灘中より。粘り強い類推能力が問われます。
5桁の36の倍数で、2、3、5のどれもがいずれかの桁にあらわれる整数(例えば53928など)のうち最も小さいものを答えよ。
(灘中)
テーマが「倍数と見た目の関係」であることに気づくことが突破口です。
36の倍数であるということは、36=4×9より、4と9の倍数でもあるということです。
9の倍数は、各桁の数字の和が9の倍数となっています。
5桁のうち2、3、5の合計10はすでに決まっているので、
残りの2つの数字は合計8もしくは17となります。
合計8から考えると(1、7)(2、6)(3、5)(4、4)
合計17から考えると(8、9)
が候補になります。
また、4の倍数は下2桁の数が4で割りきれる数である。
最小のものを求める問題なので(1、7)で1を一万の位にもってくることから検討をする。
すると、残りの2、3、5、7から下2桁に4の倍数である72をつくることができるので、
求める数は13572であることがわかる。
答え.13752
倍数判定は、一般に2、3、5などの(大きくても13ぐらいまで)の知識しか習いません。
しかし、基本的な方針や組み合わせることの例示などで
比較的簡単に応用力をつけることができる分野でもあります。
問題の形式が見慣れないものになっていますが、
本問は「倍数判定」の問題であるという見当をつけることがスタート地点です。
あとは、誰もが知っている知識の組み合わせと効率的で論理的なしらみつぶしです。
~今回の問題より導かれる出題校からのメッセージ~
作業量を概算し、見通しを立てるという思考が大切
本問では大きな差はでませんが、解説にあるような「作業量の概算」はとても大切な技術です。
時間制限のある試験において、そもそもその手法の作業量に現実味があるのかどうかを判断する力です。
不適格であれば、他の手法を探すことになります。
このような効率的な状況判断をもたらしてくれるのが「作業量の概算」です。
解説を読んでみると、「書き出せば一番速かった。」ということや、
「既に書き出してはいたがそもそも無理な量だった。」という経験が誰しもあるかと思います。
見通しを立てる冷静な思考によって、必要となる時間が大きく異なってくる良問でした。