浦和明の星中より。基本問題の目先を上手に変えた問題です。
下の図のように、点Oを中心とする半径60mと半径40mの2つの半円があります。
明子さんは、点Aから出発して半径60mの半円の円周上を点Aから点Bまで往復し、
星子さんは点Cから出発して半径40mの円周上を点Cから点Dまで往復します。
2人の速さは同じで、星子さんが点Cから点Dまでの片道を移動するのに50秒かかります。
2人が同時に出発するとき、次の問いに答えなさい。
(1)初めて点Oと2人の位置が一直線上に並ぶのは出発してから何秒後ですか。
(2)2度目に点Oと2人の位置が一直線上に並ぶのは出発してから何秒後ですか。
(浦和明の星中)
「一直線上」をしっかりと意識すると、見慣れた問題に落としこめます。
(1)
星子さんの回転する角度は180÷50=3.6度/秒
明子さんの回転する速度は同じだが、
より半径の大きい半円を回っているので、同じ時間で回転する
角度は小さくなる。
半径の比が60:40=3:2であるので、同じ長さの弧に対する中心角は2:3となる。
よって回転する角度は3.6×2/3=2.4度/秒
一直線上になるということは、つまり二人合わせて180度回転した時であるから、
180÷(3.6÷2.4)=30秒後
答え:30秒後
(2)
2度目に一直線上になるということは、2人の回転した合計角度が540度になるときです。
540÷(3.6÷2.4)=90秒後
答え:90秒後
時計の針の問題以外で回転 角の速さを考える問題に取り組んだことのある生徒はほとんどいなかったのではないでしょうか。
当日、後回しにした生徒も多かったようですが、時計を想像すればかなりの易問です。
ポイントは、一直線の 状態をきちんと記入してみること。
そして、その状態を求める上での必要条件を整理することです。
一直線上について検討する作業を通じて、回転角を活用することにたどり着きます。
(2)は意外と気づかないまま受験を迎えてしまう生徒が多いのですが、旅人算の隠れた基本です。
「距離がわからなくても、ある区間ABにおいてA、Bから向かい合って出発し
X分後に出会った二人が2回目に出会うのは3X分後。」
絵を描いて二人が進む距離を考えるとわかります。
~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
普段から問題に含まれている重要項目を確認することが大切
浦和明の星中の算数は、入学後の数学に耐えられる生徒を集めようという意志が
強く感じられる内容になっています。
図形の性質を活かして式を立てるなど、
単純に図形センスを測定する問題と括ることのできない内容になっています。
ポイントは、図形の性質について深い理解をしておくこと、求積の公式についてその成り立ちをしっかりと理解しておくことです。
「正方形だから・・・」だけでなく、
「・・・・だから正方形」「正方形とは・・・」
などの形で知識を再確認しておくことが有益でしょう。
本問は、角速度について正しくイメージする基本的な力を問う問題です。
時計の問題との類似性を見抜けないのは、
「角度と速度の問題」がいつのまにか「時計の針の出会う問題」
という表面的な形でインプットされてしまっているからです。(実際の出題も多いのですが。)
本質的な部分をくずさず、目先を変えてくるという、
普段から、一段深いレベルで問題を分析する習慣の大切さを問いかけてくる良問です。