問題自体は簡単です。算数の数え上げの基本を理科でも使います。
図のような器具を使ってブザーをつくろうと思います。図中のCは鉄棒にエナメル線を巻きつけたコイル,Sは押しボタン式のスイッチです。
(1) 図のA~Fを3本のエナメル線でつないで,ブザーが鳴るようにするには,3本の線のつなぎ方はいくとおりありますか。
(灘)
(1)やみくもに数えようとするとミスします。
ブザーの仕組みは教科書等で確認してください。割愛します。
この問題は、それ以上に数える際の「起点」「基準点」を決めることがポイントです。
Aにつながるのは、B、C、D、E の4通りあります。
1)A-Bがつながる
A-B C-D E-F
A-B C-E D-F
2)A-Cがつながる
A-C B-D E-F
A-C B-E D-F
(このあたりで場合わけに慣れている人は、4×2の8通りが解答だと気付きます。一握りの優秀な生徒を除いて、いきなり4×2に気付くのは至難の業です。書き出している途中で気付くのがポイントです。書き出しすらしないのは問題外です。)
3)A-Dがつながる
A-D E-C B-F
A-D E-B C-F
4)A-Eがつながる
A-E D-C B-F
A-E D-B C-F
答え、8通り
「何通りありますか」という種類の数え上げの問題。解答に生徒の癖、むしろ性格が大きく反映される問題ではないでしょうか。
中途半端な小手先学習に終始している生徒は、意味もわからず、それぞれ部品の端に2通りのつなぎ方があるから等、確たる理由もなく2通り×2通り×・・・・ と計算をはじめ、大抵間違えます。たまたま答えが合っていても、もちろん類題は解けません。
また、方法論で問題を分類するという学習を進めていない生徒は、数え上げの途中でヌケやダブりに気付かずに解答に近い数字で不正解となり、「あ、数え忘れた」と、その場の不注意だけが不正解な理由だと決め付け、その後も繰り返し間違いを重ねます。
数え上げの際には、
1.まず怠けず列挙してみる 2.列挙する際に並べ方のルールを自分でつくる (本問の場合は、Aを起点に場合分けしています。)
という愚直さが求められます。
数式で格好よく答えがでるのは、2の作業の途中で法則に気付いた生徒です。書き出しもせずに近道を求めるような生徒に数え上げはできません。理科に限らず場合わけの問題で、書き出しもせずに問題用紙とにらめっこしている人は要注意です。