今週は洛南高等学校附属中より1問です。
ある商品をいくつか仕入れました。1日目は定価で売ったところ、14個が売れ残りました。ここで売るのをやめると、仕入れ値2個分だけ損をすることになる ので、残りを2日目には仕入れ値の半額で、3日目には仕入れ値の1/4の価格で販売して売り切ることができました。全体として得られた利益は仕入れ値4個 分でした。
(1)3日目に売れた商品は何個ですか。
(2)省略
(洛南高等学校附属中)
値段の実数が全く提示されていませんね。うま く処理してください。
仕入れ値を1とすると、3日間の利益は4であった。
1日目の時点では、2の損が出てしまう状況である。
これは、残りの14個分で0円の売り上げと計算したことによる。
よって、2日目、3日目の2日間で、この14個によって6個分の売り上げを得られればよい。
0.5のものと、0.25円のものを合わせて14個売って、6の売り上げを得る。
つるかめ算を使うと
0.5×14=7
7-6=1
1÷(0.5-0.25)=4・・・3日目に0.25で売った個数
答え 4個
解答では仕入れ値を1で処理しましたが、100で処理したほうが小数を使うことを避けられ、 賢明でしょう。
ポイントは、つるかめ算です。
本問は一見、「仕入れ値・定価・割引」の典型問題です。
つるかめ算の使いどころに関して、しっかりと整理されていなければ
思いつくことは難しいかもしれません。
最初にわからない数を文字でおくという習慣の ない小学生にとって、
解答の途中でつるかめ算のような算術で解を求めるというのはとても難易度の高い問題となります。
「未知数が2、合計とそれぞれが含まれる関係式が1つという条件が満たされれば、つるかめ算」
という整理をしているかどうかが分かれ目です。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・今習っている技術は何のためなのか。一般化する能力が大切です。
差集め算、過不足算などは、計算技術です。
中学生になると方程式と呼ばれるものです。
教科書においては、それぞれの算術がタイトルとなって、
習得しやすい典型問題を繰り返すことになります。
しかし、これらは、あくまで算術。
未知数の数と条件の整理によって、あらゆる分野に適応させるべき技術なのです。
図形の問題の最中に、つるかめ算、相当算を想像できるでしょうか。
それどころか、和差算を想像することすら難しい生徒がたくさんいます。
一体何のための算術なのか。
それを理解できなければ、中学以降の数学はゼロからのスタートになってしまいます。
「小学生のやる算術は頭の柔らかさを鍛えるもの。中学以降の、頭をあまり使わない機械的な方程式とは違う。」という考え方は、あまりにも方程式の機能と奥 深さ、壁の高さを無視したものです。
まずは、それぞれの算 術を使える条件を洗い出してみること。
それが、昔ながらの算術をわざわざ勉強した時間を有意義なものにし、
わざわざ出題する中学校の期待にこたえるスタートとなるでしょう。