状態変化と体積・重さの関係は簡単なようで複雑です。
下の図1は、ビーカーにある量の水を入れた状態を表しています。そこに、ある大きさの氷を入れた状態を表したのが図2です。さらに、その氷が完全にとけた状態を表したのが図3です。ただし、それぞれの図で水面の高さは正しく表されているとは限りません。これについて、次の問いに答えなさい。
問1 図1と図2で、どちらの水面が高いですか。次のア~エから選び、記号で答えなさい。
ア.図1の方が高い。
イ.図2の方が高い。
ウ.図1も図2も変わらない。
エ.これだけではわからない。
問2 図2と図3で、どちらの水面が高いですか。次のア~エから選び、記号で答えなさい。
ア.図2の方が高い。
イ.図3の方が高い。
ウ.図2も図3も変わらない。
エ.これだけではわからない。
水と氷の体積を比べると…、危険です。
問1 イ
問2 ウ
問1
水中に入った氷の分だけ水がおしのけられます。これにより、見かけ上水の体積が増えますから、水面は高くなります。
問2
状態変化(固体⇔液体⇔気体の変化)に伴い、体積は変化しても重さは変化しません。
氷が浮くのは「氷の重さと等しい浮力がはたらく」からに他なりません。
ここで、浮力はおしのけられた液体の体積と同じ重さの分だけはたらくので、浮いた氷の重さと同じ重さをもつ分だけの水がおしのけられていることになります。
つまり、この氷が水に変わっても、おしのけられる水の体積は変わらないのです。
よって、図2から図3で水面の高さが変化することはありません。
まとめ
固体よりも液体の方が体積が大きいという基本知識に対し、例外として「水よりも氷の方が体積が大きい」ということはあまりにも有名です。しかし、単に体積の変化ばかりに目を向けては、本来変わるはずのない重さを絡めた問題で大きな誤りを導いてしまいます。
本問では、以下の誤答が目立ちます。
◇図2の氷よりも図3で水に変化した方が体積は減るのだから…ア
◇氷がとけて水になれば、水の量が増えるから…イ
浮力の考え方を用いれば簡単に理解できることですが、そうでなければ上記のような誤答を招くか、大きく悩む問題ではないでしょうか。ぜひ、じっくり考えて理解してください。
また、このことからさらに図2で水面上に飛び出している氷の体積が、ある重さの水が凍ったときに増えた体積の分であることがわかります。これも、ぜひ考えてみましょう。