今週はフェリス女学院中より1問です。
大 と小のサイコロが合わせて18個あります。この18個のサイコロを同時にふったら、出た目の平均は4でした。大のサイコロだけの出た目の平均は3.4でし た。小のサイコロだけの出た目の平均は、どのような場合がありますか。すべての場合を求めなさい。割り切れないときは小数第2位を四捨五入して小数第1位 までの数で答えなさい。
(フェリス女学院中)
「サイコロの目」というだけで、大きな制限が ついてきます。
サイコロの目は整数1~6によって構成されています。
つまり、複数のサイコロをふったときに出た目の和は、
1~6の組み合わせである「整数」であるということが前提となります。
また、問題文の条件に大のサイコロの出た目の平均が 3.4
つまり17/5であることが与えられています。
ここから、大のサイコロの個数は、5の倍数であることがわかります。
つまり、大のサイコロの個数は、5個、10個、15個のいずれかになります。
・大が5個の場合の小のサイコロの平均
(4×18-3.4×5)÷(18-5)=4.23・・・=4.2 (割り切れないので四捨五入)
・大が10個の場合の小のサイコロの平均
(4×18ー3.4×10)÷(18-10)=4.25(割り 切れるので四捨五入はなし)
・大が15個の場合の小のサイコロの平均
(4×18-3.4×15)÷(18-15)=7・・・サイコロの目は6までしかないので不適格
以上より
答え 4.2 ・ 4.75
「隠れた制限」つまり、問題文にはいちいち明記されないが、
当然の前提として答えに制限を加えるものです。
本問では、平均=3.4から 5の倍数である という制限を導き出すことと、
最後に「平均7」は、1~6で構成されるサイコロにおいてはあり得ない
という2つが隠れた制限になります。
このような倍数制限など、気付けば検討範囲が数通りにまで狭め ることができる典型例は、
十分に頭に入れておける数しか存在しません(例えば日付や個数 など)。
この分野のみをしっかりとピックアップした参考書はほとんど存在しません。
そして、解説のなかでは「そういえばそうだった。うっかりしてた。」といった形で受け流してしまいがちです。
一度、このような隠れた制限にどういうものがあるのかまとめておくことが必要です。
~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・問題文に出てくる物語を具体的にイメージす ることが大切
本問は、「サイコロ」や「平均の計算の手順」についてのイ メージを失い、
数式のみを元にして試行錯誤をしたとたんに、落とし穴にはまります。
本問に限らず、すでに長い歴史のある中学入試、
とくに上位校では単純な先取り学習で身につけた数式処理で解くことができるような問題は
ほとんど出題されません。
算数には、数学の土台としてだけでなく、
「日本語を論理的にしっかりと読む力」
「身の回りのものを工夫して測量する力」などといった力を養成 する目的もあります。
ポイントは、問題文を読みながら具体的なものをイメージすること。
問題文を一度よんで、しっかりと図解できる生徒は、イメージしながら読めている証拠です。
この作業を、面倒くさがらずに取り入れてみることで
速さ、平均など抽象的なものを数値化している世界が一気に具体的なものとして身につきます。
そうするだけで、
「直感としてあり得ない数値」をはじくことができるようになるのです。