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2008年06月09日

有名な心臓の問題、あなたは「何」で心房、心室を判断していますか?2008-06-09



有名な心臓の問題、あなたは「何」で心房、心室を判断していますか?


下の図は、ヒトの心臓を表したものです。これについて、次の問いに答えなさい。





問1 上の図のは、心臓の4つの部屋です。これについて、正しいものを次のア~エから選び、記号で答えなさい。






問2 上の図のA~Dは、心臓につながる4つの太い血管です。これについて、正しいものを次のア~クから選び、記号で答えなさい。






問3 下の図は、体循環と肺循環を模式的に表したものです。これについて、次の(1)、(2)に答えなさい。

(1) 上の図の血管Bは、下の図のどれにあたりますか。E~Hから選び、記号で答えなさい。

(2) 心臓が収縮するとき、の部屋と一緒に縮むのはどの部屋ですか。下の図のから選び、記号で答えなさい。







よく見る図、ここにこそ注意が必要です。


 問1 ウ

 問2 キ

 問3 (1)  (2) 


問1 

私たちがよく見る心臓の図は、決して自分のものではありません。その心臓の持ち主と向かい合った状態で見ているわけですから、左右が逆になってしまいます。また、上の部屋にあたるは、血液がもどる部屋で「心房」とよばれ、下の部屋にあたるは、血液を送り出す部屋で「心室」とよばれます。



問2 

血液が心臓から出ていくための血管は動脈とよばれ、血液の勢いが強いために分厚い壁でできた管になっています。一方で、血液が体の各部をまわった後、心臓に戻るための血管は静脈とよばれ、血液の勢いが弱いために薄い壁でできた管で、逆流を防ぐための弁があります。



また、ヒトの血液の循環には2種類あり、肺へ行って酸素を補給する循環と、体全身へ酸素を運ぶ循環に分けられ、それぞれ肺循環と体循環(大循環)とよばれます。



A 全身から心臓へもどる血液→静脈

B 全身へ心臓から出て行く血液→動脈

C へ心臓から出て行く血液→動脈

D から心臓へもどる血液→静脈



問3 

あくまで、模式図です。きちんと図をみて、整理しましょう。

E 全身から心臓へもどる血液→大静脈

F 肺へ心臓から出て行く血液→肺動脈

G 全身へ心臓から出て行く血液→大動脈

H 肺から心臓へもどる血液→肺静脈



また、心臓の収縮は、左右同時に心房、心室、心房、心室…と行われます。は全身から心臓に血液がもどる部屋なので右心房とわかります。つまり、左心房を選べばよいのです。ここで、肺から血液がもどる部屋ですから、となります。




まとめ


 心臓の図で、左右が逆になることは有名ですね。各部屋、各血管の名前もふくめた基本知識はさておき、この問題で一番注意して欲しいところは「模式図の罠」です。



 この問題の図のように、よく見る心臓の図では、上が心房、下が心室です。また、言い換えれば肺側が心房、その反対側が心室です。しかし、これは模式図でもあてはまるとは限りません。



 たとえば、この問題の模式図でいえば、上側であるが心房か? 肺側であるが心房か? いいえ、どちらも違います。血液がもどる部屋が心房ですから、でなければなりません。もちろん、心房はとなり合った部屋のはずですから違和感はありますが、模式図だからかまわないのです。




2008年05月20日

「植物は、光が当たるほどよく育つ」と単純に思い込んでいませんか?2008-05-19



植物の育ち方と光の関係。多くの生徒が間違って理解しています。


同じ条件の畑で、ヒマワリやホウセンカの種をまき、その育ち方を調べました。これについて、次の問いに答えなさい。

問1 ヒマワリの種を図1のA、Bのようにまきました。その後の育ち方について正しいものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。ただし、すべてBと比べたときのAのようすを表しています。

問2 図2のようにホウセンカの種をまき、数日後育って大きくなったあとでX-Yの断面を調べました。これについて、次の(1)、(2)に答えなさい。


 (1) X-Yの断面として、最も適当なものはどれですか。下図のア~ウから選び、記号で答えなさい。
 (2) (1)で選んだ断面について、~のホウセンカのうち最もくきが太いのはどれですか。数字で選び、番号で答えなさい。


「植物は、光が当たるほどよく育つ」と単純に思い込んでいませんか?


問1 ウ
問2 (1)ウ、(2)



問1 

植物は、「光合成」によって、光のエネルギーを得て、自ら養分を作り出すという特別なはたらきをしています
(正確に言えば、光のエネルギーを閉じ込めるために養分を作るわけですが…)。

  太陽からの光は、この地球全体に届きます。つまり、単純に考えれば、この世界を植物が覆い尽くすほどエネルギーが盛んに作られることになります。では、想像してみてください。地面いっぱいに植物が茂っていたら…?

  ●ヒトが暮らす場所がなくなる?
  ●緑で土の水分が奪われ、地割れで地球がこわれる?
  ●むしろ、地球温暖化を防ぎ、暮らしやすくなる?

  いいえ、そもそも植物が地面を覆い尽くすことはないのです。
  
植物が生きていくためには、もちろん光が必要です。しかし、地球に届く光は限られています。つまり、増えすぎた植物どうしは、光の奪い合いを行うのです。簡単に言えば、限られた食料の中で、多数の動物が生きるには限度があるということと同じです。  

この問いでは、Bに比べて密集したAだと、光の当たりにくい場所ができ、十分に育つヒマワリが少なくなると考えられます。

しかし、多くの植物は生命のエネルギー源である光を心底求めています。そして、全エネルギーを光を浴びることを優先に使います。この結果、本来葉を大きくし、茎を太くし、効率よく光を浴びることを忘れて、光の当たりにくい植物は背丈をひたすら伸ばしてできる限り光を浴びようとする傾向にあるのです。

問2

 同種の植物どうしで光を奪いあうわけですから、問1と同様に考えることができます。ここで、太陽の動きを考えてみると、東→南→西となります。つまり、右図のように光の当たりやすいところ()、当たりにくいところ()に分けられます。

よって、X-Yの断面を見れば、中央部分は光が当たりにくく、端の方は光がよく当たることがわかります。

光が不足するほど植物は背を伸ばそうとするわけですから、中央部分は背が高く、端の方は背が低くなるのです。また、このことより中央部分はくきが細く、端の方がくきは太くなります。

たしかに植物は、光が当たるほどよく育つのですが、それは茎の太さ、背丈、葉の大きさ、根のはり方などの総合バランスについてであって、この問題のように背丈だけで考えれば必ずしも「光が当たるほどよく育つ」とは言えないのです。


2008年04月28日

答えを予想する時の頭の使い方を意識します。2008-04-28



根拠をもって予想する≒仮説をつくって問題を解く練習を数多くしましょう


メダカは5月~8月の朝早い時間に産卵を行います。メダカが水草に産みつけた卵を、同じ数ずつ10℃, 20℃, 30℃, 40℃, 50℃の水温の水槽に入れ、それぞれ水温を一定にたもち、3週間の間に卵からかえった数をしらべました。その結果をグラフにしたのが下のグラフです。正しいグラフはどれですか。一つ選び、それを選んだ理由を説明しない。


予想する方法は、自分の知っていることと、与えられたヒントを組み合わせる以外にはありません。



生徒A「メダカは25℃前後の水温でもっとも多く産卵すると習ったし、問題にも5月~8月に産卵すると書いている。つまり暖かくなるとたくさん卵がかえるのではないか。」

生徒B「ということは、グラフ(イ)だね。」

生徒A「ちょっとまって、でも水温40度って言えば普段入っているお風呂と同じくらいの温度だし、50度なんていったら卵はゆであがっちゃうんじゃないの?!」

と、わざとらしい会話ですが上のように「自分の知っていること」「常識」「文章中のヒント」を組み合わせます。
メダカについての学習範囲を覚えていないという理由でこの問題を放棄するようでは先は明るいとはいえません。


2008年03月31日

「水に浮く」とはそもそも何を意味するのか。基本原則をおさえます。 2008-03-31



「水に浮く」とはそもそも何を意味するのか。基本原則をおさえます。


ポリエチレンのふくろA~Cに、温度のちがう水(A…0℃、B・‥4℃、C…16℃)を同じ体積ずつ入れました。そして、右下の図のように、A~Cのふくろを10℃の水が入った水そうの中央に静かに入れました。A~Cのふくろはそれぞれどうなりますか。次のア~エから選びなさい。

ア しずむ イ うく  ウ 中央から動かない エ ういたりしずんだりする


「同じ体積あたりの重さ」(≒密度)という概念を理解してください。


A・・・ア
B・・・ア
C・・・イ


そもそも、「水に浮く、水に沈む」とはどういったことなのか確認します。
周囲の水に比べて、同じ体積で比べたときの重さが小さいときに物体は水に浮き、大きいときに物体は水に沈みます。

あえて思い切ったかんたんな言い方をすると、「水に比べて少しでもぎっしりと中身が詰まっているものは沈み、水にくらべ少しでも中身がスカスカなものは浮く。」とイメージすることができます。

水は4度の時が体積最少となります。重さは変わらないので、4度のときに密度最大(=最も「ぎっしり」) になります。
(↑この文章の内容を一読してイメージできないようでは正直中学受験は厳しいと思います。)

このグラフのように、水の体積は4度を最少として(4度付近では)左右対称の形になります。したがって、4℃との差が大きいほど、体積は大きくなり、「スカスカ」になります。

では類題です。たとえば、ポリエチレンふくろに0℃の水をいれて、ふくろが浮きも沈みもしないで動かないのは、水そうの中の水が何度のときでしょう?わかりますよね?


2008年03月03日

暁星中入試より。ごく身近な現象に「?」を感じられるかを問う超良問です。 2008-03-03



暁星中入試より。ごく身近な現象に「?」を感じられるかを問う超良問です。


アイスクリームや冷凍食品の保冷剤として利用されるものの1つにドライアイスがあります。

(1)ドライアイスを室温に放置しておくと、すべて気体に変わってしまいます。この気体の名前を答えなさい。
(2)ビーカーに水を用意してドライアイスを入れると、図1のように白い泡が発生し、白い煙がビーカーから流れ出ます。この白い煙は何ですか。
(3)図1の状態でしばらく放置すると、白い煙の発生が終わりました。このとき、図2のようにビーカーの底には白い固体が沈んでいました。この固体は何ですか。      (暁星中)


二酸化炭素は無色気体ですね。白いのはなんですか??ヒントにはなってませんが。


(1)二酸化炭素
(2)水 (細かい水の粒)
(3)氷


(1)ドライアイスは二酸化炭素が固体になったものです。(ちなみに二酸化炭素は液体の状態はありませんね。)

(2)大人でも自信満々に「二酸化炭素」と答える人が多いですが、二酸化炭素は無色気体です。白いわけがありません。あわが水中を通過して上昇する間に、水が水蒸気として泡の中に入り込みます。この水蒸気がさきほどまでドライアイスだった二酸化炭素にひやされて、水にもどり細かい水滴として泡の中に存在します。 

(3)ビーカーの中の水が氷になります。


ドライアイスという身近な物質への観察眼、さらに立ち止まって「ちょっとまてよ」と考えることができるかどうかを問う問題です。

塾で機械のように「ドライアイスは二酸化炭素が固体になったもの」と暗記しているだけの生徒は来て欲しくない。
いくつかの知識や経験を組み合わせ、自らが「ちょっとまてよ?」と思考を開始できる生徒がほしいという、
暁星中からの強いメッセージを感じます。


2008年02月04日

操作の「理由」に目を向けます。結局解答能力とはロジカルかどうかですし、ロジカルかどうかとは因果関係に目を向けられるかどうかです。 2008-02-04



操作の「理由」に目を向けます。結局解答能力とはロジカルかどうかですし、ロジカルかどうかとは因果関係に目を向けられるかどうかです。



上のような装置をつかって、発生した二酸化炭素の体積を測定したいと考えました。上の図の方法ではうまくいかず、工夫が必要であるとわかりました。
どのような工夫が考えられますか。下の図の点線部に書き込みなさい。


どのような工夫が必要か ⇒ なぜそもそも工夫が必要か
 


二酸化炭素を集めるために、水上置換法はつかえません。二酸化炭素が水に溶けてしまいますね。よって点線部分では、発生した二酸化炭素を水に溶けない気体に置き換える装置が必要になります。二酸化炭素が発生した体積分だけ、水に溶けない気体が水上置換装置に流れ込むような仕組みを考えます。

水に溶けない気体は入手のしやすさから(みのまわりの)空気とします。

また、発生する二酸化炭素は空気に比べ重いので、二酸化炭素をフラスコに入れるガラス管は底まで伸ばし、一方空気が出て行くべきガラス管は短くしておく必要がある。

一度やったことがあれば容易に解答できる問題なので、「覚えておく」ということも大事ですが、初見だとしても「そもそもなぜ工夫しなくてはいけないのか」と考えるだけで正答を生み出すことへの大きな近道となるはずです。


2007年12月03日

なぜか皆さん苦手の地層問題。お決まりの問題を1問。 2007-12-03



なぜか皆さん苦手の地層問題。お決まりの問題を1問。


地層の見えるがけを調べたら、地層は図1のようになっていました。この図をもとにして、次の問いに答えなさい。





(1)地層(ウ)をくわしく調べたら、図2のようになっていました。(ア)~(カ)の地層のうち、最初にできた地層はどれですか。


(2)地層(ウ)と(エ)の間に、ある動物が住んだ穴のあとが残っていました。図3はそれをスケッチしたものですが、地層のでき方から考えてありえないものはどれですか。





(ウ)の地層に着目。わざとらしく大きい砂と小さい砂が上下に分かれていますね。


(1)イ
(2)A


図2の意味を考えます。

(ウ)の地層ができるに際し、海底で砂や石がつもるのですが、

大きい粒→比較的早くつもった
小さい粒→(ゆらゆらと)時間をかけてゆっくりつもった

と考えられます。バケツにいろいろな大きさの石や砂をいれ、大きな水槽にひっくり返すと、細かい砂はしばらく水中に停滞し、時間をかけて水槽の底にたどりつきます。これと同じ原理です。

なので、(ウ)の地層は、上側が古い地層、下側が新しい地層となります。よって、(ウ)より古い地層は(イ)となります。
(ア)は明らかに最新の地層ですね。

「なぜ古い地層と新しい地層の上下が逆なの?新しい地層が上にきまってるじゃないですか?」
と疑問の方は教科書で「しゅう曲」と言う言葉を引いてみて下さい。

(2)は(1)が分かれば問題ないはずです。

地層の問題では典型中の典型です。同じ地層の中で粒の大きさが問題で触れられていないか、絵でみてわかるようになっていないか、チェックは忘れないようにしてください。

思考力というより注意力を確認するもんだいでしたが
まさに「一度はやっておきたい問題」 ではないでしょうか。

一度はやっておかないと入試会場にはいけない問題ですね。


2007年11月05日

数量変化に対して、正比例なのか反比例なのかをイメージします。 2007-11-05



数量変化に対して、正比例なのか反比例なのかをイメージします。


電熱器を使って20℃の水300gを1分間加熱したら、23.2℃になりました。更に、20℃の水300gの中に、20℃の金属球1個を入れて1分間加熱したら、水と金属は23℃になりました。

(問)20℃の水300gの中に、同じ金属球を何個か入れて1分間加熱したら、22.4℃になりました。このとき、水の中に入れた金属球は何個ですか。

ただし、電熱器はいつも同じように発熱して、熱は水と金属球を熱することだけに使われるとします。


鉄球が水何gに相当するかを考えます。


答え、 5個

この電熱器は1分間で300gの水の温度を3.2℃上げる性能を持っています。
また、鉄球1個と水300gでは、温度は3℃上昇しており、これは水320g分となる。
(320=300×(3.2/3) (水量と温度変化は反比例)

つまり鉄球1個は水20gと同じあつかいができる。

水と鉄球をあわせたものは、1分間で2.4℃温度上昇している。これは水400グラム分である。
(400=300×(3.2/2.4))(水量と温度変化は反比例)

鉄球?個 は 水100g分に相当し(400 - 300 )、

鉄球1個は 水20gに相当するのだから、?は5


鉄球1個が水何gに相当するのかを考えるということも大事ですが、それ以上に
「数量変化に対して、正比例なのか反比例なのかをイメージする。」これがこの問題の肝です。

普段から、公式暗記の算術処理ばかりしていてはこういった能力は身につきません。
「ってことは」を繰り返し、おきていることをイメージする力を身につけます。

この電熱器は1分間で、300gの水の温度を3.2℃上げます。ここで単純に

「じゃあ、水が倍の600gだったら、水は6.4℃あがるの?それとも半分の1.6℃?」と考えてみることで、

頭の中に熱量に関するイメージが出来上がります。常識的に水が多ければ、上がる温度は小さいですよね。

この問題で、鉄球1個と水300g が 水281.25 g    (300:?=3.2:3)
に相当する と計算してしまった生徒は、勉強の仕方を変えるべきです。そのまま勉強をつづけても絶対に成績は伸びません。


2007年10月08日

一度でも「なぜだろう」と思ったことのある現象は、習ったときに頭に残るものです。 2007-10-08



一度でも「なぜだろう」と思ったことのある現象は、習ったときに頭に残るものです。


地球から見ると、月は自転をしているのに、月の裏側の模様が絶えず見えない理由を述べなさい。


ノーヒントです。
 

月の自転周期と、地球を回る公転周期が等しいから。


あまりに有名な問題ですが、一度はやはり出会っておくべき問題ですのでこの機会に。

月が自ら一回転してるうちに、地球の周りを一回転しています。

これは、文字で言われても理解しづらいので、下の図を参考に自分でノートに絵を書いてみてください。
(こういった、頭の中で物体を動かさなくてはいけない分野では教科書をじっとにらんでいても理解できた気になるだけで、身にはつきません。自分の手を動かし、紙の上で再現できて初めて理解できているとするべきです。)

また、ここで疑問に思ってほしいこととして、
「なぜ、月の自転周期と公転周期がいっしょなの?もともとそうなの?それは偶然?」ということです。

これは、実は偶然ではなく、地球の重力により月はわずかですが楕円形になります。下の図を見ると分かりますが、楕円形の状態で、公転周期よりも自転周期がすこしでも遅くなったり早くなったりすると、楕円の月はわずかに斜めになり、月の重力とのバランスが悪くなります。

月が斜めになった瞬間に地球の重力によりまたバランスのいい状態に戻されます。これにより、自転周期と公転周期が同じになるように、いわば「調整」されます。

他にも、木星の衛星たちも自転周期と木星に対する公転周期が同じになっていたり、多くの衛星の自転周期と公転周期は1対1または、簡単な整数比になっているとのことです。

余談ですが、こういった理科の知識は、過去に一度でも「なんでだろう」と思ったことがあると、それを学習したときに深くそして長く記憶にとどめておくことが出来ます。どんな分野でもそうですが、普段から「なんでだろう」と思えるようになりたいものです。

また保護者の皆さんは、生徒に「なんでだろうね」と問いかけ、少しでも一緒に考えることが大切です。何か疑問をもったときそれを楽しそうに調べる親を見る生徒はやはり、疑問をもつことに対して前向きです。しかし、「わからないから塾の先生にきいといで」とあしらい、普段疑問をもつことに楽しそうにしない両親から「普段から疑問を持つことが大切だよ。なんでなんでと思いなさい。」と言われても、そんなの習慣になるわけはありません。

塾講師の言うことではないかもしれませんが、生徒の習慣は確実に親の習慣と似ます。何でうちの子は・・・ という前に、まず保護者の皆様がご自身の「知に対する姿勢」を考え直してみてください。


2007年09月24日

問題自体は簡単です。算数の数え上げの基本を理科でも使います。 2007-09-24



問題自体は簡単です。算数の数え上げの基本を理科でも使います。


図のような器具を使ってブザーをつくろうと思います。図中のCは鉄棒にエナメル線を巻きつけたコイル,Sは押しボタン式のスイッチです。

(1) 図のA~Fを3本のエナメル線でつないで,ブザーが鳴るようにするには,3本の線のつなぎ方はいくとおりありますか。

(灘)


(1)やみくもに数えようとするとミスします。
 

ブザーの仕組みは教科書等で確認してください。割愛します。
この問題は、それ以上に数える際の「起点」「基準点」を決めることがポイントです。
Aにつながるのは、B、C、D、E の4通りあります。

1)A-Bがつながる
A-B C-D E-F
A-B C-E D-F

2)A-Cがつながる
A-C B-D E-F
A-C B-E D-F   
(このあたりで場合わけに慣れている人は、4×2の8通りが解答だと気付きます。一握りの優秀な生徒を除いて、いきなり4×2に気付くのは至難の業です。書き出している途中で気付くのがポイントです。書き出しすらしないのは問題外です。)

3)A-Dがつながる
A-D E-C B-F
A-D E-B C-F

4)A-Eがつながる
A-E D-C B-F
A-E D-B C-F

答え、8通り


「何通りありますか」という種類の数え上げの問題。解答に生徒の癖、むしろ性格が大きく反映される問題ではないでしょうか。

中途半端な小手先学習に終始している生徒は、意味もわからず、それぞれ部品の端に2通りのつなぎ方があるから等、確たる理由もなく2通り×2通り×・・・・ と計算をはじめ、大抵間違えます。たまたま答えが合っていても、もちろん類題は解けません。

また、方法論で問題を分類するという学習を進めていない生徒は、数え上げの途中でヌケやダブりに気付かずに解答に近い数字で不正解となり、「あ、数え忘れた」と、その場の不注意だけが不正解な理由だと決め付け、その後も繰り返し間違いを重ねます。

数え上げの際には、
1.まず怠けず列挙してみる  2.列挙する際に並べ方のルールを自分でつくる (本問の場合は、Aを起点に場合分けしています。)
という愚直さが求められます。

数式で格好よく答えがでるのは、2の作業の途中で法則に気付いた生徒です。書き出しもせずに近道を求めるような生徒に数え上げはできません。理科に限らず場合わけの問題で、書き出しもせずに問題用紙とにらめっこしている人は要注意です。


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