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栄光学園中より。他者への説明とは何なのか。真っ当な論理性を問う良問です。 2006-10-16



栄光学園中より。他者への説明とは何なのか。真っ当な論理性を問う良問です。


下の図の8つの空欄に、それぞれ異なるように整数を1つずつ入れていきます。このとき、空欄に入るどの数もその両隣の数の平均にすることができますか。理 由をつけてこたえなさい。

(栄光学園中)


とあることが「出来る」ことを説明するには、例を1つ挙げればよいのです。「出来ない」ことを説明するには、す こし考えなくてはいけませんね。


できない。

(理由)
異なる2つの数AとBの平均の数は、
A>BのときAより小さく、Bより大きい数である。

またA<BのときAより大きく、Bより小さい数となる。
つまり空欄の中にある異なる整数のうちの1つを考えたとき、
両側の数の平均であるということは、左右どちらかの数よりも大きく、
どちらかの数より小さいということになる。

しかし、8つの空欄にすべて異なる整数を入れるとき、
必ず「最大の数」が存在する。
その両側には、その数よりも小さい2つの数しか置くことができず、
間の最大の数をより小さな2つの数の平均にすることはできない。

以上の理由よりすべての空欄に異なる整数を入れ、
そのどの数も両隣の数の平均にすることはできない。



可能と不可能の説明は、
小学生の論理 性をはかるには格好の題材となります。

可能の証明は1つの例を挙げて終わりです。

ただし、不可能の説明には、高度な論理性が求められます。

反例を何個挙げても十分に説明したことにはならないということを、
事例を挙げながら理解させることが大切です。

これは中学生以降の証明問題への耐性を鍛えることに通じます。

類題を元にして、
教師、保護者の方々がしっかりと時間をかけて
説明することが必要な領域になります。

教室内で見られた別解として、
「1つの数AC の平均Bに関して、AとB、BとC の差は等しい。
するとC の隣のDとその隣のEとの差もそれぞれ等しくなり
8つの数の隣の数との差はすべて等しくなってしまう。・・・」

も上で解答として挙げたものとほぼ同数でした。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
論理性に対する高い意識が大切

「自 分の立てた命題を、説明するために必要な要素は何なのか。」

中学生以降の高度な勉強、そして研究に関して、
これを見つけ出す感覚ほど重要であり、必要とされる素養は他にないといってもよいでしょう。

現在の中学受験のための塾の授業形態は圧倒的に
「インプット→自習による定着→テスト」というスタイルがとられています。

しかし、中学生以降の高いレベルの勉強において「答え」のみを提示し、
その正誤のみで評価されるような機会はほとんどありません。

入試に出ない から、などという理由で他者に対する説明能力を鍛えないことは、
入学以降の勉 強姿勢に大きく影響します。

またこの能力は普段から意識していなければ伸びることはありません。

本問は、東京大学など入試のほぼすべての問題が記述形式であり、
高い説明能力が求められる学校への合格率において、
圧倒的な結果を残している本校が求める人物像が見て取れる良問だと言えるでしょう。


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