「実験」は、遊びではなく「確かめるための道具」です。
空気中の水蒸気の量とその変化について次の実験をしました。
<実 験>
手順1
図1のような5リットル の大きさのペットボトルの内部を十分に乾燥させる。
手順2
スポイトを使って、ペットボトルの中に水てきを2つぶ落とし、温度計のついたゴムせんでふたをしたあと、そのゴムせんのまわりをテープで巻く。
手順3
そのペットボトルを、図2のように温風器であたため、内部の水をすべて蒸発させる。
手順4
次に、ペットボトルを冷やし、ペットボトルの内部がくもりはじめたときの温度を記録する。
手順5
スポイトから落とす水てきのつぶの数を3つぶ、4つぶ、5つぶ、6つぶと変え、それぞれについて手順1~4をくり返す。
設問 下線部のように、ペットボトルを冷やす方法として最も適切なものを、次のア~オから選び、記号で答えなさい。
ア.ペットボトルをそのままにして冷やす。
イ.ペットボトルに水をかけて冷やす。
ウ.ペットボトルを半分くらい水につけて冷やす。
エ.ペットボトルをすべて氷水につけて冷やす。
オ.ペットボトルを半分くらい氷水につけて冷やす。
ただ冷やすだけならば・・・?
ア
この実験は、空気中の水蒸気量とその変化についての実験です。
その中で「ペットボトルを冷やす」という操作が必要になっているわけですが、
その手順4の目的は「ペットボトルの内部がくもりはじめたときの温度を調べる」ことです。
ペットボトル内の空気に含まれる水蒸気が水滴に変化することでくもりが発生するわけですから、
下線部のように冷やす必要があることがわかります。
ここで、変化の瞬間を記録するのに好都合な条件を考えれば、急激に冷やすことは避けなければなりません。
ゆっくり冷やすべきであることと、手順3で温風器によって水滴を蒸発させていることから考えれば、
室温(常温)で冷やすことが最も適切であることがわかるのです。
さて、この問題を「実験の意図」に目を向けず、ただ下線部だけに注目してしまっていたらどうでしょう。
おそらく、その多くの子供たちはイやエを選ぶのではないでしょうか。
ヒントのように、ただ冷やすだけならばできるだけ冷たいものに触れさせることが最善の方法と考えられるからです。
現に、大手進学塾の選抜試験では、大半がエを選択しているようです。
同じ1つの操作であっても、目的によって適切な方法は変わるのです。
実験から遠ざかり、テキストばかりで学習することから生まれた理科嫌いな生徒は、
何か大切なこと(本来学び取るべきもの)を忘れている気がします。
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ところで、こんなのはじめました。
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