「当たり前」のことが、大きなヒントになることもあります。
廊下や階段に、2ヶ所にあるスイッチで、点灯させたり消灯させたりできるライトがあります。下の図はそのしくみを再現した回路図を途中まで書いたものです。以下の約束にしたがって、回路図に導線を書き加えて完成させなさい。
ヒントがあったら面白くありません。
落ち着いて考えてみましょう。2つのスイッチそれぞれでON、OFFができるわけですから、経路は2つなければなりません。1つの経路でスイッチが2つある場合、片方で回路を遮断してしまえば、他方でどのようにしても回路をつなげることはできるわけがありません。
よって、まず1本の道を作ります(上の図A-B)。
そして、切り替え用に別にもう1本の道を作ります(上の図のC-D)。
これにより、一方で回路を遮断してももう一方で回路をつなげることができるのです。
まとめ
平成15年度入試で、渋谷教育学園幕張中で出題されて話題になった問題です。さらに、平成19年度入試において桐朋中と鴎友学園女子中で同時に出題されたことで一気に認知度が広がりました。時間をかけて考えれば気付くことですが、試験時間内で初見問題として処理するにはパニックに陥る対策甲斐のある問題です。
この問題でのポイントは、「そもそも」の前提条件を考えることが必要です。解説にもあるとおり、スイッ
チ2つでON、OFFができるわけですから、経路は2つなければなりません。
たとえば算数でも、未知の1つの値を求めるためには、1つの式があれば十分ですが、未知の2つの値を求めるためには2つの式が必要です(消去算・代入算)。
このように、「そもそも」の前提条件に意識が向けられることは、問題を処理する大きな武器になることも少なくないのです。
この問題は理科の問題ですが、電流を題材にした「前提条件を意識して処理させる」という出題者の大きな意図が隠された良問といえるでしょう。