メイン

算数 アーカイブ

2007年03月19日

高槻中学校より。「作業の概算」で手法を取捨選択します。 2007-03-19



高槻中学校より。「作業の概算」で手法を取捨選択します。


0より大きい4つの整数a、b、c、dがあります。
a×b=28 b×c=126 c×d=45 のとき、a、b、c、dの値を求めなさい。

(高槻中)


どこから「しらみつぶし」に取り掛かるかによって、作業量がかわります。


a=2、b=14、c=9、d=5


ヒントにもあるように、選択肢の絞込みの際、最初の一歩を慎重に検討することが大切です。

a×b=28にのみ着目してスタートすると、
(a,b)の組み合わせは (1,28) (2,14) (4,7) が候補になります。

しかし、次のb×c=126の126を素因数分解すると2×3×3×7なので、
bの候補は1、2、7、14が残ってしまいます。

逆にc×d=45に着目すると(c,d)の候補は(1,45)(5,9)になります。

この中で126の因数となりうるのは1と9だけですし、
bは明らかに2桁の数なのでc=1は候補からはずれ、c=9が確定します。


どちらからスタートしても答えにたどりことは出来ますが、
スタート地点で少し立ち止まって考えるだけで作業量を減らすことができます。


~今回の問題より導かれる出題校からのメッセージ~
作業量を概算し、見通しを立てるという思考が大切

本問では大きな差はでませんが、解説にあるような「作業量の概算」はとても大切な技術です。

時間制限のある試験において、そもそもその手法の作業量に現実味があるのかどうかを判断する力です。

不適格であれば、他の手法を探すことになります。
このような効率的な状況判断をもたらしてくれるのが「作業量の概算」です。

解説を読んでみると、「書き出せば一番速かった。」ということや、
「既に書き出してはいたがそもそも無理な量だった。」という経験が誰しもあるかと思います。

見通しを立てる冷静な思考によって、必要となる時間が大きく異なってくる良問でした。


2007年03月13日

今週は洛南高等学校附属中より1問です。 2007-03-13



今週は洛南高等学校附属中より1問です。


ある商品をいくつか仕入れました。1日目は定価で売ったところ、14個が売れ残りました。ここで売るのをやめると、仕入れ値2個分だけ損をすることになる ので、残りを2日目には仕入れ値の半額で、3日目には仕入れ値の1/4の価格で販売して売り切ることができました。全体として得られた利益は仕入れ値4個 分でした。
(1)3日目に売れた商品は何個ですか。
(2)省略

(洛南高等学校附属中)


値段の実数が全く提示されていませんね。うま く処理してください。


仕入れ値を1とすると、3日間の利益は4であった。

1日目の時点では、2の損が出てしまう状況である。
これは、残りの14個分で0円の売り上げと計算したことによる。

よって、2日目、3日目の2日間で、この14個によって6個分の売り上げを得られればよい。
0.5のものと、0.25円のものを合わせて14個売って、6の売り上げを得る。

つるかめ算を使うと

0.5×14=7
7-6=1
1÷(0.5-0.25)=4・・・3日目に0.25で売った個数

答え 4個


解答では仕入れ値を1で処理しましたが、100で処理したほうが小数を使うことを避けられ、 賢明でしょう。

ポイントは、つるかめ算です。

本問は一見、「仕入れ値・定価・割引」の典型問題です。

つるかめ算の使いどころに関して、しっかりと整理されていなければ
思いつくことは難しいかもしれません。

最初にわからない数を文字でおくという習慣の ない小学生にとって、
解答の途中でつるかめ算のような算術で解を求めるというのはとても難易度の高い問題となります。

「未知数が2、合計とそれぞれが含まれる関係式が1つという条件が満たされれば、つるかめ算」
という整理をしているかどうかが分かれ目です。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
・今習っている技術は何のためなのか。一般化する能力が大切です。

差集め算、過不足算などは、計算技術です。

中学生になると方程式と呼ばれるものです。

教科書においては、それぞれの算術がタイトルとなって、
習得しやすい典型問題を繰り返すことになります。
しかし、これらは、あくまで算術。

未知数の数と条件の整理によって、あらゆる分野に適応させるべき技術なのです。

図形の問題の最中に、つるかめ算、相当算を想像できるでしょうか。
それどころか、和差算を想像することすら難しい生徒がたくさんいます。

一体何のための算術なのか。

それを理解できなければ、中学以降の数学はゼロからのスタートになってしまいます。

「小学生のやる算術は頭の柔らかさを鍛えるもの。中学以降の、頭をあまり使わない機械的な方程式とは違う。」という考え方は、あまりにも方程式の機能と奥 深さ、壁の高さを無視したものです。

まずは、それぞれの算 術を使える条件を洗い出してみること。

それが、昔ながらの算術をわざわざ勉強した時間を有意義なものにし、
わざわざ出題する中学校の期待にこたえるスタートとなるでしょう。


2007年03月05日

灘より。 2007-03-05



灘より。


連続した5つの整数の積が2441880であるとき、これら5つの数のうち最も小さなものを答えなさい。

(灘中)


ある数の約数は、素因数の組み合わせでつくることができます。


2441880を素因数分解すると
2×2×2×3×3×3×5×7×17×19
となる。


並べ替えると
17×(2×3×3)×19×(2×2×5)×(3×7)
=17×18×19×20×21


よって掛け合わせて2441880になる5つの連続した整数は17、18、19、20、21である。


答え:17


「様々な約数が存在する。」は「素因数の組み合わせ方が複数ある。」と同義です。
この考え方が本問の突破口です。

素因数分解をすると素数の17と19が現れるので、その周辺の数から(まずは間の18)検討します。
素因数分解を利用して、「ある数の約数は何通りか。」を求める問題には全員必ず取り組んでいるはずなので、
そこからの類推が求められます。
また指導する側としては、その問題に取り組むときにきちんと理解させておくことが大切です。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
数の成り立つ仕組みについての様々な視点が大切

ある数を数詞としてだけでなく、様々な角度から性質を調べ、
成り立ちを考える姿勢が本問のような問題への対応力の源泉です。

九九の成り立ちから始まり、分配の法則など考えるきっかけとなる問題に出会ったときに、
一歩立ち止まって掘り下げることが大切でしょう。

本校の小問群は、解いてきた問題の量ではなく、思考の積み重ねによって身に付けた瞬発力が必要です。

数のしくみを普段から楽しんでみるような姿勢を持つ本校の求める人材像を選別するのにふさわしい良問でしょう。


2007年02月26日

ラ・サール中より。「割り算」の仕組みの理解力が問われます。 2007-02-26



ラ・サール中より。「割り算」の仕組みの理解力が問われます。


下の(ア)、(イ)にあてはまる数を求めなさい。

13時35分(ア)秒÷18=(イ)分18秒

(ラ・サール中)


割り算の筆算の仕組みを思い出しましょう。「位ごとに分ける作業をする」です。


(ア)を18で割った答えは、(イ)の部分には影響しない。
よって
13時45分=815分から
815分÷18=45.2777・・・
ゆえに(イ)は45

すると
13時45分(ア)秒÷18=45分18秒
となる。
つまり
45分18秒×18=13時45分(ア)秒
(ア)=24

答え:(ア)24、(イ)45


割り算の筆算は、百の位の数、つまり百のかたまりをいくつかに分け、次に十の位の数字分の10のかたまりをまた分ける。
という作業の繰り返しです。

分ける作業を位ごとに毎回行っているのです。

今回でいえば、13時を18で割った答えと、45分を18で割った答えと、

(ア)秒を18で割った答えを足し合わせたものが答えつまり商になるのです。

そう考えれば(ア)は60秒未満ですから18で割ってもその答えは4秒未満です。

すでに商には18秒がありますから、(イ)の部分に影響は与えていないことがわかります。

(ア)がなかったとしても商は(イ)分~秒なのです。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
「数える」手段に対する深い理解が大切

本問のような割り算の考え方は、筆算の仕組みに対する深い理解が背景にあります。

そもそも四則演算の筆算は、「位ごとの数をかたまりとして扱う」ことです。


機械的に行えるだけでは、せっかく時間をかけて身に付けた筆算の技術を応用できません。
きちんとその構造を理解することで「効率よく数える」ことの意味を理解し、
正確で迅速な数え上げの技術が身に付くのです。

まずは、3年生レベルの筆算の仕組みから。

低学年の生徒にも説明できるようにしておくことは、必ず役に立ちます。
一行問題ですが、真の計算力を測る良問でした。


2007年02月12日

フェリス女学院中より。普段使っている数の仕組みの理解が問われます。 2007-02-12



フェリス女学院中より。普段使っている数の仕組みの理解が問われます。


1から2000までの整数のうち、数字の7を使っていない数はいくつありますか。

(フェリス女学院中)


7が抜けるということは数字の種類が9つになってしまうということです。


7以外の9つの数字を使って1から順に表現することは、9進法を意味します。

十の位は9の位になり、百の位は81(9×9)の位になり、千の位は729(9×9×9)の位になります。

この場合、2000は2×1000ではなく、2×729を表すことになります。
これは1から順に9つの数のみを使って数を並べていった場合、2000は2×729=1458番目ということを意味します。

つまり、7以外の9つの数を使ったものは1~2000までの間に1458個あることになります。


答え:1458個


10進法の意味を深く理解していることが問われています。

10進法とは、「数字が0から9までの10種類しかないから、
9の次の数を2つの数字をつかって10と表す。」ことです。

普段わたし達は、1から10までを一括りにしてとらえる傾向がありますが、
「0から9までの10種類」という感覚を持つことが大切です。

N進法の問題は無意味に思われ、クイズのようにとらえられてしまうことの多い分野ですが、
この分野の勉強を、普段なじみ深い10進法や日時における
60進法、7進法、24進法などについて再考する機会にしてほしいものです。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
基本的な数の仕組みに対する理解が大切

算数を勉強する目的として様々なものが挙げられますが、もっとも現実的な問題は、
「ものの数をただしく数え、表すことができるようになる。」なのではないでしょうか。

すべての数を10個の数字で表現する。
数字を書く位置によって表している単位が違う。

など高学年になり当たり前になった時期にこそ、
もう一度振り返ってその仕組みをおさらいすることで新たに発見することもあるのではないでしょうか。

計算の正確さ、速さは繰り返しの練習以上に数の仕組みの理解が高めてくれます。
10進法の意味をきちんと考えるきっかけになる良問でした。


2007年02月05日

独協埼玉中より。「求めるもの」を言い換える力が問われます。 2007-02-05



独協埼玉中より。「求めるもの」を言い換える力が問われます。


1から10までの整数が1つずつ書かれた10枚のカードがあります。この中から2枚以上のカードをとりだし、そのカードに書かれている数の合計を考えます。
(1)3枚のカードをとりだすとき、合計が10になる場合は何通りありますか。
(2)3枚のカードをとりだすとき、合計として考えられる数は何通りありますか。
(3)何枚かのカードをとりだすとき、合計が48になる場合は何通りありますか。
(4)省略

(独協埼玉 抜粋)


「取出し方」は、「残し方」ともいえます。


(1)
左に最小値を持ってくるように整理する書き出しによって
(1、2、7)(1、3、6)(1、4、5)(2、3、5)の4通りがわかります。
答え:4通り

(2)
最小は(1、2、3)の時で6、最大は(8、9、10)の時で27である。
この間の値については、(1、2、3)の「3を10まで1ずつ増やす」 「2を9まで1ずつ増やす」「1を8まで1ずつ増やす」ことによってすべてをつくることができる。
よって27-6+1=22通り
答え:22通り

(3)
カードは1から10までの10枚であり、その合計は(1+10)×10÷2=55である。
今回、取り出したカードの和は48なのでこの10枚から55-48=7より合計で7になるように残せばよい。
残る7の作り方はの5通りある。
よって取り出す48の作り方も5通りになる。
答え:5通り


(1)と(2)は取り出し方に着目、
(3)は残し方に着目させるという構成が対応力を要求する問題です。


場合の数の鉄則ではありますが、選ばれないものに着目することは近年頻出です。
類題には、や、リレーの選手の選び方で選ばれない生徒の場合の数に着目させるものや、

ふたのある容器へ水を入れる問題で水の入っている部分ではなく、
水の入っていない部分に着目させるものなどがあります。

本問のようにその値が一対一対応する残りに着目する思考は中学生以降にとても重要になってくるものです。
答えを出せれればよいというものではありません。
良い機会ですから解説を熟読してその意味を確認することが必要です。


2007年01月22日

東邦大東邦中。今年度入試から速報第一弾。公式の構造を見抜く力が問われます。 2007-01-22



東邦大東邦中。今年度入試から速報第一弾。公式の構造を見抜く力が問われます。


下の図のように直角三角形ABCとCDEが頂点B、C、Dが同一直線上になるように並んでいます。このとき、三角形BCEの面積を求めなさい。

(東邦大東邦中)


底辺と高さがそれぞれわからなくても面積は求めることができます。


求める三角形BCEの底辺を辺BCと考えると高さは辺EDとすることができる。
よって、求める面積は辺BC×辺ED÷2で求めることができる。

ここで三角形ABCとEDCが相似であることに着目する。すると
辺AB:辺BC=辺ED:辺DCが成り立つ。
つまり
7:辺BC=辺ED:4
ゆえに
7×4=辺BC×辺ED=28

求める三角形の面積は
辺BC×辺ED÷2なので
28÷2=14

答え:14平方センチメートル


円に内接する正方形の面積を与えて円の面積を求めさせる問題
(半径はわからないが、半径×半径の値はわかるというタイプ)の類題です。

本問も、同様に明らかにわからないであろう底辺と高さを個別にとらえずに、
まとめて考えてみるという視点が大切です。

これは、どの教科書、参考書にものっている円の問題に取り組んだ後に、
一般化された解法として習得しておかなければ対応できない問題です。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
公式の構成要素の意味を吟味することが大切

本問で取り扱ったもの以外にも一般的に知られている公式の中で、
いくつかの項目をまとめて考えると見通しが立つというものがいくつか存在します。

例えば、扇形の面積を「半径×弧÷2」と変形できたり、
半径/母線で円錐の中心角を求めることができるものもその例です。

無味乾燥な数式も見方を変えると図形的な意味をとらえることができることがよくあります。

面積図はその代表例です。
面積図というと、小学生用の受験のテクニックのように思われがちですが、
数式の図形的性質に着目して解くというのは中学生以降では常套手段です。

遠回りだとか、本質的でないといって避けることなく、
数式に含まれているそれらの性質を楽しむ姿勢が大切です。
本問はその姿勢が問われる良問です。


2007年01月15日

桜蔭中より。なぜ、教科書から離れ、身の周りの科学を題材にするととたんできなくなってしまうのでしょうか。 2007-1-15



桜蔭中より。なぜ、教科書から離れ、身の周りの科学を題材にするととたんできなくなってしまうのでしょうか。


今年は1991年ですが、このように数字の順序を逆にしても変わらない年は、来年から10000年までに(ア)回あります。このうちで4つの数字の和が20になるのは(イ)回あります。

(桜蔭中)


1991「年」に惑わされないことです。


求めるべき年は、「ABBA」年という形をしていると考える。

現在1991年で、来年1992年から10000年の間を考えるので次は2002年。

つまりAは2~9、Bは0~9を考えればよい。

ABの組み合わせは、

A:8通り×B:10通り=80通り

(ア)80通り この中の組み合わせで合計20になるものを考える。
ABBAの合計が20であるからABの合計が10であるものを考えればよい。
Aは2~9までの8通り考えられ、それぞれに合計で10となるBが1通りずつ対応するので
A+B=10となるAとBの組み合わせは8通りある。

(イ)8通り

答え(ア)80(イ)8


本問では、「1991」は「せんきゅうひゃくきゅうじゅういち」ではなく、
「いち、きゅう、きゅう、いち」という数字の列だととらえることがポイントです。

各位の数を入れ替えるのですから、順番に意味があり、位が与える意味はなくなります。
「ABBA」という2種類の箱に2種類の数字を入れるという場合の数の定石問題です。

ABBAが4桁であることからAには0が入らない、
またすでに1000年代の最後の該当年数1991年を超えているわけですから1も入らないことにも注意が必要です。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
問題になっている条件を過不足なく把握することが大切

本問のように「数の性質」「場合の数」が

具体的な状況(本問では年数)に落とし込まれた瞬間に数の基本性質への感度が低くなり、

使いこなせなくなることがよくあります。

立体図形の面の上に配置された平面図形において「相似」「合同」など平面図形の基本的な解法が思いつかなくなるのと同様です。

コツは、絶えず

「問題文がその場で与えた条件」と
「題材となっているもの(整数や図形)が持っている条件」

を分けて整理する意識を持つことです。

中学入試では、どちらかに意識が偏っていると(多くの場合前者に偏ります)必ず行き詰り時間を致命的に消費しますし、
後者に意識が到達すると一気に易問となることが多くなっています。

本番では本問に割くことのできる時間は2分位です。
最初の小問集合の中に配置されていますが、全体に影響し、上記の処理能力を判別する良問となっています。


2006年12月25日

麻布中より。作業量の見通しの有無が、試験の全体を左右する問題です。 2006-12-25



麻布中より。作業量の見通しの有無が、試験の全体を左右する問題です。


次の問に答えなさい。
(1)0.32をできるだけ簡単な分数で表しなさい。
(2)ある分数を小数で表し、小数第3位を四捨五入すると0.32になりました。このような分数のうちで、
分母が最も小さいものを求めなさい。

(麻布中)


(2)は(1)の答えをスタートラインにしてみましょう。


(1)
32/100を約分して8/25
答え:8/25

(2)
(1)の答えである8/25は小数では0.32であるから、
「四捨五入して0.32になる」という条件に適する。
つまり、「分母が25より小さい分数」という範囲内で探せばよい。

しかし、この範囲で探すとなると
分母1:1/1
分母2:1/2,2/2
分母3:1/3~3/3
分母4:1/4~4/4   
を順に小数化して「0.315以上0.325未満」が現れるまで試行することになり、
範囲が大きくなりすぎる。

ここで分子に着目すると、
8/24が0.333・・・となり条件の範囲を超えることから、
8/25よりも分母が小さく、条件の範囲に入る分数の分子は7以下であることがわかる。
つまり分子1~7で条件に適する分母を探せばよい。

分母1について考えると
1÷0.325=3.07・・・・
1÷0.315=3.17・・・・
より分母が3.07・・・より大きく3.17以下となればよい。

この間に整数は存在しないので分母1は不適
同様に分母2以上を調べていくと
分母6について
6÷0.325=18.46・・・・
6÷0.315=19.04・・・・
となり、その範囲内に初めて整数19が現れる。
よって求める答えは6/19とすることができる。

答え:6/19


ある程度の作業を通じて絞り込んでいく問題ですが、
工夫をする力によって解答に至るまでにかかる時間が大きく変わってくる問題です。
小問のようですが、平成16年度試験の大問5番です。

見た目の簡単さによりほぼすべての生徒が取り組んだはずですが、
ほかの大問と同様手ごたえのある問題です。

調べ上げの方針を立てながらも、作業の分量をしっかりと計算し、
ほかの近道を検討する。時間配分を他の問題とバランスをとらなくていけない
本番ではとても重要な能力です。

「分母が問題になっているときに分子に着目する」これは、
図形の問題で「容器の中で水が入っている部分が問題になっているときに、
空の部分に着目する」というように様々な応用が利く思考技術です。

単問として取り組ませるよりも、
試験の中に配置することで取り組む生徒の能力を緻密に判断する問題です。

~今 回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
作業の見通しを検討する力が大切

場合の数など、「地道な数え上げ」という解法が存在する分野では、
一歩間違えると途方もない作業に陥ってしまうことがあります。

また、意外と少ない書き出しで確実に答えを確認できるのにも関わらず、
計算のみで誤答に至ってしまうこともあります。

これらの分野では、「だいたいの作業量」を常にイメージしておくことが大切です。

数十の書き出しなのか、数千なのかがわかるだけでも方針がある程度固まるはずですし、
それくらいの概算はあまり知識やひらめきを必要としません。

気合を持って踏み出す地道な一歩が、どれだけの道のりに続いているのかを計算すること。
冷静と情熱の間にバランスよく立つことを求める良問です。


2006年12月18日

桐蔭学園中より。「回転して同じになるもの、ならないもの。」的確な分類能力が問われます。 2006-12-18



桐蔭学園中より。「回転して同じになるもの、ならないもの。」的確な分類能力が問われます。


下の図のように同じ大きさの正方形が5つあります。この5つの正方形の中に○か×の印をそれぞれ1つずつ書き込みます。回転して同じになるものは1通りと数えます。全部で何通りの書き込み方がありますか。○か×の一方しか使わなくてもよいものとします。


回転できることで、分類の基準が幅広くなります。


周りは回転すると同じものを除くので
すべて○、すべて×で2通り
○が1つ、×が1つで2通り
○が2つ(=×が2つ)については並び方で以下の2通り

周りは以上の6通り

まん中は○か×かの2通りなので全体の書き込み方は
6×2=12通り

答え 12通り


別解として、最初から○もしくは×の数で分類する方法もあります。

(1)○が0個の場合:1通り
(2)○が1個の場合:まん中か周り(どこに書き入れても回転すると同じ)のいずれかに書き込む2通り
(3)○が2個の場合(a)まん中と周りに1つ(b)周りに連続して2つ(c)周りに×と交互に2つ 以上3通り
(4)○が3個の場合:×の位置を(3)と同様に考えて3通り
(5)○が4個の場合:×の位置を(2)と同様に考えて2通り
(6)○が5個の場合:×の位置を(1)と同様に考えて1通り

合計12通り

ポイントは、分類の基準を明確に定めることです。

回転によって、問題文で与えられた5つの箱における上下左右の絶対的位置は価値がなくなり、
・内側と外側の違い
・周りに並べられた○と×の相互の位置関係
だけが回転によって失われないものになります。

与えられた条件下での分類基準を正確にとらえる力が問われています。

~今回の問題から導かれる出題校からのメッセージ~
与えられた条件を数的な意味に変換する力が大切

本問のポイントは「回転」の与える影響を的確にとらえることに尽きます。

ただ、算数において「回転」はとても重要な条件ですので、
その場で考えるというよりも普段から意識して勉強しておくことで十分対応できるでしょう。

まずは実験をしてサンプルを集めてみること。そして注意深く見比べる。

そこから差異を発見する能力は一朝一夕で身に付くものではありませんし、
目に見えて実感しにくいものです。

しかし、結論ありきではない状況下でそのような思考を積み重ねることは、
答えの定まらない実験、研究に取り組むうえでとても大切な姿勢です。

計算で一気に求めることが出来ない本問では、
そのような力強い考察能力によって確実に差が生まれます。



メールで更新を受信

「今週の1問」のメール配信を受け取る場合はこちら:

アーカイブ

2014年07月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31