もう一歩先に踏み込む執着心が求められます。
海では赤茶色、湖や沼では青緑色の模様が水面に見られること があります。これは,水にすむ小さな生物が異常に増えたもので,それぞれ赤潮,アオコと呼ばれています。
(1) 下のグラフからわかる,赤潮が発生する原因を書きなさい。
(2) (1)で答えたことのほかに,どのようなことが赤潮やアオコの発生に影響をあたえていますか。君の考えを書きなさい。
(武蔵中)
グラフの読み方は、(A)全体の傾向をつかむ (B)特異点(目立つところ)に着目するの2ステップが基本です。
(1) 水面にとどく太陽の光が、プランクトンが光合成を行い、また活動に適した水温にするために十分な量となること。
(2)プランクトンの栄養分となる、工場からの廃水や、家庭からの生活排水が海に流れ込むこと。
(1) で、「十分な温度となること」と解答しただけでは、満点は得られないはずです。
正解者の思考プロセスとしては、
グラフをみて、冬より、夏に赤潮が頻繁に発生することに気付く
↓
「ってことは、温度か?」と仮説をたてる(ここまでで解答用紙に走ってしまうとダメです)
↓
「でもまてよ。なぜ、6月と8月はは発生回数がすくないのだろう・・・」とクリティカルシンキングを持つ
↓
(なんだろうか。と、いくつもの仮説と検証をスピーディーに行う。
ここのステップでの試行回数の多さが、「頭のよさ」につながることが多いです)
↓
東京での6月、8月の様子を思い浮かべ、
「梅雨と台風により、曇りや雨の日多い!」ということに気付く
↓
「つまり、赤潮の発生回数を増やしているのは、温度よりも日光照射量だ」と気付く
ロジムの教室でもよくやりますがグラフを読み、分析するコツは、
・全体をつかむ
・特異点に着目する
です。この2点について言及すれば大抵はずすことはありません。
今回、「夏のほうが発生回数が多い」という全体傾向を掴むだけでなく、6月と8月という特異点に着目し、日光のことに言及しなくてはいけません。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
「もう一歩踏み込めるのではないか」と絶えず疑うハングリー精神
計算や語句の能力は正直どの学年でも努力でいくらでもカバーできます。
しかし、上記の「ちょっとまてよ」と疑う能力・習慣というのは、
小学校3年生前後までに身についていないと、受験を前にして一朝一夕でつくものではありません。
(上の問題でいえば、「温度」という仮説のあとに、「あれ、6月と8月は・・」と立ち止まる能力です)
ほとんどの受験生が一度は「自分はケアレスミスが多い」と思ったことがあるのではないでしょうか。
「ケアレスミス」というのは便利な言葉で、まるで不正解の免罪符のごとくに使っていませんか?
皆さんが言うケアレスミスの多くは、「注意が足りない」のではなく本当は「勉強が足りない」のです。
もっといえば、普段の勉強の中で、「もう一歩踏み込もう」、「ちょっとまてよ、、、これって。。。」
という姿勢が足りないのです。
「自分がかんたんに出せるような解答は、
だれでもできるものであって、貴重なものではないのだ」
と自覚できている小学生はあまりに少数です。
だからこそ、それを自覚し、絶えず「いやちょっとまてよ」と
考える習慣を付けるだけで、集団から一歩抜け出せるのです。
「自覚」から始めてみてはどうでしょうか。