桐蔭学園中より。「回転して同じになるもの、ならないもの。」的確な分類能力が問われます。
下の図のように同じ大きさの正方形が5つあります。この5つの正方形の中に○か×の印をそれぞれ1つずつ書き込みます。回転して同じになるものは1通りと数えます。全部で何通りの書き込み方がありますか。○か×の一方しか使わなくてもよいものとします。
回転できることで、分類の基準が幅広くなります。
周りは回転すると同じものを除くので
すべて○、すべて×で2通り
○が1つ、×が1つで2通り
○が2つ(=×が2つ)については並び方で以下の2通り
周りは以上の6通り
まん中は○か×かの2通りなので全体の書き込み方は
6×2=12通り
答え 12通り
別解として、最初から○もしくは×の数で分類する方法もあります。
(1)○が0個の場合:1通り
(2)○が1個の場合:まん中か周り(どこに書き入れても回転すると同じ)のいずれかに書き込む2通り
(3)○が2個の場合(a)まん中と周りに1つ(b)周りに連続して2つ(c)周りに×と交互に2つ 以上3通り
(4)○が3個の場合:×の位置を(3)と同様に考えて3通り
(5)○が4個の場合:×の位置を(2)と同様に考えて2通り
(6)○が5個の場合:×の位置を(1)と同様に考えて1通り
合計12通り
ポイントは、分類の基準を明確に定めることです。
回転によって、問題文で与えられた5つの箱における上下左右の絶対的位置は価値がなくなり、
・内側と外側の違い
・周りに並べられた○と×の相互の位置関係
だけが回転によって失われないものになります。
与えられた条件下での分類基準を正確にとらえる力が問われています。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
与えられた条件を数的な意味に変換する力が大切
本問のポイントは「回転」の与える影響を的確にとらえることに尽きます。
ただ、算数において「回転」はとても重要な条件ですので、
その場で考えるというよりも普段から意識して勉強しておくことで十分対応できるでしょう。
まずは実験をしてサンプルを集めてみること。そして注意深く見比べる。
そこから差異を発見する能力は一朝一夕で身に付くものではありませんし、
目に見えて実感しにくいものです。
しかし、結論ありきではない状況下でそのような思考を積み重ねることは、
答えの定まらない実験、研究に取り組むうえでとても大切な姿勢です。
計算で一気に求めることが出来ない本問では、
そのような力強い考察能力によって確実に差が生まれます。