(Aと する)になるようにわりあてます。例えば、図1のようにわりあてると、
円(ア)の和は9+0+3+4+7=23
円(イ)の和は0+3+2+6+7+1+4=23
円(ウ)の和は3+4+8+2+6=23
円(エ)の和は4+7+6+1+5=23
となり、A=23です。
(問) 図2の□の中にそれぞれ数字を当ては めなさい。
(東大寺学園中)
ノーヒントです。
図 3のように、分かれている10個の部分にB ~Kの記号をつける。
円(ア)の中の数字の和は、B+C+D +E +F
円(イ)の中の数字の和は、C+D+E+F+H+G+K
円(ウ)の中の数字の和は、D+E+G+H+I
円(エ)の中の数字の和は、E+F+G+K+J
それぞれの円の数字の和の合計は等しいことに着目すると
円(ア)の合計=円(イ)の合計より
共通部分のC、D、E,Fを除いた、B=H+G+Kである。
ゆえに求めるべき数字の一つ(上の□)B=2+7+0=9
円(イ)の合計=円(ウ)の合計より、
共通部分のD、E、G、Hを除いた C+F+K=I
ゆえに求めるべき数字の一つ(左下の□)I=3+5+0=8
円(イ)と円(エ)も同様に考えると
共通部分のE、F、G、Kを除いたC+D+H=J
ゆえに求めるべき数字の一つ(右下の□)J=3+1+2=6
となる。
複 数の要素から成立しているものどうしを比較する問題です。
低学年のときに、天秤で勉強した内容の発展形です。
複数の要素から成立しているものの比較のポイントは、
「差に関係している要素はどれか」
について、正確に把握することです。
それ以外のものは視界から外す、つまり引いてしまっても問題ありません。
また、正確に把握できていれば、双方に同値のものを加えて変形させて考えることもできます。
今回は、それぞれの円の値となっている要素をきちんと列挙して、検討することが
突破口になります。低学年の教室でも正答率は高くなりました。
~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
隠れた制限に対する探究心が 大切
魔 方陣など、一見当てはめで解けそうな問題にも、
論理的な突破口を検討する姿勢は入学後の勉強の姿勢として
強く求められるものです。
「答えを狭める要素は何かないのだろうか。」
無限に広がって見える選択肢を前にして
立ち止まりとことん考え抜く姿勢を持ったものだけが、
正答にすばやくたどり着くことができます。
答えを得ることだけが本番では大切です。
しかし、本問は、
普段の勉強の中でプロセスを大切にしてきた生徒と
そうでない生徒との間に明確な差
が生まれるようなボリュームで設計されている良問だといえます。