昭和女子中より。「特珠算を使える条件」についての理解度が問われます。
下の図で斜線部分の面積が61平方センチメートルで、白い部分の面積が148平方センチメートルのとき、AC、CDの長さをそれぞれもとめなさい。
(昭和女子中)
「図形」分野の問題ではありません。
斜線部分の2つの三角形の底辺を4倍してみます。
CF´の長さは20cmになり、CG´の長さは36cmになり、斜線部の面積は61×4=244平方センチメートルになる。
ここで、CF´=CBなので、三角形ABCと三角形ACF´の面積は同じ。
よって上図の斜線部244平方センチメートルと白い部分148平方センチメートルの差は三角形CDEと三角形DCG´の差となる。
この2つの三角形は高さがCDで共通、底辺がそれぞれ12cmと36cmであるから、
(36-12)×CD÷2=244-148=96
という式が成り立つ。
よってCD=8cm
白い部分の面積は148平方センチメートルで、三角形CDFの面積は12×8÷2=48センチメートルなので、
三角形ABCの面積は148-48=100平方センチメートル。
BCの長さは20cmであるから、CDと同様に求めてAC=10cm
答え:AC=10cm、CD=8cm
本問は「消去算」に分類される問題です。
2つの未知数について方程式でいう加減法をつかって解く問題です。
斜線部も白い部分もまとめての面積しか与えられておらず、1まとまりとして考えます。
すると、2つの未知数を取り扱う特珠算だと判断できます。
求積問題では、高さ、底辺などの公式のパーツを算出していくタイプと、
相似、和差算、消去算などを活用して面積を1つの値として取り扱うくタイプがあります。
本問は後者の中でも不慣れな生徒の多い問題です。
~今回の問題より導かれる出題校からのメッセージ~
特珠算の仕組みを理解していることが大切
本問のように、特珠算を見慣れない題材(特に図形)で出題すると正答率は格段に低くなります。
特珠算は、方程式の代用品と考えて差し支えないものです。
つまり「未知数の数とその数以上の条件式が存在する」という状況を把握したのならば、使えるものなのです。
このように一般化して消化できておらず、
切手やフルーツなどの題材でのみ機械的に練習を積み重ねている生徒には手も足もでず、
また解説を理解することも不可能な問題です。
出題者は、負の数の理解と処理能力が必要となる方程式の使用は期待していません。
「状況を把握して、適切な手法を選ぶ」力を身につけておくことを要求しているのです。
これは、その日に学ぶ内容がタイトルとしてつけられているカリキュラムでは身に付きにくい力です。
普段から、「どのようなときに、なぜそう解くのか」を理解しながらさまざまな解法を学んでいく姿勢が必要です。