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2008年03月10日

桐朋中より比の基本問題。比べる対象の変化に注目します。2008/3/10



桐朋中より比の基本問題。比べる対象の変化に注目します。


3つの袋A,B,Cがあります.まずはじめにAには青い玉が,BとCには白い玉がはいっていて、3つの袋に入っている玉の個数の比は6:3:1でした。AからCへ(ア)個,BからCへ(イ)個の玉を移したら, 3つの袋に入っている玉の個数の比は7:3:5になりました。さらにAとBからCへそれぞれ6個の玉を移したら,Cに入っている青い玉と白い玉の個数の比は7:10になりました。

(1)(ア)と(イ)にあてはまる数の比を求めなさい。
(2)省略                  (桐朋中)


変わらないものがあります。


やりとりの後、玉の合計に変化していないので、問題文で与えられている比「 6:3:1」と「 7:3:5」の和も変化がないようにそろえます。
前:18:9:3
後:14:6:10
この比を見比べるとAからCへは4,BからCへは3だけ移したことが読みとれる。
答:(ア):(イ)=4:3


比とは文字通り比較です。比べる対象の変化にたいして敏感にならなくてはいけません。具体的には、変化したものと変化していないものをしっかりと区別して処理することが必要になってきます。小学生レベルでは「和一定」「差一定」「和も差も変化」の3通りが明確に区別され、つまり生徒でも見分けが用意な形で出題されますので、それぞれに独特な解法をしっかりと確認しておきましょう。


2008年02月25日

中身ではなく、大枠から考える。概算の視点が必要です。 2008-02-25



中身ではなく、大枠から考える。概算の視点が必要です。


ある学校について、生徒が何人か以上になると、必ずその中に、血液型、誕生日、性別が完全に一致する者が2人以上いることになります。生徒は何人以上いる必要があるでしょうか。


3人家族で部屋が2つしかないと、全員に個室がいきわたることはありませんよね。


誕生日は366通り、性別は2通り、血液型は4通りです。

よって、これら3項目の組み合わせは366×2×4=2928通りあります。

よって、2928人までは組み合わせが同じにならないことがありえるが、
2929人目は必ずそれまでにいた2928人の誰かと一致することになる。

答え:2929人以上


鳩ノ巣論法と呼ばれるものです。

数学ではかなり頻繁に使われる論法ですが、小学生でも十分に理解可能です。

大切なのは、「最も多くとも・・」という視点です。目の前にある「非常に多い」ものが、実際にはどのような範囲におさまるものなのかについての概算をするという作業を経ることで、意外なほど扱いやすくなります。

同様に、「最も少なくとも・・」という視点も重要です。とりあえず範囲をしぼっていくことで見通しを良くするのです。


2008年02月11日

魔方陣とは,縦・横・ななめの3つの数字の「和」が同じです。 2008-02-11



操作の「理由」に目を向けます。結局解答能力とはロジカルかどうかですし、ロジカルかどうかとは因果関係に目を向けられるかどうかです。


魔方陣とは,縦・横・ななめの3つの数字の「和」が同じです。


ノーヒントです。
 

一番上の段の横一行と一番左の縦一列に着目すると

●+1+8=●+?+2となる。.●は共通なので1+8=?+2となる.よって?=7
答え:7


もちろん,まん中の5を発見して、,すべてのマスを埋めていくという手法でも解答可能ですが、本問で重要なのは「和が同じ」という条件に対するアプローチです。

面積の問題で頻出なのですが、「ある部分とある部分の面積が同じ」という条件に対して、同じものを足しても,面積が等しいという条件に変化はありません。

本問では●という共通部分に着目し,他の部分の和も同じになるという形です。

※まん中が5になることをきちんと説明できることも大切です。必ず一度は経験しておいて欲しい問題です。


2008年01月21日

条件を吟味すると、図形の問題ではないことに気付けます 2008-01-21

(問題)
AB=3cm 、BC=4cm、CA=5cm、の直角三角形ABCの斜辺CA上に点Pをとったところ、2つの三角形ABPと三角形PBCの周の長さが等しくなった。このとき三角形ABPの面積を求めよ。

(解説)
「構成要素は違うが合計が同じ」という条件が与えられているところから、和と差について考える問題であると気付けることが突破口です。

最近の上位校での流行なので対策は進んでいますが、問題文を吟味して条件の本質的な意味を考えるという点ではやはり難問です。

求積問題では、「明らかに通常の解き方では求めることができない。」という判断をすることが比較的容易ですので、その場合に考えられる手法について確認しておくと良いでしょう。


最近は~算について学ぶ基本例題とは見た目が全く違う問題を出そうという姿勢が各校で見られます。

数学の先生たちの腕の見せ所といったところですが、受験生にとっては~算の仕組みについてしっかりと理解しておく必要性が高まってきていることになります。


2008年01月14日

立体図形の問題を解くための大切な基本姿勢が問われます。2008/01/14



立体図形の問題を解くための大切な基本姿勢が問われます。


下の図1のような円柱の容器に、半径3cmの球を下の図のように2つ入れたところ、円柱の底から球の一番上までの高さが8cmとなった。そのままさらに球を入れていったところ、円柱の一番上のところで7個の球がちょうどおさまった。この円柱の高さを求めよ。




見方を変えてみましょう。



下の図1のように断面図で考えると中心から中心までの高さが2cmであることがわかる。
よって図2のように考えると求める高さは

図1 図2


 

3cm+2cm×6+3cm=18cm

答え:18cm


見慣れない球という設定ですが、立体図形の基本は平面図形への分解です。
上から、横からなどに情報を分け、身近な平面図形として処理します。
難問としては、平面に落とし込んだあとに合同、相似などの平面図形の技術が要求されるものがあります。
立体図のままでは、合同、相似、補助線などの平面図形の知識を思いつき、活用することはとても難しいので、面倒でも平面図を書きおこすことが大切です。


2007年12月17日

有名な公式の仕組みを思い出しましょう 2007-12-17



有名な公式の仕組みを思い出しましょう


半径2cm、弧の長さ10cmのおうぎ形の面積を求めなさい。


ノーヒントでいきましょう。

おうぎ形の面積は「半径×弧の長さ÷2」で求まるので求める面積は

2×10÷2=5平方センチメートル



おうぎ形の面積を「半径×弧÷2」で求めるという公式はあまりテキストでは扱われません。

ここで、円の面積の公式についての教科書の説明を思い出してみましょう。

円を細かくケーキ状に切り分けて、並び替えて長方形として考えるというものです。

この説明では長方形のたての長さは円の半径と同じ、
そして、よこの長さは円の円周の長さの半分となります。

この考え方に従うとおうぎ形についても、同様にケーキ状に切り分け、並び替えて長方形として計算することができます。
この場合もたての長さは円の半径となり、よこの長さは弧の長さの半分となるのです。

公式の仕組みは、学校の教科書などでは丁寧に説明されているのですが、
普段の受験勉強ではその運用にばかり目がいってしまいがちです。

様々な公式が作られる仕組みに注目し、しっかりと理解しようという姿勢は、
上位校において数学の勉強を進める上では必須のものですので、目先のテストに気を取られすぎずしっかりと取組みましょう。


2007年12月10日

周期がうまれる仕組みを考えます。 2007-12-10



周期がうまれる仕組みを考えます。


1,1,2,3,5,8,13,21,・・・・・・
上記の数列を1000番目まで並べたとき、一の位が7である数は全部でいくつあるでしょうか。


「1000番目」まで考える問題ですから、当然周期の発見が鍵になります。


前の2つの数を足して新たな数を作っていくフィボナッチ数列と呼ばれるものです。

その仕組みから、一の位だけに注目してもフィボナッチ数列となっています。

1,1,2,3,5,8,3,1,4,5,9,4,3,7,0,7,7,4,1,5,6,1,7,8,5,3,8,1,9,0,9,9,8,7,5,2,7,9,6,5,1,6,7,3,0,3,3,6,9,5,4,9,3,2,5,7,2,9,1,0

以上周期60となっている。この中に7は8個あるので、
1000÷60=16あまり40
あまりの40の中に7は6個あるから
8×16+6=134

答え:134個


本問のような長大な周期はここ数年の流行です。
周期が数十ともなると、自分の書き出しに不安を覚えますし、見落としがちにもなります。

ポイントは周期を生み出す仕組みを考えることです。

本問では周期を
1,1,2,3,5,8,3,1,4,5,9,4,3,7,0
7,7,4,1,5,6,1,7,8,5,3,8,1,9,0
9,9,8,7,5,2,7,9,6,5,1,6,7,3,0
3,3,6,9,5,4,9,3,2,5,7,2,9,1,0
と整理して考えます。

実は11から始まった数列の途中に77が出てきた時点で周期が計算可能となります。
この数列ははじめの2つの数によって全体が決まります。

つまり1行目の最初の2つの11が7倍の77となった2行目の数列は1行目の7倍の数がならぶのです。
このように考えると3行目は77を7倍して99(7×7=49の一の位の9です。)
4行目はさらにその99を7倍して33、そして5行目は33を7倍して11となり、周期が判明します。

このように周期を書き出しによって視認するだけでなく、
数の並びの仕組みに注目して計算するという姿勢は長大な周期を判定するのに重要なのです。


2007年11月19日

直感では解けそうにないのですが、解けます。そこから類推します。 2007-11-19



直感では解けそうにないのですが、解けます。そこから類推します。


田中くんは、よしこちゃんに誕生日プレゼントを送ろうとおもいます。郵便局に行って送料をたずねましたが、40円切手と70円切手しかもっておらず、どのように組み合わせてもその送料をぴったりつくることはできませんでした。結局、10円余計に貼って送りました。送料は10円単位で140円以上だとすると、正しい送料はいくらでしたか。


解けないと感じたのはなぜか考えてみましょう。


題意より、40円と70円を組み合わせて払うことのできない料金には実は上限があることが類推できます。
具体的には180円以上はすべて可能です。
140円以上170円以下の料金140円、150円、160円、170円のうちつくることができないのは170円のみなので答えは170円

答え:170円


180円、190円、200円、210円という4連続で数を作ることが確認できると、
それらに40円を足していくことで10円単位はすべてつくることができます。

小学生レベルでは、題意を読み取り、上限があることを類推できれば、
数の組み合わせの試行錯誤で比較的容易に上限を発見できます。

(参考)
支払うことのできない上限の「170円」の発見方法は以下の通り。
大学入試における有名問題です。

10円単位なので、4円と7円の組み合わせでつくることが出来ない金額の上限を求める。
まずは、ともに1枚以上使うことを考える。

4×1、4×2、4×3、4×4、4×5、4×6はすべて4×7以下の数で、
これらの数を7で割った余りはすべて異なる。
なぜなら4×□と4×○を7で割った余りが等しければ、両者の差4×(□-○)が7で割り切れることになるが、
□-○は7未満なので、4×(□-○)が7で割り切れることはないからである。

よって、 4×1、4×2、4×3、4×4、4×5、4×6を7で割った余りは
1、2、3、4、5、6のいずれかになる。

以上より、
4×7より大きなどのような整数も4×1、4×2、4×3、4×4、4×5、4×6のいずれかに7を足せば表すことができる。
一方4×7=28が4×□+7×○で表すことができるとすると、□が7の倍数となり矛盾が生じてしまう。
よって1枚以上使うとき、作ることのできない金額は4×7=28円となり、答えは10倍して280円となる。

本問はどちらも使わない場合も含まれるが、これまでの話を延長して考えればよい。


4×□+7×○で表せない数(□、○は1以上の整数)についての議論を、
4×■+7×●で表せない数(■、●は0以上の整数)に延長するには、
■=□-1、●=○-1と考えればよい。

4×■+7×●= 4×(□-1)+7×(○-1)=4×□+7×○-11

4×□+7×○の上限は28であることを確認しているので、
4×□+7×○-11の上限は28-11=17となる。
よってともに0枚がありえる場合は支払うことのできない上限は170円。


2007年11月12日

作業の過程にとらわれすぎず、結果の意味を考えましょう。 2007-11-12



作業の過程にとらわれすぎず、結果の意味を考えましょう。


2つのコップに同じ量のミルクとコーヒーが入っています。大さじ4はい分のミルクをすくって、コーヒーの入っているコップに入れてよくかきまぜます。

つぎに、このコーヒーの入っていたコップから大さじ4はい分をすくって、ミルクの入っているコップに入れて、よくかきまぜます。
この作業の後、ミルクのコップの中のコーヒーの割合とコーヒーのコップの中のミルクの割合とでは、どちらが大きいでしょうか。


結果の意味を良く考えましょう。


2つの作業の結果、2つのコップに入っている液体の量は変わりません。

2つのコップともコーヒーとミルクが混ざっていますが、結果液体の量が同じということは、
ミルクのコップからコーヒーのコップへと移動したミルクの量と
コーヒーのコップからミルクのコップへと移動したコーヒーの量は同じ量です。

つまり、コーヒーとミルクがともに10リットルあったとすると、もしミルクが1リットルだけコーヒーのコップに移動したとすると、
同じ量のコーヒーがミルクのコップに戻ってきているということになります。


よって、コーヒーのコップの中のコーヒーに対するミルクの割合と
ミルクのコップの中のミルクに対するコーヒーの割合は同じです。


作業を直感的にとらえると、コーヒーのコップの中のミルクの割合の方が大きく感じます。

コーヒーの中に入れたミルクは純度100%のもので、ミルクの中にかえってくる同じ量の液体はコーヒーとミルクが混ざったものだからです。

直感と実際の差は、計算によって確認することが出来ますが、
本問のポイントは作業の流れをきちんとイメージすることです。


混ぜ終わった液体をきちんとイメージできれば簡単な問題です。
細かい点としては、液体の混合の問題では、
「混合液」のイメージを下の図1のように考える子供が多いのですが、
図2のようにとらえると「割合」として扱いやすくなります。


2007年10月29日

濃さには食塩の濃さと水の濃さの2つの見方があります。 2007-10-29



濃さには食塩の濃さと水の濃さの2つの見方があります。

10%の濃さの食塩水が100グラムあります。この食塩水を70%の濃さにするためには食塩をどれだけ加えればよいですか。


ノーヒントです。
 

10%の濃さの食塩水100グラムには食塩が10グラム、水が90グラム入っています。

ここに食塩を加えるわけですから水の量は変わりません。

70%の食塩水というのは、食塩水全体の重さに対して、食塩が70%を占めているということですが、水を中心に考えると、食塩水全体の重さに対して水が30%を占めているということもできます。

つまり、新たに作られる濃さ70%の食塩水とは、水90グラムが全体の30%を占める食塩水ということができるのです。

90グラムが全体の30%ですから、全体は90÷0.3=300グラムになります。
現在全体で100グラムですから、差の200グラム分だけ食塩を加えればよいことがわかります。

出来上がる食塩水は全体で100+200=300グラム、食塩は10+200=210グラムとなり、その濃さは210÷300=0.7となり問題文の指示通りの食塩水が出来たことが確認できます。

答え:200グラム


食塩の濃さに関する解法は様々なものがありますが「濃さ」のイメージをしっかりと持たせることと食塩の濃さだけでなく、「水の濃さ」という視点を持つことが大切です。
食塩の濃さに限らず、全体を構成する要素の中で見落としがちなものは何かということを考える姿勢は大切です。
ふたのある容器に水を入れる問題で、水の体積だけでなく、水の入っていない部分の体積に注目するといった考え方です。
補集合に着目するということですね。



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