複数の段階を踏んだ計算問題は、中学入試理科の主流となりつつあります。
植物の光合成と呼吸について調べるために、同じ大きさのメダカ2匹と、葉の面積がほぼ等しいオオカナダモ3つを用意し、同量の水を入れた容器A~Eに次のように入れました。
容器A:水のみを入れた。
容器B:水にオオカナダモを入れた。
容器C:水にオオカナダモを入れ、アルミはくで包んだ。
容器D:水にメダカを入れた。
容器E:水にオオカナダモとメダカを入れた。
<実験> 数日間くみ置きした水道水を使ってA、B、C、Eをつくり、ふたをして十分な光を1時間当てた あと、それぞれの容器の酸素量を測定した結果、下の表のようになった。
(1) オオカナダモがこの1時間でつくった酸素量は、何mgですか。
(2) メダカの呼吸によって、この1時間で使われた酸素量は、何mgですか。
それぞれの容器内で何が起こっているのでしょうか。
(1) 5.3mg
(2) 2.6mg
植物のはたらきのうち、重要な3つは光合成、呼吸、蒸散です。植物は光が当たると光合成を行い、自ら養分(デンプン)を作り出すことができます。そして、このときに二酸化炭素を取り入れて酸素に変えて出しています。また、作った養分からエネルギーを取り出す呼吸を行うと、光合成とは逆に酸素を取り入れて二酸化炭素に変えて出します。そして、この呼吸は光を必要とはしないので、一日中絶えず行っているのです。さらに、メダカは呼吸によって酸素を取り入れて二酸化炭素を出しています。
・Bでは、オオカナダモが光合成と呼吸を行いますが、十分な光があたっていると考えられるので光合成の方がさかんです。よって、二酸化炭素が減ることになります。
・Cでは、光があたらないためにオオカナダモは光合成を行うことができません。よって、呼吸のみを行う ので二酸化炭素が増えていきます。
・ Dでは、メダカが呼吸のみを行います。つまり、Cと同じ状態になります。
・Eでは、オオカナダモが光合成と呼吸を行うと同時に、メダカが呼吸を行います。ここで、光合成は酸素量が増えるはたらき、呼吸は酸素量が減るはたらきですから、表にまとめると、
Cの結果から、オオカナダモの呼吸によって1時間あたり0.8mgの酸素が減っていることがわかります。
よって、Bに注目をすればオオカナダモの呼吸によって0.8mg減っているにもかかわらず、結果4.5mg増えているので、光合成によって5.3mg増えることがわかります。同様に、Eに注目すればメダカの呼吸によって減った酸素量が求められます。