あたなは、図を疑う勇気がありますか。
下の図のように、長さ100㎝の糸を図のような天井からつるし、100gのおもりをつけたふり子があります。はじめ、おもりをA点から静かにはなしたところ、おもりはA点とB点のあいだを往復しました。図のC点はおもりの一番低いところです。C点と天井の角であるD点の間の長さは50㎝です。このとき、図のACとBCの長さについて、正しいものを次のア~エから選び、記号で答えなさい。
ア.ACはBCよりも長い。
イ.ACはBCよりも短い。
ウ.ACとBCの長さは同じである。
エ.特にきまりはないので、これだけではわからない。
ふり子の運動(軌道)は、あくまでも円の周回運動(の一部)です。
ア
ACの運動の中心は糸のつけ根です。また、BCの運動の中心はDです。
よって、右の図のように軌道を描いてみると、答えは明らかです。問題の図
ではAC=BCに見えますが、実際はちがうのです。ひっかけです。
まとめ
入試問題には、図が多く登場します。そして、これらの図は、必ずしも正確に描かれているとは限りません。
「ん?」と思ったときほど、図の見た目で解答の見当をつけてしまいがちですが(こういう場合に限って、誤答であることが多い)、このような場合にこそ注意が必要です。
これは理科に限ったことではありません。たとえば算数の求角問題で、勝手に直角と思い込んでしまったり、勝手に二等辺三角形と決め付けてしまったり…ということも同じです。与えられていない条件には必ず根拠があるはずですから、その場合は必ずチェックする必要があるのです。
本問の場合、条件としてAC=BCと与えられていれば悩むことはないのですが、そうではない以上、きちんと吟味しなければなりません。そのためには、背景に隠れた本質を理解しておくことが、やはり重要ですね。