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化学 アーカイブ

2007年04月02日

開成中より。知っていれば簡単ですが、知らない時にどうすればいいのかを考えさせられる問題です。 2007-04-02



開成中より。知っていれば簡単ですが、知らない時にどうすればいいのかを考えさせられる問題です。


これまで人類は長い間、二酸化炭素を発生させてきただけでなく、それを減らす努力をしてきませんでした。それにもかかわらず空気中の二酸化炭素の体積の割合は意外に大きくなっていません。この理由は、日光を利用した植物の働きの他にも考えられます。それはどのような理由でしょうか、15字以内で君の考えを述べなさい。

(開成中)


二酸化炭素の特徴を思い出し、そこから結論を探します。


海や川にとけこむから。


こういった問題を知識として解くのではなく、思考結果として解くことができることが本当の学力だと思います。

出発点は、登場人物である「二酸化炭素」の特徴を洗い出すことからです。

空気よりわずかに重く、無色無臭であり、燃えることはなく、水に溶けやすい・・・。

この中で大気中の二酸化炭素の量に関係しそうなものは・・・・。ここでピンとくるわけですね。


~今回の問題より導かれる出題校からのメッセージ~
問題を分解し、既存の知識と比較していく姿勢が大切

数の問題は、問題の本質を見抜くことが難しい分野の1つです。

本問も一瞬とまどってしまう受験生も多かったのではないでしょうか。
灘中の1日目は50分で13問。瞬時に見当をつけ、分解して既知の問題に結びつけることが求められます。

時間が無い中で、ある程度の粘り強い変形作業が要求されるので、
同時に別の解法を検討したりや撤退のタイミングを考えるなど高度な処理能力が必要となります。


普通の受験生にとっては、問題をじっくり読み、類題をしっかりと検討するという姿勢を身につけるのに適した良問です。


2006年07月31日

学習院女子中より。「ものを考える」とはどういうことかを教えてくれる良問です。 2006-07-31



学習院女子中より。「ものを考える」とはどういうことかを教えてくれる良問です。


シドニーオリンピックの聖火リレーでは、特別に開発された水中 用トーチ(たいまつ)が使われました。これは水中でも陸上と同じように、聖火が光をだして燃え続けることができる装置です。どのようなしくみにすれば、水中で聖火を燃やしつづけることができるのでしょうか。あなたの考えを書きなさい。図を用いてもかまいません。
(学習院女子中)          


闇雲にアイデアを考えてはいけません。「発火 するとは」ということにまず落とし込みます。「要件を満たすようにうする」という言葉/考え方が最大のヒントになります。

(例 1)燃料の出口を発火点とし、火元に酸素をおくりこむ酸素ボンベをとりつける。また、この酸素によって水をたえず押し出し、発火点に水が入り込まないよう にする。また、最初に点火をしてから水中に入れる。

(例2)熱を加えると酸素を発生する物質と火薬をまぜたものを棒状にする。燃えた分だけ、棒状の装置から火薬と酸素発生物質の混合物がせり出してくるよう にする。点火後に水中にいれる。


も のが燃えるためには、
1) 酸素がある 
2) 発火点以上の温度である
3) 燃えるものがある
という条件が必要です。

本問は、この三点を満たす装置を考えることで解答の作成が可能です。

「水中トーチってどうやってつくる?」と闇雲に考えるよりも、


「酸素を十分に供給するには?」
「燃えるもの自体を供給するには?」
「火元の温度を下げないようにするためには?」
と、構成要素ごとに細分化して考えるほうが格段に思考は先に進みます。

つまり、この問題を言い換えると、
「燃焼条件を整理し、その条件ごとに対策を考えなさい」という問題になります。

実用できる完璧な装置を考えるのではなく、
「必要要素」に物事を分解するスキルを問われているのです。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
物事の「構成要素」に着目、そして整理する能力を身につける

物事を考えるときに、とくに、アイデアがまったくうかばないときにどうすればいいか。

受験生に限らず多くの人々が抱える悩みではないでしょうか。
そして、多くの人が抱える悩みであるのに、
それが教育という現場できちんと教えられているかというとはなはだ疑問です。
(欧米にくらべ、日本では小学生が「物事を考える方法」を教わる機会が余りにすくない!と痛感し、
そういった場の提供をするというのがロジムのそもそもの設立目的です。)

今回の問題では、
「物事を構成要素に分解することで、具体的にアイデアをすすめる」というスキルを紹介しています。

「お金もちになる方法は?」という課題に際し、思いつくままにアイデアを列挙するよりも、
お金持ちになる方法を、 1) 収入を増やす 2)出費をへらす に分解して、それぞれの場合でさらに分解してアイデアを考えるほうが、思考は進むし、ア イデアに網羅性が生まれます。

ほかにも「ダイエットする方法は?」を「入ってくるエネルギーをへらす」「消費するエネルギーを増やす」「脂肪を除去する」というように分解して、それぞ れ考えるなどは、ロジムの授業だけでなく、「ロジカルシンキング」という分野ではおなじみの題材です。

「考える」というありふれた行為ではありますが、そこにはスキルがあるのです。

本問は、そんなスキルの一つ、「構成要素に分解する」という最も重要な思考スキルの一つを
チェックする代表的な問題です。


2006年03月20日

今週は桜蔭中理科より1問です。 2006-03-20



今週は桜蔭中理科より1問です。


ものを燃やすとき、空気中の気体がどのような役割をもっているかを調べるために、いくつかの実験を行いました。以下の問いに答えなさい。

[実験1] 
集気びんAの中に火のついたろうそくを入れ、ふたをしておいたところ、しばらくして火は消えた。びんの内側はくもっていた。
[実験2] 
[実験1]の直後、集気びんAの中に、再び火のついたろうそくを入れてふたをしたところ、ろうそくの火はすぐに消えた。
[実験3] 
新しい集気びんBを用意し、その中に火のついたスチールウールを入れ、ふたをしておいたところ、しばらくして火は消えた。びんの内側はくもらなかった。
[実験4] 
[実験3]の直後、集気びんBの中に火のついたろうそくを入れてふたをしたところ、ろうそくの火はすぐに消えた。

問1 実験1,2の結果からわかることを2つ選びなさい。
ア. ろうそくを燃やすために、酸素が使われた。
イ. 空気中には、ろうそくを燃やすはたらきのある気体がある。
ウ. ろうそくを燃やした後の気体では、ろうそくを燃やすはたらきのある気体が減少している
エ. ろうそくの火が消えたのは、集気びんAの中に水ができたためである。
オ. ろうそくが燃えた後には、二酸化炭素が発生する。

問2 実験3,4の結果からわかることを2つ選びなさい。
ア. スチールウールを燃やすために、酸素が使われた。
イ. 空気中には、スチールウールを燃やすはたらきのある気体がある。
ウ. スチールウールを燃やした後の気体では、ろうそくを燃やすはたらきのある気体が減少している
エ. ろうそくの火が消えたのは、集気びんBの中に水ができたためである。
オ. スチールウールが燃えた後には、二酸化炭素が発生する。
(桜蔭中)


選んだ「結果からわかること」について、「なんでそれがわかるかっていうと・・・」と自分で自分に説明しなおしてみてください。


問1 イ・ウ
問2 イ・ウ


ポイントは、聞かれているのが「結果からわかること」であっ て、「事実」や「あなたが知っていること」、「教科書にのっていること」を問うているのではないというところです。

問1で見てみると、
ア. 
実験1,2から、ろうそくを燃やすのに「酸素」が使われたことがわかりますか?
わからないはずです。
------------------------------------------------------------------------
例えば、「夜眠る前に、暖かい牛乳を飲むとリラックスしてぐっすり眠れる人が多い」
という実験結果があるとします。
この実験から、「あ、暖かい牛乳には人をリラックスさせる効果はあんだな」とわかりますが、
その原因が、「トリプトファン」という物質だと、この実験結果からはわからないはずです。
それと同じです。
------------------------------------------------------------------------
イ. 
実験1でろうそくが空気中で燃えています。
空気中にはろうそくを燃やすはたらきをもつ気体がありそうです。

ウ. 
実験2でろうそくがすぐ消えたのは、
ろうそくを燃やすはたらきのある気体が減った(なくなった)からです。

エ. 
「火が消える。すると、水が発生する」 からといって、
「水が発生する。すると、火が消える。」とはいえません。
典型的な「逆は真でない」という意識を試す選択肢です。

「カレーを食べると体があたたまる。」からといって、「体がポカポカしているときに、
「あ、これはカレーを食べたからだ!」とは言えません。

オ. アと同様ですが、実験1,2には二酸化炭素という名前気体の存在をなにも教えていません。

問2も同様です。


~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・物事の因果関係に敏感になってほしい。

物事の原因があり、結果がある。
この原因と結果は普段、「だから」や「なぜなら」でつながれるのですが、
往々にして、この関係がねじれたり、無関係であったりするものです。
大人である我々でも多分に心当たりがあることではないでしょうか。

この実験結果がある。だから、こういうことが言える。
こういうことが言える。なぜなら、こういう実験結果だから

自分が出した結論が本当に与えられた前提から言えることなのか。
普段から、「だから」「なぜなら」に敏感になり、
接続語を数式の記号と同等の感覚でとらえることができる生徒に
桜蔭中は門戸を開いているのです。

重宝されることの多い「ロジカルであること」。「ロジカルである」とはどういうことなのでしょうか。
大胆に言い切ってしまえば、
「話がつながっていること」「話の因果関係がつながっていること」なのです。

「話がつながっている」ことで話の説得力は高まります。
そして話をつなげるのが、「だから」や「なぜなら」等の接続語です。

この問題から「常識にしばられてはいけない」というメッセージを読み取るだけではもったいないというものです。
普段から、「だから」「なぜなら」に敏感になってください。


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