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W3:ひっかかりやすい問題 アーカイブ

2009年08月25日

問題文の数字に惑わされることもあります。2009-08-25



 問題文の数字に惑わされることもあります。

 1200立方センチメートルの水を入れたペットボトルの底に小さな穴をあけ、出てきた水の量と時間の関係を調べました。
ペットボトルのふたは、はずしてあります。その結果は、下の表のようになりました。

 このペットボトルに、はじめに500立方センチメートルの水を入れて実験すると、200立方センチメートルの水が出るまでに何秒かかりますか。

























 はじめの500立方センチメートルがポイントなのですが・・・。



 144秒



 まず、表を見てわかるとおり、出た水の量と時間に明確なきまり(比例・反比例など)は見つけられません。つまり、計算をして求めることは無理であることがわかります。

 そこで、はじめに500立方センチメートルの水を入れたことに注目します。しかし、表にある「500立方センチメートルの水が出るまでに188秒かかる」ことは利用できません(ここがひっかかるポイントです)。なぜなら、これは1200立方センチメートルの水から500立方センチメートル出たときの話なので、このときペットボトルには700立方センチメートル水が残っているからです。

 ペットボトルの中の水が500立方センチメートルになったときが始めと考えられるので、1200立方センチメートルの水のうち700立方センチメートル出たときが始めです。そこから200立方センチメートル出すわけですから、1200立方センチメートルの水のうち900立方センチメートル出たときが終わりです。よって、表の値を利用すれば434-290=144秒が正解です。

 この問題は「問題文にない数値(データ)に注目して答えを導き出す」類の良問です。数字をはじめとして問題文の中のヒントを追うことももちろん大切ですが、この問題のように与えられたデータに適した表現に読み換えるというスキルも非常に重要です。


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2009年08月18日

合同条件は「正しく」言えなければ「知らない」のと同じです。2009-08-18.



 合同条件は「正しく」言えなければ「知らない」のと同じです。

 ある2つの三角形が合同(ぴったり重なる形)であるといえるための条件を3つ答えなさい。

























 ありません。


1.3つの辺の長さがそれぞれ等しい。(3辺相等)
2.2つの辺の長さとその間の角の大きさがそれぞれ等しい。(2辺夾角相等)
3.1つの辺の長さとその両端の角の大きさがそれぞれ等しい。(2角夾辺相等)



 三角形が合同であるための条件が言えれば、必ず1通りの三角形に定まります。
実際に作図をして確かめてみるとよいでしょう。

 さて、ここでよくある間違いが次のものです。

1.3つの辺の長さが等しい。
※これでは、まるで正三角形をいっているようなものですね。

2.2つの辺の長さとその間の角が等しい。
※辺の長さと角の大きさが等しい・・・?

3.1つの辺の長さとその両端の角が等しい。
※辺の長さと角の大きさが等しい・・・?

 つまり、2つの三角形で対応する部分が互いに等しいことを意味する「それぞれ」が抜けてしまいがちなのです。
ぜひ、気をつけて下さい。
 ちなみに、「相等」とういう言葉は「互いに等しい」という意味ですから、この場合「それぞれ」は当然不要です。


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2009年08月12日

目に見えない気体の動き、じっくり考えたことありますか。2009-08-12



 目に見えない気体の動き、じっくり考えたことありますか。

 下の図1は、ガラスでできた円筒と板を用いてつくった装置で、中で同じ長さのろうそくを燃やした様子です。また、円筒の上口付近に火のついた線香を近づけたときのけむりの動きが描かれています。これと同じようにして、図2の装置で実験をすると、けむりの動きはどのようになると考えられますか。図1にならって、作図しなさい。
























 ありません。




 まず、ろうそくが燃え続けるためには「空気(酸素)」を継続して送り込まなければなりません。簡単に言えば、ろうそくを燃やし続けるためには、自然とまわりから新たな空気(酸素)が送られるようにしておけばよいのです。

 ここで、あたためられた空気は膨張し、(同じ体積あたりの重さが)軽くなるために上昇していきます。これにより、ろうそくを出たあとの気体は、どんどんと上へ上がっていくのです。このとき、図1の装置では、下の図のようにろうそくを出たあとの気体が広がりながら上昇していくときにできるわずかな隙間から新しい空気(酸素)が供給されるため、線香のけむりはろうそくに吸い込まれるように動いていると考えられます。

 ところが、図2の装置では、円筒が高すぎるために隙間ができず、新しい空気(酸素)は供給されません。円筒の口付近では、ろうそくから出た気体がどんどん上昇していくだけですから、線香のけむりは円筒に入ることなく、上昇していきます。

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2009年08月04日

シンプルな1問です。 2009-08-04



 シンプルな1問です。

 次の表は、ある年のある月に、東京で観測した月の出と月の入りの記録の一部を表したものです。
このとき、それぞれの日について、その日に月が出てから、その月がしずむまでの時間を求め、次のア~オから選び、記号で答えなさい。

 ア.9時間16分
 イ.9時間26分
 ウ.11時間47分
 エ.12時間23分
 オ.これだけではわからない。
























 ただの時間の計算なのですが・・・。



4日・・・オ
12日・・・ア
19日・・・エ
26日・・・オ


 まず、月が出ている時間は「月の入り-月の出」で計算することができます。
例えば、12日では「12日の0時48分に出た月が、12日の10時4分にしずむ」ので、10時4分-0時48分=9時間16分と計算できます。
同様にして、19日は、18時5分-5時42分=12時間23分となります。

 しかし、4日と26日には注意しなければなりません。

 例えば、4日については「まず4日の6時10分に前日から出ていた月がしずみ(つまり、3日から4日に日付が変わったときにすでに月が出ていたということになります)、4日の17時57分にようやく月が出てきた」ということなので、計算することができません。
もしも求めるならば、4日の17時57分に出てきた月が翌5日の何時何分にしずんだのかを知る必要があります。


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2009年06月29日

これも一種の対照実験です。 2009-06-29



これも一種の対照実験です。

 ある楽器の音の振動を記録するのに、高さと強さを変えて4種類の音を鳴らしました。このときの高さと強さの関係を示したものが下の図です。さらに、これら4種類の音のうち、A~Cの振動の波はあとの図で示されています。Dの音の振動の波は、どのような形になりますか。A~Cをもとにして作図しなさい。
























比べてみればわかります。




 まず、AとBを比べてみます。高さは同じで強さが異なることにより、グラフには縦幅(振幅)に違いが表れています。また、AとCを比べると、強さは同じで高さが異なることにより、グラフには横幅(これを振動数)に違いが表れています。

 ここで、Dは高さがCと、強さがBと同じなので、これに合わせてグラフを書けばよいのです。
音やその波形に関する知識は全く必要とされない一問でした。


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2009年06月08日

隠れた前提を意識していますか? 2009-06-08



隠れた前提を意識していますか?

ガラス製の2つの容器A、Bと、2本の温度計C、Dを用意し、下の図のような装置を使って水の温度変化を調べる実験を行いました。
<実験1>
 容器Aに15度の水を、容器Bには75度の湯50gを入れ、かき混ぜながら時間と水の温度の関係を調べた。
<実験2>
 容器Aに75度の湯200gを入れ、容器Bに0度の氷50gをくだいて入れ、かき混ぜながら時間と水の温度の関係を調べた。







 実験1の結果では、温度計C、Dの変化のようすは上のグラフのようになりました。このことから考えて、実験2の結果では、温度計C、Dの変化のようすはどのようになると考えられますか。次のア~エから選び、記号で答えなさい。
























0度の氷は、まず・・・。




容器Bに入れられたものは、0度の水ではなく0度の氷です。

この問題中に特に明記はされていませんが、氷は0度に達すると水に状態変化するためにエネルギー(熱)を利用するので、容器Aから奪った熱による温度変化はなくなります(もちろん、その間容器Aの湯の温度は下がります)。

やがて、0度の氷がすべて水に変化すると、奪った熱を温度上昇に利用しするため陽気Bの水も温度が上がっていくのです。この隠れた前提を意識しておかないと、エという誤答を導きやすいと考えられます。

 ちなみに、この問題で容器Bに入れられたものがはじめから0度の水であったとすれば、グラフはどのようになるでしょうか。状態変化がおこらないことから、これこそエのようなグラフになると考えますか?


 容器Aの湯:容器Bの水=4:1より、容器Aの温度変化:容器Bの温度変化=1:4になるので、混ぜ合わせたあとの水の温度は60度になっていなければなりません。

エのグラフは、明らかに60度未満ですね。


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2009年06月01日

「作図」から逃げていませんか? 2009-06-01



「作図」から逃げていませんか?

下の図は、厚さが等しい2枚の板ガラスA、Bと、ついたてを互いに平行におき、ある入射角で光を入れるようすを表しています。ただし、この光はレーザー光線で、広がらないものとします。また、図のXは、光の線を延長して、ついたてと交わった点を表しています。

 この実験で、BだけをAと平行の状態のままでAに近づけていくと、光の進み方は変化をすることがわかりました。このとき、ついたてに届く点ははじめのときにくらべてどのようになりますか。正しく説明したものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。

 ア.最初の位置から、上の方へ動いていく。
 イ.最初の位置から、下の方へ動いていく。
 ウ.最初の位置と変わらない。
 エ.最初の位置から動かないが、点滅をする。
 オ.消えてしまう。


























屈折の法則を利用するのですが・・・。




 A、Bのガラスにおいて同様に屈折が起こり、下の図のように直進した位置Xよりも上にずれることになります。

図を見てわかるように、ガラスを通過する部分以外は直進と向きは変わりありません(平行)。また、ガラスを通過することで屈折し、その間だけ光が上の方向にずらされます。よって、Bがどの位置にあろうとも、結果として2枚のガラスで屈折することには変わりないため、光のあたる場所に変化はありません。実際に作図してみるとよいでしょう。


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2009年05月25日

簡単すぎて間違えること、ありませんか?2009-05-25



簡単すぎて間違えること、ありませんか?

 下の図のように、2g、3g、7gのおもりが1個ずつあります。これらを使って上皿てんびんで色々な物の重さを量るとき、量ることができる重さは何通りありますか。ただし、おもりは左右どちらの皿にものせてもかまいません。


























最大で12gです。



11通り



 まず、単純に1つの皿におもりをのせていくことを考えます。のせた分だけ量ることのできる重さは増えますから、「和」を考えていけばよいのです。
1つ・・・2g、3g、7g
2つ・・・5(2+3)g、9(2+7)g、10(3+7)g
3つ・・・12(2+3+7)g

 次に、これでは作ることのできなかった重さが工夫して作れないか、考えます。

 たとえば、一方の皿に3gのおもりを、もう一方の皿に2gのおもりをのせた場合、このてんびんをつりあわせるために必要な物の重さは3-2=1gとなります。つまり、反対の皿にのせた2gのおもりが、3gのおもりの重さのうち2g分を打ち消してくれているのです。このことから、反対の皿にのせることによっておもりの重さの「差」を考えることができます。

※以下、赤数字は反対の皿にのせて打ち消した重さ
1gを作る・・・3-2=1で可能
4gを作る・・・7-3=4で可能
6gを作る・・・2+7-3=6で可能
8gを作る・・・3+7-2=8で可能
11gを作る・・・不可能

 以上より、11gのみ作ることができないので、全部で11通りとなります。


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2009年04月27日

バネの伸びはおもりの重さに比例します、でいいんでしたっけ? 2009-04-27



バネののびは、おもりの重さに比例します?

 下の図は、伸びたり縮んだりしていないときの長さが18㎝の特別な2本のバネA、Bを表しています。バネAは両端を糸で結び8㎝以上伸びないようにし、バネBは特殊な加工をして伸び方に工夫を与えたものです。


 また、下の左の表は、バネAにいろいろな重さのおもりをつるしたときのバネの長さを表しています。また、右の図は、バネBにいろいろな重さのおもりをつるしたときのバネの伸びを表したものです。これについて、次の問いに答えなさい。


問 下の図のように、重さのない棒にある重さのおもりをつるすことを考えます。棒が水平を保つように、このおもりを棒の真ん中につるすとき、おもりの重さは何gにすればよいですか。























テキストにおけるバネの常識にとらわれてはいけません。


500g



棒の中央につるすので、バネA、Bに加わる力は等しくなります。また、同様に棒が水平を保った状態で下がったので、バネA、Bの伸びがそれぞれ等しくなります。

 つまり、同じ力で同じ伸びになるので、完全にバネA、Bのグラフが一致する点とわかります。ここで、バネA、Bともに伸び方が特殊なので、バネBのグラフにバネAの伸び方を記入してみると、下の図のようになります。

 よって、図3よりそれぞれのバネの伸びは8㎝、それぞれのバネに加わる力は250gとなります。
したがっておもりの重さは250+250=500gとなります。

 さて、本来テキストで学習するバネの問題では「バネの伸びとおもりの重さは比例する」が常識となっています。

しかし、この問題のように特殊な加工をすることでそれに従わない場合もあるのです。「与えられた条件に従う」「問題作成者の誘導にのる」ことが物理単元ではよく見られます。

「解き方の暗記」にとらわれることなく、「何をすればよいのかを探る意識」を持ってほしいものです。

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2009年04月13日

「うっかりミス」が口癖になっていませんか。それでは伸びません。2009-04-13



「うっかりミス」が口癖になっていませんか。それでは伸びません。

ある数を2倍して7から引き、3で割ったところ答えが1になりました。ある数は何ですか。






















ありません




 ある数を□として式をつくれば、ただの逆算に他なりません。しかし、ここに落とし穴があるのです。順を追ってみてみましょう。

 (1) □を2倍します・・・□×2
 (2) 7引きます・・・・・□×2-7
 (3) 3で割ります・・・・(□×2-7)÷3
 (4) 答えは1です・・・・(□×2-7)÷3=1

これで、□=5と求められます。
うんうん・・・、と頷いてみている方、だまされています。
問題文をもう一度よく読んでみて下さい。
正しくは、

 (1) □を2倍します・・・□×2
 (2) 7から引きます・・・7-□×2
 (3) 3で割ります・・・・(7-□×2)÷3
 (4) 答えは1です・・・・(7-□×2)÷3=1

では逆算です。計算の順序どおりにア、イと決めていくと、下のようなトーナメント表にあらわせるので、1つ1つ逆算していきます。

 イ÷3=1 から イ=1×3=3
 7-ア=3 から ア=7-3=4
 □×2=4 から □=4÷2=2

よって、答えは2となります。

立式のときの(  )はよく注視されるポイントですが、実はことばの表現も落とし穴なのです。どうしても問題で与えられた数字の順に式をつくりがちですが(この問題で言えば□、2、7、3、1の順)、そうとは限らないことを知っておきましょう。

ちなみに、これはうっかりミスではありません。 「問題文をきちんと読み込めない」
「与えられた数字の順に式をつくると無意識のうちに思い込む」
などの経験不足です。
たくさんの問題を解いて、経験値を増やしてください。




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