2007年11月19日

直感では解けそうにないのですが、解けます。そこから類推します。 2007-11-19



直感では解けそうにないのですが、解けます。そこから類推します。


田中くんは、よしこちゃんに誕生日プレゼントを送ろうとおもいます。郵便局に行って送料をたずねましたが、40円切手と70円切手しかもっておらず、どのように組み合わせてもその送料をぴったりつくることはできませんでした。結局、10円余計に貼って送りました。送料は10円単位で140円以上だとすると、正しい送料はいくらでしたか。


解けないと感じたのはなぜか考えてみましょう。


題意より、40円と70円を組み合わせて払うことのできない料金には実は上限があることが類推できます。
具体的には180円以上はすべて可能です。
140円以上170円以下の料金140円、150円、160円、170円のうちつくることができないのは170円のみなので答えは170円

答え:170円


180円、190円、200円、210円という4連続で数を作ることが確認できると、
それらに40円を足していくことで10円単位はすべてつくることができます。

小学生レベルでは、題意を読み取り、上限があることを類推できれば、
数の組み合わせの試行錯誤で比較的容易に上限を発見できます。

(参考)
支払うことのできない上限の「170円」の発見方法は以下の通り。
大学入試における有名問題です。

10円単位なので、4円と7円の組み合わせでつくることが出来ない金額の上限を求める。
まずは、ともに1枚以上使うことを考える。

4×1、4×2、4×3、4×4、4×5、4×6はすべて4×7以下の数で、
これらの数を7で割った余りはすべて異なる。
なぜなら4×□と4×○を7で割った余りが等しければ、両者の差4×(□-○)が7で割り切れることになるが、
□-○は7未満なので、4×(□-○)が7で割り切れることはないからである。

よって、 4×1、4×2、4×3、4×4、4×5、4×6を7で割った余りは
1、2、3、4、5、6のいずれかになる。

以上より、
4×7より大きなどのような整数も4×1、4×2、4×3、4×4、4×5、4×6のいずれかに7を足せば表すことができる。
一方4×7=28が4×□+7×○で表すことができるとすると、□が7の倍数となり矛盾が生じてしまう。
よって1枚以上使うとき、作ることのできない金額は4×7=28円となり、答えは10倍して280円となる。

本問はどちらも使わない場合も含まれるが、これまでの話を延長して考えればよい。


4×□+7×○で表せない数(□、○は1以上の整数)についての議論を、
4×■+7×●で表せない数(■、●は0以上の整数)に延長するには、
■=□-1、●=○-1と考えればよい。

4×■+7×●= 4×(□-1)+7×(○-1)=4×□+7×○-11

4×□+7×○の上限は28であることを確認しているので、
4×□+7×○-11の上限は28-11=17となる。
よってともに0枚がありえる場合は支払うことのできない上限は170円。



2007年11月12日

作業の過程にとらわれすぎず、結果の意味を考えましょう。 2007-11-12



作業の過程にとらわれすぎず、結果の意味を考えましょう。


2つのコップに同じ量のミルクとコーヒーが入っています。大さじ4はい分のミルクをすくって、コーヒーの入っているコップに入れてよくかきまぜます。

つぎに、このコーヒーの入っていたコップから大さじ4はい分をすくって、ミルクの入っているコップに入れて、よくかきまぜます。
この作業の後、ミルクのコップの中のコーヒーの割合とコーヒーのコップの中のミルクの割合とでは、どちらが大きいでしょうか。


結果の意味を良く考えましょう。


2つの作業の結果、2つのコップに入っている液体の量は変わりません。

2つのコップともコーヒーとミルクが混ざっていますが、結果液体の量が同じということは、
ミルクのコップからコーヒーのコップへと移動したミルクの量と
コーヒーのコップからミルクのコップへと移動したコーヒーの量は同じ量です。

つまり、コーヒーとミルクがともに10リットルあったとすると、もしミルクが1リットルだけコーヒーのコップに移動したとすると、
同じ量のコーヒーがミルクのコップに戻ってきているということになります。


よって、コーヒーのコップの中のコーヒーに対するミルクの割合と
ミルクのコップの中のミルクに対するコーヒーの割合は同じです。


作業を直感的にとらえると、コーヒーのコップの中のミルクの割合の方が大きく感じます。

コーヒーの中に入れたミルクは純度100%のもので、ミルクの中にかえってくる同じ量の液体はコーヒーとミルクが混ざったものだからです。

直感と実際の差は、計算によって確認することが出来ますが、
本問のポイントは作業の流れをきちんとイメージすることです。


混ぜ終わった液体をきちんとイメージできれば簡単な問題です。
細かい点としては、液体の混合の問題では、
「混合液」のイメージを下の図1のように考える子供が多いのですが、
図2のようにとらえると「割合」として扱いやすくなります。



2007年11月05日

数量変化に対して、正比例なのか反比例なのかをイメージします。 2007-11-05



数量変化に対して、正比例なのか反比例なのかをイメージします。


電熱器を使って20℃の水300gを1分間加熱したら、23.2℃になりました。更に、20℃の水300gの中に、20℃の金属球1個を入れて1分間加熱したら、水と金属は23℃になりました。

(問)20℃の水300gの中に、同じ金属球を何個か入れて1分間加熱したら、22.4℃になりました。このとき、水の中に入れた金属球は何個ですか。

ただし、電熱器はいつも同じように発熱して、熱は水と金属球を熱することだけに使われるとします。


鉄球が水何gに相当するかを考えます。


答え、 5個

この電熱器は1分間で300gの水の温度を3.2℃上げる性能を持っています。
また、鉄球1個と水300gでは、温度は3℃上昇しており、これは水320g分となる。
(320=300×(3.2/3) (水量と温度変化は反比例)

つまり鉄球1個は水20gと同じあつかいができる。

水と鉄球をあわせたものは、1分間で2.4℃温度上昇している。これは水400グラム分である。
(400=300×(3.2/2.4))(水量と温度変化は反比例)

鉄球?個 は 水100g分に相当し(400 - 300 )、

鉄球1個は 水20gに相当するのだから、?は5


鉄球1個が水何gに相当するのかを考えるということも大事ですが、それ以上に
「数量変化に対して、正比例なのか反比例なのかをイメージする。」これがこの問題の肝です。

普段から、公式暗記の算術処理ばかりしていてはこういった能力は身につきません。
「ってことは」を繰り返し、おきていることをイメージする力を身につけます。

この電熱器は1分間で、300gの水の温度を3.2℃上げます。ここで単純に

「じゃあ、水が倍の600gだったら、水は6.4℃あがるの?それとも半分の1.6℃?」と考えてみることで、

頭の中に熱量に関するイメージが出来上がります。常識的に水が多ければ、上がる温度は小さいですよね。

この問題で、鉄球1個と水300g が 水281.25 g    (300:?=3.2:3)
に相当する と計算してしまった生徒は、勉強の仕方を変えるべきです。そのまま勉強をつづけても絶対に成績は伸びません。



2007年10月29日

濃さには食塩の濃さと水の濃さの2つの見方があります。 2007-10-29



濃さには食塩の濃さと水の濃さの2つの見方があります。

10%の濃さの食塩水が100グラムあります。この食塩水を70%の濃さにするためには食塩をどれだけ加えればよいですか。


ノーヒントです。
 

10%の濃さの食塩水100グラムには食塩が10グラム、水が90グラム入っています。

ここに食塩を加えるわけですから水の量は変わりません。

70%の食塩水というのは、食塩水全体の重さに対して、食塩が70%を占めているということですが、水を中心に考えると、食塩水全体の重さに対して水が30%を占めているということもできます。

つまり、新たに作られる濃さ70%の食塩水とは、水90グラムが全体の30%を占める食塩水ということができるのです。

90グラムが全体の30%ですから、全体は90÷0.3=300グラムになります。
現在全体で100グラムですから、差の200グラム分だけ食塩を加えればよいことがわかります。

出来上がる食塩水は全体で100+200=300グラム、食塩は10+200=210グラムとなり、その濃さは210÷300=0.7となり問題文の指示通りの食塩水が出来たことが確認できます。

答え:200グラム


食塩の濃さに関する解法は様々なものがありますが「濃さ」のイメージをしっかりと持たせることと食塩の濃さだけでなく、「水の濃さ」という視点を持つことが大切です。
食塩の濃さに限らず、全体を構成する要素の中で見落としがちなものは何かということを考える姿勢は大切です。
ふたのある容器に水を入れる問題で、水の体積だけでなく、水の入っていない部分の体積に注目するといった考え方です。
補集合に着目するということですね。



2007年10月22日

極端な場合を考えて見通しをよくします。 2007-10-22



極端な場合を考えて見通しをよくします。

箱の中に3と書かれたカードと5と書かれたカードがそれぞれたくさん入っています。この箱からカードを何枚か取り出し、書いてある数の合計を調べます。たとえば、合計9になるのは3のカードが3枚取り出される場合のみの1通りです。このとき合計2003になる取り出し方は何通りありますか。


ノーヒントです。
 

なるべくたくさんの3のカードをつかって2003を表すことにする。

すると2003÷3=667余り2より、3のみで2003を作ることは不可能です。そこで余り2に着目し、
2003=3×666+5×1
より666枚の3のカードと、1枚の5のカードで作る組み合わせが出来ることを確認する。

ここで、合計の2003を変えずにカードの組み合わせを変えていく。
つまり、合計を変えないようにしながら、3のカードを減らし、5のカードを増やす。
(なぜなら3のカード666枚は最多の場合だから)

合計を変えないためには減らした3のカードの合計と増やした5のカードの合計が同じになるようにしなくてはいけない。

つまり3と5の最小公倍数に着目して、3のカードを5枚分合計15減らし、
5のカードを3枚分合計15増やすという作業によって、組み合わせを変えていけばよい。


3のカード666枚を5枚ずつ減らしていく作業は666÷5=133余り1より133回実施することができる。

よって組み合わせは最初に見つけたものと合わせて134通り考えられる。

答え:134通り


様々な組み合わせを考える問題はまず極端な場合を考えて、
どれくらいの範囲にあるのか、概算をすると見通しがよくなります。

つるかめ算と同じ考え方です。本問はなるべく多くの5のカードを使う場合からスタートしても解くことができます。


また、次に取組むことになる「和を一定に保つ」ための作業は、いろいろな形に姿を変え出題されます。
当然、増やした分を減らす、掛けた分を割るという還元作業をすればよいのですが、そう単純にはいきません。

本問は減らすときには3が単位となり、増やすときには5が単位となります。

このように、還元するときに単位が変わる
(水を捨てるときと入れるときの単位時間当たりの水量が違うなど)のが常套なので、
両者を丁寧にそろえる作業から手をつけていきましょう。



2007年10月15日

問題文の「少なくとも」をうまく言い換えて、計算を出来る形にします。 2007-10-15



問題文の「少なくとも」をうまく言い換えて、計算を出来る形にします。


Aさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさん、Fさん、Gさんの7人がかけっこをしました。 ありえる着順を考えます。AさんがBさん、Cさんの少なくとも1人よりも先にゴールするような着順は何通り考えられますか。同着はないものとします。


ノーヒントです。
 

Aさんが、BさんとCさんの少なくともどちらかより先にゴールするということは、Aさんは「この3人の中で最下位ではない」と言い換えることが出来ます。

ここで考えられるすべての着順は
7×6×5×4×3×2×1=5040通りありますが、これらはAさん、Bさん、Cさんの3人にだけ注目して、
(ア)3人の中でAさんが最下位
(イ)3人の中でBさんが最下位
(ウ)3人の中でCさんが最下位
の3つに分けることができます。
問われているのは(ア)以外ですが、(ア)も(イ)も(ウ)も同じ確率で起こりうるので、
(イ)と(ウ)の合計は5040×2/3=3360通り。

答え:3360通り


言い換えの効用について学ぶ問題です。

「少なくとも」という表現は幅がありますので、その幅をしっかりと確定させ、計算処理するための下地を作る必要があります。

特に場合の数に関しては、問題文の指示する数えるべきものをうまく言い換えると簡単に数えられるものに変換できることがあります。

「問題文の条件は、より使いやすい形に言い換えることはできないか」と探る視点と、正しく言い換える正確な論理能力が問われる問題でした。



2007年10月08日

一度でも「なぜだろう」と思ったことのある現象は、習ったときに頭に残るものです。 2007-10-08



一度でも「なぜだろう」と思ったことのある現象は、習ったときに頭に残るものです。


地球から見ると、月は自転をしているのに、月の裏側の模様が絶えず見えない理由を述べなさい。


ノーヒントです。
 

月の自転周期と、地球を回る公転周期が等しいから。


あまりに有名な問題ですが、一度はやはり出会っておくべき問題ですのでこの機会に。

月が自ら一回転してるうちに、地球の周りを一回転しています。

これは、文字で言われても理解しづらいので、下の図を参考に自分でノートに絵を書いてみてください。
(こういった、頭の中で物体を動かさなくてはいけない分野では教科書をじっとにらんでいても理解できた気になるだけで、身にはつきません。自分の手を動かし、紙の上で再現できて初めて理解できているとするべきです。)

また、ここで疑問に思ってほしいこととして、
「なぜ、月の自転周期と公転周期がいっしょなの?もともとそうなの?それは偶然?」ということです。

これは、実は偶然ではなく、地球の重力により月はわずかですが楕円形になります。下の図を見ると分かりますが、楕円形の状態で、公転周期よりも自転周期がすこしでも遅くなったり早くなったりすると、楕円の月はわずかに斜めになり、月の重力とのバランスが悪くなります。

月が斜めになった瞬間に地球の重力によりまたバランスのいい状態に戻されます。これにより、自転周期と公転周期が同じになるように、いわば「調整」されます。

他にも、木星の衛星たちも自転周期と木星に対する公転周期が同じになっていたり、多くの衛星の自転周期と公転周期は1対1または、簡単な整数比になっているとのことです。

余談ですが、こういった理科の知識は、過去に一度でも「なんでだろう」と思ったことがあると、それを学習したときに深くそして長く記憶にとどめておくことが出来ます。どんな分野でもそうですが、普段から「なんでだろう」と思えるようになりたいものです。

また保護者の皆さんは、生徒に「なんでだろうね」と問いかけ、少しでも一緒に考えることが大切です。何か疑問をもったときそれを楽しそうに調べる親を見る生徒はやはり、疑問をもつことに対して前向きです。しかし、「わからないから塾の先生にきいといで」とあしらい、普段疑問をもつことに楽しそうにしない両親から「普段から疑問を持つことが大切だよ。なんでなんでと思いなさい。」と言われても、そんなの習慣になるわけはありません。

塾講師の言うことではないかもしれませんが、生徒の習慣は確実に親の習慣と似ます。何でうちの子は・・・ という前に、まず保護者の皆様がご自身の「知に対する姿勢」を考え直してみてください。



2007年10月01日

問題文に明記されていない隠れた条件をつかって絞り込みます。 2007-10-01



問題文に明記されていない隠れた条件をつかって絞り込みます。


のぼるくんは、1から順番に1、2、3、4、5・・・・とある数字まで黒板に書きました。のぼるくんがその中の1個の数字を消してしまいました。すると残りの数の平均は590/17になりました。のぼるくんの消した数を求めなさい。


1から連続する整数の平均は、数を1つ消してもある範囲内でしか増減しません。
 

平均が590/17ということは、1つ消してしまった後の数字の個数は17の倍数になります。・・・・・ (条件1)


平均の 590/17=34 と 12/17 です。
ここで1からある数Aまでの連続する整数の平均について考えます。

ここから1つの数字を消すことにします。1を消したときに平均は最も大きく増加します。その増える値は必ず0.5です。
また、Aを消したときに平均は最も大きく減少します。その減る値もまた必ず0.5です。
つまり元々の平均は34と12/17から+-0.5の範囲内にあることになります。・・・・・ (条件2)


さらに、いくつかの連続する整数の平均は必ず整数もしくは小数部分が0.5になります。 ・・・・・(条件3)

条件1から3より、元々の平均は34.5で、1つ消した後の数字の個数は68個、つまり元々の数字の個数は69個になります。
1から69までの合計は(1+69)×69÷2=2415
また、1つ消してしまった後の数の合計は590/17×68=2360
よって消した数字は2415-2360=55

答え:55


算数オリンピックからの出題です。

条件2についてきちんと把握することが鍵となる問題でした。

1から連続する整数をならべてみてください。
平均は、最初の数1と最後の数を足して2で割ったものになることがわかるはずです。

最後の数をAとすると
(1+A)÷2で平均が求まります。

ここで1を消すと平均はもっとも高くなりますが、その値は
(2+A)÷2です。

先程の(1+A)÷2  は  1÷2+A÷2  と変形できるので、
(2+A)÷2  つまり  2÷2+A÷2  との差は  1÷2  と  2÷2  の差の 0. 5ということになります。

同様にAを消すときのことを考えるとその差は
A÷2  と  (A-1)÷2  つまり  A÷2-1÷2  との差となり、これも0.5となります。


問題文に明記されている数字や式などでは式を立ててとくには明らかに足りないとき、
問題文の裏に隠された条件を読み解くことが鍵になります。

上記の平均の増減幅に関しては、平均算でよく使われる面積図を使っても理解は可能です。

是非試みて確認しておいてください。



2007年09月24日

問題自体は簡単です。算数の数え上げの基本を理科でも使います。 2007-09-24



問題自体は簡単です。算数の数え上げの基本を理科でも使います。


図のような器具を使ってブザーをつくろうと思います。図中のCは鉄棒にエナメル線を巻きつけたコイル,Sは押しボタン式のスイッチです。

(1) 図のA~Fを3本のエナメル線でつないで,ブザーが鳴るようにするには,3本の線のつなぎ方はいくとおりありますか。

(灘)


(1)やみくもに数えようとするとミスします。
 

ブザーの仕組みは教科書等で確認してください。割愛します。
この問題は、それ以上に数える際の「起点」「基準点」を決めることがポイントです。
Aにつながるのは、B、C、D、E の4通りあります。

1)A-Bがつながる
A-B C-D E-F
A-B C-E D-F

2)A-Cがつながる
A-C B-D E-F
A-C B-E D-F   
(このあたりで場合わけに慣れている人は、4×2の8通りが解答だと気付きます。一握りの優秀な生徒を除いて、いきなり4×2に気付くのは至難の業です。書き出している途中で気付くのがポイントです。書き出しすらしないのは問題外です。)

3)A-Dがつながる
A-D E-C B-F
A-D E-B C-F

4)A-Eがつながる
A-E D-C B-F
A-E D-B C-F

答え、8通り


「何通りありますか」という種類の数え上げの問題。解答に生徒の癖、むしろ性格が大きく反映される問題ではないでしょうか。

中途半端な小手先学習に終始している生徒は、意味もわからず、それぞれ部品の端に2通りのつなぎ方があるから等、確たる理由もなく2通り×2通り×・・・・ と計算をはじめ、大抵間違えます。たまたま答えが合っていても、もちろん類題は解けません。

また、方法論で問題を分類するという学習を進めていない生徒は、数え上げの途中でヌケやダブりに気付かずに解答に近い数字で不正解となり、「あ、数え忘れた」と、その場の不注意だけが不正解な理由だと決め付け、その後も繰り返し間違いを重ねます。

数え上げの際には、
1.まず怠けず列挙してみる  2.列挙する際に並べ方のルールを自分でつくる (本問の場合は、Aを起点に場合分けしています。)
という愚直さが求められます。

数式で格好よく答えがでるのは、2の作業の途中で法則に気付いた生徒です。書き出しもせずに近道を求めるような生徒に数え上げはできません。理科に限らず場合わけの問題で、書き出しもせずに問題用紙とにらめっこしている人は要注意です。



2007年09月17日

簡単な虫食い算ですが、論理的に解いてみましょう。 2007-09-17



簡単な虫食い算ですが、論理的に解いてみましょう。


次のア、イ、ウに入る数字を答えなさい。


アとイの数字の関係に着目するところからスタートです。
 

百の位のアの下に、アとは異なるイがきているということは、繰り上がりによって数字が変わっていることになります。

2つの数字の足し算ですから、繰り上がりとして考えられるのは1のみ。
つまりアに1を足すとイになることがわかります。・・・(1)


次に1の位の足し算に注目します。ウ+ウはアとなっています。
これはウ×2の一の位がアと考えると、アは偶数であることがわかります。・・・(2)


(1)、(2)より(ア、イ)の組み合わせは(0、1)(2、3)(4、5)(6、7)(8、9)です。
※0が偶数かどうかは議論がありますが、アの候補として0が挙がることは理解できるでしょう。


ここで十の位の足し算に注目します。イ+アは、(1)で考えたように繰り上がらなくてはいけませんので、
足すと10以上ということになります。つまり上の候補の内、適当なものは(6、7)と(8、9)の2つのみとなります。

この2つを検討します。

(6、7)だと、一の位の足し算に注目して考えられるのは3もしくは8。3で673+63=736で正解。
8は十の位で6と7の和13の一の位3に繰り上がりの1を加えても4にしかならないので不適。

(8、9)だと、一の位の足し算に注目して考えられるのは4もしくは9。4だと十の位で8と9の和が7となり不適。9はすでにイで使われたため不適。
よって答えは673+63=736の一通り。


答え:ア:6、イ:7、ウ:3


2年生クラスの問題でした。説明まで出来た生徒は少なかったのですが、
当てはめで偶然に出来たというレベルから一歩進んで説明ができるようになると、
数の持つ性質、規則への配慮が行き届くようになります。

虫食い算の説明を書くというのは四則演算のそれぞれの仕組みについて考えるのには絶好の教材です。
数学の女王「整数」の入り口として、是非活用してください。




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