今週は女子学院・算数入試問題からの1問です。 2006-01-09

今週は女子学院・算数入試問題からの1問です。
たて 135cm、横183cmの長方形の場所に図のように1cmの間をあけて、正方形のタイルをしきつめよう
と思う。タイルのしき方は4すみとも図のようになる。できるだけ大きな正方形を使うとすると、タイルの一辺は何cmになるか。また全部で何枚のタイルが必 要になるか。 (女子学院)
「公倍数・公約数」の範囲で、とても似た問題に必ず出会っているはずです。それらとの差は何なのでしょう か。
図2のように、隙間までふくめた正方形のタイルを敷き詰めることをかんがえる。
長方形のたてとよこをそれぞれ1cmずつ広げて考えれば、
ここで算出された正方形のタイルの1辺が、
「求めるべきもの+1cm」となり、
敷き詰められた枚数が、求めるべき枚数になる。
よって、
たて:135+1=136
よこ:183+1=184
という長さの長方形に隙間なく、正方形のタイルを敷き詰めることを考える。
この2つの数の最大公約数は8
よって、図2のように考えたときの正方形のタイル(斜線のもの)の1辺は8cm
これを図1で考えると、求めるべき正方形のタイルの1辺は
8-1=7
答え 7cm
また、このとき必要となる正方形のタイルの枚数は
(136÷8)×(184÷8)=391
答え391 枚
「たて、よこがそれぞれ15cm、18cmの長方形をなるべく大きな正方形に切り分け、余りがでないようにするとき、正 方形の1辺は何cmになりますか。」
4,5年生が勉強する「公倍数・公約数」の範囲で、
最大公約数の考え方をつかった問題として必ず取り組む練習問題です。
本問とこの問題の類似性に気付き、違いを考えることがスタートとなります。
解き方、つまり隙間の処理の仕方は解答で示した1通りだけではありません、大切なのは
「邪魔な隙間をどうにかして処理することで、最大公約数の簡単な問題に変形できないか。」
という工夫に、時間をすべて費やすことです。
その中から、解答例のような処理のしかた等が、導かれるのです。
この問題を難しくしている要因はなにか。
言い換えれば、
この問題はどの基本問題を難しくしているのか。
という視点は、問題の本質を見抜く力として求められる技術です。
~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・基礎知識をベースに、走りながら情報を取捨選択する瞬発力のある思考が大切
基本問題が多く、比較的高得点の争いになるのが女子学院中学校です。
しかし典型問題であっても、必ずひねった部分を付け加えることも忘れていません。
こうした問題をすばやく解き進めることのできる生徒は、
どこまでが基本でどこが解答を導きだす上でのボトルネックとなっているのかを判断する能力に長け、
余計な情報に時間をとられることがありません。
逆に、間に合わない生徒は、余計な情報の整理に時間がかかってしまうのです。
よく言われる処理能力とは、「鉛筆のスピードが速い、計算が速い」だけでなく「情報に対する優先順位付けがうまい」というものが含まれます。
典型問題が解説できるレベルまで完全に習得されていること。
そして、とりあえず思考を進めてみてボトルネックを確認すること。
じっと立ち止まって一本道の解答を検討するだけではなく、
すぐに走り始め、判断をし、余計な情報をそぎ落としながら解き進めるという思い切りの良さ。
女子校としては特に際立ってこの傾向が顕著な
女子学院中の求める人物像が見て取れる問題となっています。