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武蔵中より。問題文のヒントを常に頭に置いておく。参照する力が問われます。 2006-11-13



武蔵中より。問題文のヒントを常に頭に置いておく。参照する力が問われます。

AさんとBさんはそれぞれ羊を飼っています。二人とも飼ってい る羊の数は10の倍数です。A、Bの二人とも1日に14頭ずつ羊の毛を刈ると、かかる日数の合計は72日になります。また、19頭ずつ刈るとAの方がBよ り7日早く終わります。A、Bが飼っている羊はそれぞれ何頭ですか。


                             (武蔵中)


途中で行き詰ったら、本文に戻りましょう。


14 頭ずつで合計72日なので
合計14×72=1008頭いるともできるが、
最終日は1頭しか刈らなかった場合も考えられるので、
最低14×70+2=982頭
であることも考えられる。

この条件より羊の合計頭数は982~1008頭であると考えられる。
ここで、頭数は10の倍数であることを鑑みて、
990頭か1000頭であることがわかる。

次に19頭ずつ刈るとAのほうが7日早く終わるので、差は
最小19×6+1=115頭(Aは最終日に19頭刈り、Bは最終日に1頭しか刈らなかった場合)
最大18+19×7=151頭(Aは最終日に1頭しか刈らず、Bは最終日も19頭刈った場合)
ここでも、頭数の差は10の倍数であることを鑑みて
差は120か130か140か150頭であることがわかる。

ここで合計頭数と差を使った和差算で合計の頭数を、
結果が10の倍数になるものに限って求めると
(A:B)=(440:560)(430:570)(430:560)(420:570)
が候補となる。

この中でそれぞれを14で割って、
商+1の合計が72になる(14頭ずつ刈って合計72日かかる)
のは、(430:570)のみである。

よってA:430頭 B:570頭

答え:A: 430頭 B:570頭

本問の難しさは、解答の進め方にあります。

子供達は、計算式が連なって、最後に答えが出る形式に慣れきっていますし、
答えを取捨選択させるにしても最後の段階に限られているからです。

計算を進める度に、幅が出てしまう。
それを本文の条件に戻って取捨選択し、また進めていくという今回のような形は、
試験中とても不安に思うことでしょう。

最後の答えを、再度問題文に代入することですっきり確認できないこと
(~日で刈り終わる頭数には幅があるからです。)も難しくしています。

このタイプの問題にあたって慣れておくことは大切です。
本文は、この年度の入試の中では、
試験時間内に確信を持って終わらせることが最も難しかった部類に入る問題です。

倍数の制限、偶奇の判断、は答えの幅に大きな制限を加える
隠れた条件となることが多いので常にチェックする習慣をつけたいものです。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
式の展開を、与えられた具体的な状況から切り 離してはいけない。

本問のように多くの式を連ねていかなければならない問題では、
いつのまにか本文の内容が頭から離れてしまいがちです。

式はあくまで本文が与えてくれた具体的状況を簡潔に翻訳したものに過ぎません。

行き詰ったときの突破口は、しばしば本文に明記されている条件です。

本文とつかず、はなれず、適度な距離を保ちながら論を進めること。
これは、式の展開の長さが算数の数倍になってくる数学における大切な姿勢です。

本問は、この姿勢の基本部分が身についていることを問う良問です。


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