
「知っている」と「読み取る」は異なります。

植物の蒸散について調べてみたところ、環境の変化に大きく左右されることがわかりました。下のグラフは、ある1日の蒸散量、太陽からの放射熱、気温を、それぞれ1日のうちの最高値を100として相対的に表したものです。このグラフからわかることとして正しいものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。
ア.蒸散によって、根から水や肥料を吸収するはたらきがさかんになる。
イ.気温が高いほど、蒸散はさかんに行われる。
ウ.太陽の放射熱が強いほど、蒸散はさかんに行われる。
エ.昼の1時間で行われる蒸散量は、夜の間に行われる蒸散量と等しい。
オ.蒸散は、正午前の3時間よりも、正午後の3時間の方がさかんである。
きちんと吟味してください。
オ
それぞれの選択肢を見てみます。
×ア…蒸散の説明としては正しいですが、このグラフからわかることではありません。
×イ…一般的に、「気温が高くなると蒸散はさかんになる」とテキスト等には書かれています。
しかし、実際に蒸散量は気温のみに左右されるわけではありません。グラフを見てみると、14~15時くらいで気温が上昇しているにもかかわらず、蒸散量は減少してしまっています。これより、気温が高ければ必ずしも蒸散がさかんであるとは言えないことになります。
×ウ…イと同様に、12~13時くらいで放射熱が減少しているにもかかわらず、蒸散量は増加しています。よって、正しいとは言えません。
×エ…このグラフには夜の蒸散量が描かれていないので、等しいかどうかを判断することはできません。しかし、一般的に昼間の1時間で行われる蒸散量は夜間に行われる蒸散量全体と等しくなるか、それ以上に達するといわれています。
○オ…正午の左側と右側に分けて見てみれば、一目瞭然です。
よって、このグラフから読み取れることはオとなるのです。
さて、この問題で圧倒的に多く見られる誤答は「イ」です。
上の解説にもあるとおり、さまざまなテキストでは、ただ1つの知識として「気温が高いほど蒸散はさかんである」とまとめられています。もちろん、気温のみの影響だけを考えれば正しいのですが、その他さまざまな影響が複雑にからみあえば必ずしもそうとは言えなくなります。問題は「このグラフからわかることとして」ですから、イは正解にはなりません。
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ところで、こんなのはじめました。
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